アオシマが「1/43 機動警察パトレイバー イングラム」のプラモデルを、自社ブランド「ACKS」で発売する理由【ホビー業界インサイド第75回】

2021年11月13日 11:000

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「1/43スケールの警察車両」としてのイングラムを、可動域を確保しながら模型化する


── イングラムといえば、グッドスマイルカンパニー(以下、グッスマ)から「MODEROID AV-98イングラム」が今年1月に発売されていますよね。あちらは1/60で低価格ですが、メーカー同士で商品仕様のすり合わせは行ったのですか?

金田 監修の日が同じでグッスマの担当者さんと顔を合わせたりはしましたが、特に場所をもうけて、話し合ったわけではありません。もちろん、MODEROIDのイングラムも購入して、楽しみながら組み立てさせてもらいました。グッスマさんのイングラムは手軽に組めて、彩色するモデラーでなくてもブンドドして楽しめるいいキットですね。いっぽう、弊社のイングラムは、1/43というミニカーのスケールです。乗り物、車輛としての存在感を企画当初から念頭に置いていました。実際にイングラムが存在したと仮定して、警察車輛としてボディのツヤはどんな感じになるのか? コクピットに人が乗り込む機械としての存在感をどう出すのか? そうした実在感を意識しながら、開発を進めました。

── 当然、コクピットにはフィギュアが付属するわけですが、ややリアル寄りな造形かもしれませんね。

金田 かといって、アニメ本編から離れすぎないように留意しました。

── 1/43スケールの指揮車も、11月に発売されてますね。

金田 1/43のミニカーとからめてジオラマを作る方もいらっしゃると思うので、車両を並べたときに、スケール感を損なわないキットになっていると思います。


── 気になるのは、イングラムの関節部分ですね。今年再販されたBANDAI SPIRITS製のキットは、手足の関節を軟質樹脂製のカバーで包む構造でした。

金田 はい、80年代の初発売当時は小学生でしたが、私も組み立てました。弊社は軟質樹脂に否定的なわけではなく、「ACKS」ブランドの「MFS-3 3式機龍」では、首まわりの関節に軟質樹脂を採用してとても上手くいきました。当然、イングラムの関節カバーにも軟質樹脂を使うべきではないのか、十分に検討しました。その結果、人間らしいポージングをとらせようとすると、軟質樹脂では可動域に制限が出てしまうと判断して、カバー部分も硬質のABS樹脂で成型することにしました。イングラムというロボットは、機械らしく動くと同時に、人間らしくも動く。その自由度が魅力なんですね。特に股関節をどう動かすか、肩パーツをどう引き出すか、よく考えました。結果、「こんなポーズまでとれるの?」と驚くような可動域を確保でき、なおかつ機械としてのリアリズムの面でもカッコよくポージング可能な、バランスのいい関節構造になったと思います。

── すると、何か新しい関節の仕組みを考えたのですか?

金田 従来のアニメロボットのキットの関節機構を踏襲しながら、可動個所の位置や、曲げたときの造形が不自然に見えないよう設計しています。カバー部分を硬質樹脂で成型した以上、ポーズをとらせたときに破綻しないよう、外観にも気を使いました。

── 無塗装、パチ組みで見栄えのする「ACKS」ブランドとしての完成度は、いかがでしょうか。

金田 弊社の場合、高額でとがった上級モデラー向けキット……というイメージがあるかもしれませんが、イングラムは色数が少ないロボットですし、素組みでも十分に見ばえがします。サイズが比較的大きいので、完成したときの剛性も十分にあります。コクピットの開閉ギミックもありますし、ビギナーの方がそのまま組み立てても、あちこち動かして遊べる楽しいキットになりました。

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