最新のガンダム食玩は、単色成形の組み立てキット! 造形物としての魅力で勝負する「ガンダムアーティファクト」の企画意図とは?【ホビー業界インサイド第66回】

2020年12月05日 11:000
最新のガンダム食玩は、単色成形の組み立てキット! 造形物としての魅力で勝負する「ガンダムアーティファクト」の企画意図とは?【ホビー業界インサイド第66回】

「機動戦士ガンダム」シリーズの立体製品といえば、細かな部分まで塗装されていて、手足の関節が可動して……と、誰もがイメージするのではないだろうか。来年早々に発売される「ガンダムアーティファクト」は、その予想を大きく裏切る食玩となる。組み立てキットではあるが、大きさはわずか55㎜の手のひらサイズ。洗練されたセンスのディテールが彫りこまれ、大きさに似合わず精密感はバッチリなのだが、色は塗られていない。ガレージキットのようなペールオレンジ一色で成形されているのだ。この色によって“素材感”が強まり、造形物としての充実感は高まる。
ここまで「造形物」としてハイブローなガンダム製品は、なかなか珍しい。バンダイ キャンディトイ事業部の宮脇純さんに、「ガンダムアーティファクト」の企画意図をうかがってみた。

往年の「ビッグワンガム」のように、低単価で満足度の高い食玩を


── ガンダムの食玩といえば「Gフレーム」のように、細かく彩色されていてフル可動というイメージが強くあります。

宮脇 ガンダム以外では仮面ライダーシリーズの食玩「装動」も、塗装と可動を売りにしています。いずれもご好評いただいている商品なのですが、「Gフレーム」も「装動」も、製品を2つ買って組み合わせることで初めてフル可動の完成品になります。ですから、実質的には1,000円ほどの食玩……という感覚かと思います。これらを見てもわかるとおり、500円以下の食玩を目の肥えたハイターゲットのお客様に向けて作っていくのは、現在の生産環境ではなかなか難しい面があります。ですが、やはり食玩の魅力はリーズナブルさとコレクション性だと思ってます。食玩の原点とも言うべきカバヤ食品さんの「ビッグワンガム」のように、低単価で、単体で十分に満足を得られる食玩を目指したい。では、ワンコインで買える食玩で何ができるだろうか……それが、今回の「ガンダムアーティファクト」の企画の輪郭です。

── すると、500円でできることを考えて、商品内容を詰めていったのですか?

宮脇 「売価を意識しながら企画を詰めていった」、というニュアンスのほうが近いですね。数あるガンダム商品の変遷を知る目の肥えたユーザーのアンテナに触れるには、企画としてできる限り“尖る”必要があります。「最後発の食玩だけど、なにか面白そうだな」と振り向いていただくには、ありふれたことをやっていてはだめなんです。そこで、低単価でありながら「造形」「精密性」を価値にすえた食玩というアイデアが出てきました。また、ガンダムシリーズのファンの方は、ホビー属性が強いですよね。すると、組み立てが少し難しい商品であっても、かえって組み立て工程を楽しんでいただけるのではないか。それが、企画のポイントです。
また、無彩色のキットですから、工場での組み立てや塗装が必要ありません。開発工程で造形と分割に手間がかかるのは事実ですが、いちどランナーとして成形してしまえばそれ以上、コストはかかりません。コストを抑えた分、造形を際立たせることができるのではないかと考えたわけです。


── 可動個所は、まったくないのですか?

宮脇 5種類のラインアップすべてではありませんが、首や腕が少し動きます。ディスプレイするときに、少し首の向きを調整することができるアイテムもあるのですが、可動を謳ってはいません。

── 何より驚いたのは、成形色です。「ペールオレンジ」と呼ばれていますが、ようするにガレージキットの素材でよく使われるレジンキャストの色ですよね?

宮脇 はい、おっしゃる通りです。レジンキットもそうですが、過去に弊社から発売されたキンケシ(※キン肉マン消しゴム)も、当時の呼び方で“肌色(ペールオレンジ)”がメインの成形色でした。造形の見やすい成形色というと、ペールオレンジかグレーなどになるのですが、グレーではサフェーサー(模型用の下地剤)を吹きつけたように見えてしまいます。確かにディテールが見やすくはなるのですが、はたしてグレーのまま、卓上に飾っておきたいかどうか。ガレージキットなら高価なイメージがありますから、レジンキャストの色(ペールオレンジ)にしたほうが、ガンダムの造形物には向いていると判断しました。赤や青などの個性の強い色よりも、ディスプレイしやすい色だと思います。今回のラインアップは作品も時代設定もバラバラですから、ペールオレンジで成形することによって、アイテムとしての統一感が生まれるのではないでしょうか。


── 55mmというサイズは、どのように決まったのでしょう?

宮脇 ガンダム食玩の歴史をひも解くと、どうしても外せないミニキットが、2つあると思っています。ひとつは、80年代に流行した「森永ガンダムチョコスナック」です。もうひとつは2009年に発売された「日清カップヌードル(miniガンプラ)パック」。それらのミニキットを参照しながら、見栄えがよくて、顔面がつぶれたりしないサイズ感を模索して、55mmに落ち着きました。ただし、ナイチンゲールやバイアラン・カスタムのような横幅のある機体は、やや55mmより小さい頭頂高になっています。

── ガンプラのようにスケールを統一するのではなく、食玩としてのサイズ感を揃えているわけですね。では、ディテールのアレンジについて聞かせてください。

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