イラストレーター、山下しゅんやに聞いた“フィギュア化用美少女イラストの描き方”【ホビー業界インサイド第39回】

2018年09月22日 12:000

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フィギュアやプラモデル、ホビーに興味がある人なら、1度はこの人の絵を目にしたことがあるはず。絵は見たことがなくても、この人の絵が“立体化された商品”はどこかで目にしているはず。それぐらい、「フィギュア化を前提とした女の子イラスト」の仕事が多いイラストレーター、それが山下しゅんやさんだ。
ご自身もていねいに塗装した戦車のプラモデル写真を、たびたびSNSにアップするほどの模型好きだが、意外とその全貌は知られていないのではないだろうか? どのようにしてイラストレーターになったのか、なぜフィギュアの仕事が多いのか、フィギュア化前提の2Dイラストに対する考え方は……などなど、山下さんにしかわかりそうもない質問をぶつけてみた。

イラストともフィギュアとも関係ないアイスクリームの会社に勤めていた


── イラストレーターになるまでの経緯を教えていただけますか?

山下 高校を卒業して、イラストとは何の関係もないアイスクリームの会社に就職したんです。当時はバブル景気だったので、一般社員に商品企画をやらせてみようという気運がありました。絵と一緒に商品説明を書くのですが、そのときに自分は絵を描くのが好きだったんだと思い出したんです。それまでは落書きみたいな絵しか描いたことしかなかったので、絵の専門学校に入りました。

── アイスクリーム会社を辞めて?

山下 そうです。ポートフォリオ(作品見本)をつくって、20社ぐらいの会社へ営業に回りました。出版社は見てくれたけど、ゲーム会社は見てくれなかったりして、なかなか仕事は来ませんでした。その間、スクウェア(現:スクウェア・エニックス)に入社したり、作品集を出したり、いろいろあったんです。

── 今のように、フィギュア用のイラストを描くようになったのは、いつ頃からですか?

山下 2005年ごろからです。その当時は、ゲームの攻略本のイラストや、小説の挿絵を描いていました。原型師の吉沢光正さんと友だちになったことが、フィギュアに関わる大きなキッカケになりました。吉沢さんとは仕事を抜きにした普通の友だちとして知り合ったんですが、僕がブログに描いていた絵を吉沢さんが気に入ってくれて。「一緒に何かやろう」という話になって、僕のオリジナルキャラクターのセラちゃんを吉沢さんが立体化したんです。ガレージキットとして販売しはじめてすぐ、コトブキヤさんからPVC製品化の打診がありました。当時はオリジナルキャラで、しかも半リアル系は目新しかったんでしょうね。

── 製品化に際して、何か変更点はあったのでしょうか?

山下 いえ、特にありませんでした。パンツが見えるように作られていたのですが、コトブキヤさんとしては、そのことを売りにはしない。あと、カラーバリエーションでいくつかの種類を発売したい。それぐらいです。

── それ以降、フィギュアの仕事が多くなっていったのでしょうか?

山下 そうですね、ほとんどがフィギュア関係の仕事です。たぶん、吉沢さんのフィギュアとセットで覚えられているせいではないかと思うんですが……。立体化を前提としたイラストの仕事が多い理由は、自分でもよくわからないんです。

── プラモデルはお好きなんですよね?

山下 しばらく中断していたのですが、10年ほど前から再開しました。

── 今日持ってきていただいた戦車は、タコムやトランペッター製で、車両の選択もちょっと珍しいですね。

山下 メジャーな戦車は、子供のころに作ってしまったんです。子供のころは、タミヤが大好きでした。以前から欲しかった車両をやっと出してくれた、というメーカーがタコムだったりトランペッターだったりするんです。


── そうした模型趣味と、フィギュア用のイラストを描いていることとの間に、何か関連はあるのでしょうか?

山下 多分、ないと思います(笑)。フィギュアの原型をチェックするとき、立体を知っていることが少しは役に立っているかもしれません。たとえば、だいぶ形ができているのに形を作り直してほしいとかポーズをまったく変えてほしい、などの無茶な要求は出しません。

── ご自分でフィギュアを作ることはないのですか?

山下 自分では作りませんね。作るとしたら、ミリタリーモデルの戦車兵ぐらいです。

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