ホビー業界インサイド第3回:男性キャラ専門ブランド「オランジュ・ルージュ」の示すフィギュア・シーンの多様性

2015年09月26日 11:000

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グッドスマイルカンパニーとマックスファクトリーの両社が、共同ブランド「オランジュ・ルージュ」を立ち上げたのは、今年2015年6月。「男性キャラクター専門ブランド」とのことだが、世間ではいまだに「フィギュア=美少女フィギュア」の印象が強いのではないだろうか?

いま、フィギュア業界をリードする2社が「男性キャラクター専門ブランド」を立ち上げた理由とは何なのか? アカネ衛生兵さん(マックスファクトリー)、平瀬修太郎さん(グッドスマイルカンパニー)、オーノシさん(グッドスマイルカンパニー)の3名に、その意図をうかがった。


ブランド名を、ライトユーザーの“窓口”にしたい


──「オランジュ・ルージュ」設立の経緯を聞かせください。

アカネ まず、「オランジュ・ルージュ」を立ち上げる前ですが、『刀剣乱舞-ONLINE-』のねんどろいどやスケールフィギュアを発表しました。その際、「初めてフィギュアを買う」「初めてホビーに興味をもった」という女性のお客さまが、多かったんです。そうした新規ユーザーにとっては、1つのブランドに集約させたほうが、好みの商品を探しやすくなるだろう……という狙いがありました。

もうひとつは、グッドスマイルカンパニーとマックスファクトリー、それぞれ別の会社でありながら、1つのフロアで企画・制作をしています。ですから、共通のブランドをつくって力を合わせ、一緒にみんなで盛り上げていこう、という気持ちもあって、「オランジュ・ルージュ」を立ち上げたんです。

平瀬 弊社(グッドスマイルカンパニー)のHPを見ていただけるとわかるのですが、弊社が販社となって取り扱っている商品は、弊社とマックスファクトリーだけでなく、他のメーカーまで多数に及びます。ですから、初めてHPを見たユーザーさんからすると、欲しい商品が探しづらい。しかし、「オランジュ・ルージュ」のHPを見れば、欲しい商品がすぐに見つかりますよね。

──フィギュア初心者に向けた利便性という意味が大きいのですか?

アカネ 初めてフィギュアを買われる女性ユーザーは、まず作品が好きなわけです。好きな作品のキャラクターがフィギュアになると知って「買いたいな」と思っても、たくさんのアイテムが並んでいる中、お目当ての商品のページまでたどりつくのが難しい。ですから、そのアクセスを簡単にしてあげることが、これからホビーやフィギュアに触れはじめるお客さまには必要だと思います。

──つまり、それだけ女性のフィギュアユーザーが増えているということですね?

アカネ 今までは、美少女系など男性向け要素の強いフィギュアがメインでしたが、男性キャラクターのフィギュアは、業界全体の中で、確実に増えています。

平瀬 実際に、『刀剣乱舞』や『ハイキュー!!』などの商品に対する反響はかなり大きく、今まで買っていなかった層に、フィギュアが認知されはじめているとわかってきました。

いっぽう、グッドスマイルカンパニーもマックスファクトリーも、フィギュアファンの間では認知されていても、ライトユーザーにとっては「何をしているメーカーなのか、いまひとつわからない」状態なのかもしれません。そうした新しいユーザーの方たちに、「オランジュ・ルージュ」の名前を、フィギュア趣味への“窓口”にしてほしい。そんな思いもありました。


──そうなると、「オランジュ・ルージュ」の名前さえ付いていれば、安心して買える」という状態が理想ですよね?

平瀬 はい、そうなってくれるとうれしいです。商品点数が少ないので、まだまだこれから頑張らないといけませんけれど。



女性フィギュア・ファンは「個」でなく「団体」


アカネ ワンダーフェスティバル(手作りフィギュアの展示即売会)などのイベントを見ていると、女性もフィギュアを手にとるようになったり、自分で作ったりと、全体的に女性ユーザーが増えていると感じます。男性向け・女性向けにこだわらず、確実に女性が増えてきているので、安心してフィギュア業界にとび込んできてもらえる環境づくりが大事ですね。

──女性のフィギュアファンは、何年ぐらい前から増えはじめたのでしょうか?

