SNSと連動して「時代の波に乗る」! キタンクラブのカプセルトイはなぜ面白いのか、聞いてみた!【ホビー業界インサイド第50回】

2019年09月03日 11:000

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1994年、「ガシャポンHGシリーズ」がバンダイ(当時)よりリリースされ、低価格で高品質なカプセルトイ黄金時代の幕が開いた。2010年代、海洋堂が動物やミリタリー、芸術品にまでモチーフを広げた「カプセルQ」を展開し、ブームに拍車をかけた。
しかし、ブームの真っ只中に旗揚げしたキタンクラブ(奇譚クラブ)のリリースするカプセルトイは、90~00年代のブームの頃とは趣きが違う。造形のクオリティだけでなく、「コップのフチ子」に代表されるように、一般人の暮らしに溶け込むポピュラリティがあるのだ。キタンクラブのカプセルトイは、どうしてここまで受け入れられているのだろう? キタンクラブさんにお話をうかがった。

キタンクラブとSNSは“切っても切れない関係”


── キタンクラブさんは、90年代中盤から続くフィギュアブームが定着してきた2006年に設立されていますね。どういう発想からスタートしたのでしょう?

キタン 弊社代表の古屋大貴は、元々タカラトミーアーツの前身である株式会社ユージンに勤めていました。独立してキタンクラブを設立してからは、どうやって他社には作ることができない魅力的なカプセルトイを作っていくかを念頭に活動してきました。かつてのカプセルトイは、キンケシなどに代表されるように、クオリティや商品自体のアイデアよりも「人気のキャラクターを使って、種類を多く出し数を集めてもらうこと」に重点を置いていたように思います。しかし2000年代以降、海洋堂さんのチョコエッグシリーズのように低価格帯でもクオリティ高くオリジナリティ溢れるフィギュアが続々と発売されました。メインの価格も100円から200円に変わり、現在カプセルトイは300円のものが主流です。さらに400円や500円など、高価格な商品も増えてきています。価格は売り上げと直結する要因ですが、弊社ではクオリティを落としてまで価格を下げることは考えていません。「それでもキタンクラブの製品が欲しい」とおっしゃっていただくお客様に向け「LOVE & AWESOME」をモットーに、自信を持ってお届けできる製品づくりを目指しています。

── どんな製品を出すのか、企画の基準はどこにあるのでしょう?

キタン まず、弊社では社内で月1回企画会議を開いており、基本的には、そこで今後発売される商品が決まります。発売が承認される商品の基準は、強いて言えば「一般の方をターゲットにしつつも、ニッチな部分を突いているもの」が多いです。中でも最近はスマートフォン周りのもの、特にSNSでネタになりやすいものがより好まれる傾向があります。最初に「コップのフチ子」が発売された2013年は、iPhoneが浸透してTwitterも盛んになっていた時期です。弊社とSNSとは、切っても切れない関係かも知れません。


── SNSでウケることを狙った企画ではないんですか?

キタン 弊社では考えていませんでしたが、原案のタナカカツキさんは狙っていました。SNSで流行っていた、スイーツやラテアートだけの画像をより面白くしようとするコンセプトでした。それがピタリと当たりましたが、まさか、ここまで大ヒットするとは思いませんでした。「フチ子」のヒット以降、フチに引っ掛けることに特化したフィギュアシリーズとして「PUTITTOシリーズ」を展開し、動物やキャラクターなど様々なものを「フチ」らせ、現在では累計1000万個以上の売り上げを誇るコンテンツに成長しました。そのほかに、光ったり動いたりするギミック物も多数あれば、飾って楽しむためのインテリア系アイテムも揃えています。単にガチャっと回して製品が出た、というだけではなく、製品によってどんな経験ができるのかを重視し、単にアイテムが面白いだけでなく、“その先にある楽しみ”を大事にしています。
また、SNSで名前の売れている作家さんとのコラボも増えていて、最近ですと、るるてあさんの「コウペンちゃん」、アタモトさんの「タヌキとキツネ」などを製品化しています。SNSから出てきた作家さんのキャラクターは、拡散力が強いですね。



── それなりに目利きでないと、有能な作家さんを見つけられませんね。

キタン ですから、常にアンテナを張って情報収集しています。インターネットでの検索だけではなく、展覧会やイベントなど現場に積極的に足を運びます。場合によっては企画段階から作家さんに関わっていただくこともあります。

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