プラモデルやフィギュア製品を「撮影する仕事」とは――? ベテランのホビー専門カメラマン、高瀬ゆうじさんの目撃した昭和~平成のホビー業界【ホビー業界インサイド第46回】

2019年04月30日 12:000
プラモデルやフィギュア製品を「撮影する仕事」とは――? ベテランのホビー専門カメラマン、高瀬ゆうじさんの目撃した昭和~平成のホビー業界【ホビー業界インサイド第46回】

80年代のガンプラブームのころ、「コミックボンボン」などの雑誌には大量にガンプラの記事や広告が掲載されていた。そんなプラモデルの広告写真から出発し、現在でも完成品フィギュアを含めたホビー製品を専業で撮りつづけているプロカメラマンが、高瀬ゆうじさんだ。「フリーランスで同じぐらいの仕事歴の人は、おそらくいないと思う」とみずからも認める高瀬さんは、ホビー業界を裏から見つめつづけた生き証人でもある。過去の、現在の、そして未来のホビー業界について、高瀬さんにざっくばらんにお話していただいた。

スーツアクターの癖を覚えて、フィギュアをポージングさせる


── 最初にホビー関係の写真を撮ったのは、いつ頃なのでしょう?

高瀬
 37年ぐらい前です。バンダイの「機動戦士ガンダム」シリーズの、「リアルタイプザク」と「リアルタイプドム」を雑誌広告用に撮ったのが初めての仕事でした。

── それ以前は、何をされていたのですか?

高瀬 写真専門学校の学生でした。卒業制作で何か玩具の写真を撮ろうと思って、「伝説巨神イデオン」の玩具を撮るつもりでした。ところが「イデオン」の玩具が売っていなくて、友だちからガンプラをもらったんです。そのキットを一気に塗装して組み立てて、「バンダイの広告試作」というテーマの写真を撮りました。その卒業制作の写真を、バンダイに持ち込んだことから、仕事をもらえるようになったんです。ですから、もしあのときに「イデオン」の玩具が手に入っていたら、タカラトミー系の仕事をしていたかもしれませんね。

── その後、80年代初頭のガンプラブームの中で、多くの雑誌でプラモデルの写真を撮ることになりますね。

高瀬 ゼミの先生の紹介で、ヤングジャンプ誌で巻頭7ページ、プラモデルの作品紹介を撮らせてもらいました。その記事がきっかけとなって、さまざまな出版社から依頼が来るようになったんです。

── 最初から、玩具やプラモデルの商業写真の道へ進みたかったのですか?

高瀬 いえ、1年も続かないと思っていました。ホビー関連の仕事が一段落したら、あらためてファッション写真の方向へ進むつもりでした。ところが、小学館、学研、講談社……とさまざまな雑誌から声をかけてもらえて、忙しくなってしまいました。コミックボンボン誌では「BB戦士」などの写真を撮っていましたが、バンダイから直接来る仕事は、ガンプラ以外の仕事が多くなっていきました。当時のバンダイは、ガンプラの商品写真は静岡の写真館で撮影していて、東京で撮ることは滅多にありませんでした。通常の商品写真ではない、広告でガンプラのイメージカットが必要な場合は、私に依頼が来るんです。

── イメージカットというと、背景が宇宙のようになっているとか?

高瀬 たとえば、「武威凰大将軍」のパッケージに入れる輝羅鋼の写真などです。「元祖SDガンダム」の場合は、パッケージの裏にイメージカットが入るので、単品撮りからイメージカットまで丸ごと任されていました。ホビー事業部の仕事以外では、「聖闘士星矢」の「聖闘士聖衣大系」、「S.I.C.シリーズ」、「GUNDAM FIX FIGURATION」など、リニューアルされたり復刻されたりして長く続いているシリーズを撮ってきました。いまだに依頼が途切れないので、仕事場がサンプル品で埋もれてしまうんですけどね(笑)。


── だけど、プラモデルやフィギュアが個人的な趣味だったわけではありませんよね。どう撮ればサマになるかは、仕事しながら学んでいくしかなかったのではありませんか?

高瀬 子どもの頃は「サンダーバード」や「ウルトラマン」が好きだったので、どうやって撮ればカッコよくなるのかは、何となくわかっていました。また、学生時代には映画のエキストラのアルバイトをしていたので、さまざまな撮影現場へ行って、セットやライティングを学ぶことができました。もちろん、撮影するキャラクターを把握するため、商品の元となった映像作品は見ます。戦隊シリーズや「仮面ライダー」シリーズでスーツアクターをしている高岩成二さんという人がいます。高岩さんのポージングは癖があるので、高岩さんが演じているとわかると、新しいライダーの製品がきてもそれっぽいポーズをとらせることができます。取材で大野剣友会の方たちに会ったこともあるので、スーツアクターの方たちの仕草を製品のポージングには入れていくようにしています。プラモデルやフィギュアの撮り方は誰も教えてくれませんでしたから、場数を踏んでコツをつかむしかありませんでした。

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