平瀬 女性のフィギュア原型師さんは、かなり前からいらっしゃったと思います。

オーノシ まず女性に人気がある男性キャラクターのフィギュアが出はじめ、それから女性ユーザーの中で「フィギュアは予約しないと手に入らない場合がある」と認識され、それが浸透して、今はメーカーのHPを見よう、イベントに参加しようという積極的傾向に変わってきていますね。

──「オランジュ・ルージュ」の「加州清光」(『刀剣乱舞』)は、女性が原型を作られたんですよね?

平瀬 はい、石長櫻子さん(植物少女園)です。石長さんは、もうベテランですね。


オーノシ 女性原型師の方が、『刀剣乱舞』のキャラクターを趣味で作られているのを、ツイッターでよく見かけます。以前から、自分でフィギュアを作る女性はいらしたんです。最近になってSNSで拡散されるようになり、女性ユーザーの中でも、フィギュアという文化が身近になってきたんだと感じますね。

──女性ユーザーならではの傾向、というものはあるんでしょうか?

オーノシ 印象としては、ユーザーさんが「個」ではなく「団体」なんですよ。ひとりで楽しんでいるのではなく、ファン同士で情報交換して、ワッと広めていく。その広がり方は、女性のほうが勢いがありますね。

アカネ 女性は飾るだけでなく、買ったフィギュアの周りに小道具を配して写真を撮ったり、その写真をネットでシェアして楽しんでいるのをよく見かけますね。

オーノシ 「シルバニアファミリー」などで遊んでいた感覚で、フィギュアを楽しんでらっしゃるように見えます。

アカネ 同じものを好きなコミュニティというか、みんなでシェアすることでさらに盛り上がる、そんな雰囲気を感じます。



国内外・男女を問わないファンの広がり


──「オランジュ・ルージュ」の展開は、これから本格化するようですが、手ごたえはいかがですか?

平瀬 「オランジュ・ルージュ」の設立前のアイテムですが、「ねんどろいど 三日月宗近」(刀剣乱舞)が8月に発売され、大変な好評をいただいています。もう買ったこと、家に届いたことがうれしくて、商品の箱を撮ってツイッターにアップされている方もいらっしゃるほどで(笑)。ハッシュタグを使って、積極的にシェアされていますね。


──ちょっと驚いたラインアップは、「ねんどろいどこ~で ふんどし」。このふんどしだけのフィギュアも、「オランジュ・ルージュ」として発売されているんですね?

平瀬 こちらは、すでにお持ちのねんどろいどと組み合わせて、ふんどし姿で遊べるというアイテムです。もともとはエイプリルフールネタだったのですが、その頃から「ぜひとも商品化を」の声が、多数届いていました。

オーノシ 海外からも「商品化してほしい」という声が来ていたんです。ですから、「ねんどろいどこ~で ふんどし」商品化実現は、国内外でよろこばれています。


──それは、海外の女性ファンの声ですか?

アカネ いえ、男女ともに、海外のフィギュアファンからの声が寄せられています。

平瀬 たとえば、「刀剣乱舞」のキャラクターは和装ですよね。海外のファンからすれば、和装フィギュアというだけで、十分な魅力を感じられるようです。

オーノシ ですから、海外の方からも「われわれの期待しているようなフィギュアを出してくれるのではないか」という期待が、「オランジュ・ルージュ」に寄せられていると感じています。

アカネ 男性ユーザーからも「普段のフィギュアのラインアップにはあがらないようなキャラクターが、「オランジュ・ルージュ」から出てくれたらうれしい」という声も聞きました。

平瀬 「オランジュ・ルージュ」という新ブランドをつくったことで、今まで男性フィギュアの魅力に気づかなかったユーザーさんも振り向いてくれている――そう思いたいですね。


(取材・文/廣田恵介)

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