“成形色”を売りにしたスケールキット、ついに登場! 「モデルキット999」シリーズが提唱する“プラモデル本来の楽しさ”とは?【ホビー業界インサイド第47回】

2019年05月25日 12:000
“成形色”を売りにしたスケールキット、ついに登場! 「モデルキット999」シリーズが提唱する“プラモデル本来の楽しさ”とは?【ホビー業界インサイド第47回】

プラスチックで成形されたそのままの色を生かしたプラモデルといえば、ガンプラを思い浮かべる人が多いだろう。しかし、最近ではカーモデルをはじめとして、艦船やバイクなどのスケールモデルでも、成形色そのままで組み立てて“最終完成形”とするキットが増えてきた。
2019年6月上旬にウォルターソンズジャパンが発売する「モデルキット999」シリーズは、1/72スケールの戦車や飛行機を特別に調色した“極・成型色(R)”のプラスチックで成形、塗装しなくても完成させられるスケールモデルの決定打となりそうだ。値段を格安の999円(税別)に統一する「モデルキット999」シリーズの狙いを、ウォルターソンズジャパン代表の榊原直人さん、開発元であるウォルターソンズインダストリーのビンセント・タンさんにうかがった。

色を塗らずに組み立てられる気軽さが、今の業界には欠けている


── 現在はリモコンの戦車などを発売しているウォルターソンズインダストリーは、どのような会社なのでしょう?

ビンセント ウォルターソンズは香港企業で、当初は重工業の会社でした。港湾クレーンなどを開発しており、ホビーとはまったく関係がなかったんです。しかし、私自身は8歳ぐらいのころからプラモデルが大好きで、タミヤ、ハセガワ、フジミ、童友社、ファインモールドなど、日本製のプラモデルを作っていました。大学に入ってから、自分の所有していたキットをeBayで売ったことが、ホビーを事業とした最初のキッカケです。
ただ、その当時は中国を経由して製品を手に入れるしかなく、品質も悪かったのですが、かといって日本から輸入することもできなかったので、その当時から、自分の会社で製品をつくることの実現性を考えていたのです。そして自社を立ち上げて、まず、“VS TANK”というラジコン戦車と“フォースオブヴァラー”という完成品のシリーズの販売を開始しました。その2社のオーナーが加齢のためブランドを売りに出したので、弊社でためらわず買収しました。その中で榊原さんと知り合って、日本市場進出が見えてきたわけです。


── その当時、榊原さんはどういう立場だったのですか?

榊原 私は日本の某ホビーメーカーに勤務していて、ウォルターソンズとはOEM先の工場として連絡係を務めておりました。

ビンセント 榊原さんとは製品開発に対する熱意と、「この製品をつくれば、この層の人たちに喜んでもらえる」という志向性が一致して意気投合しました。現在はプラモデル、ラジコン戦車、ダイキャスト完成品の3系統の製品を開発しており、印刷物以外はすべて自社工場生産のため、徹底した品質管理が可能になっています。

── 「モデルキット999」シリーズは、どういう層に向けて販売するのですか?

榊原 組み立てに接着が必要な点は従来のプラモデルと変わりませんが、部品をはめ合わせるための穴を左右逆だと合わないように設計するなどして、組み間違いを防いでいます。また、スケールモデルとしてのクオリティを追求していくと、どうしてもパーツの肉厚が薄くなり、結果的に壊れやすくなるのですが、「モデルキット999」は子どもが手に持って遊んだ程度では壊れないぐらい頑丈です。「うちの工場にこういう金型があるんだけど」……とビンセントから提案されたとき、これは初心者向けのプラモデルとして最適ではないかと思いつきました。つまり、客層が高齢化して、ますます値段が上がる現在のプラモデルですが、価格を抑えれば初心者でも買ってくれるかもしれない、ですが、初心者の方々がわざわざ塗料を買ってまで塗装してくださるかというと、どうでしょう。そこで、塗装せずにデカールを貼るだけで達成感が得られるよう、実際の戦車や飛行機にプラスチックの色を近づけることを思いついんたんです。
今、すごい塗装テクニックを持っている方でも、子どものころは色を塗らずに気軽にプラモデルを組み立てて楽しんでいたと思うのです。今の模型業界にもっとも欠けていることは、「箱から出して色も塗らずに普通に組み立ててもいい自由度」ではないかと、ビンセントと意見が一致しました。そこで、日本国内では「モデルキット999」として、シリーズ名が価格と一致しているという点を最大の売りにすることにより、スケールモデルの「組み立てにおけるルール」を超越すべきコンセプトとしました。


── 他国でも、同じ価格で販売するのですか?

榊原 他国では、値段をシリーズ名にはしていません。品質には自信があるので、アメリカなら12ドル、イギリスなら8.99ポンドという価格設定が可能な輸出製造原価で設定しました。ではなぜ日本で999円で売るのかというと、スーパーやアパレルでは1,000円ではなく999円といった具合に、桁をひとつ下げて安さをアピールする販売戦略をとりますよね。それを参考にビンセントに試算してもらったところ、999円でも原価回収可能と判明し、日本市場においては、希望小売価格を999円として受注開始することになりました。

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