“PVC製の組み立て美少女フィギュア”を発売したアワートレジャーさんに聞く“組み立てキットの行方”【ホビー業界インサイド第41回】

2018年11月24日 12:000
“PVC製の組み立て美少女フィギュア”を発売したアワートレジャーさんに聞く“組み立てキットの行方”【ホビー業界インサイド第41回】

1990年代後半から2000年代前半にかけて、PVC製の「塗装済み完成品フィギュア」は珍しいものではなくなった。当時は中国で生産すれば安くて品質のよいものを市場に供給できたが、2010年代に入ってからの人件費や材料費の高騰で、「安くてクオリティの高いフィギュア製品」は実現しづらくなっている。
そんな中、株式会社アワートレジャーが発売したのが、「アッセンブル・ヒロインズ 渡辺 曜【Summer Queens】」である。素材は完成品フィギュアと同じPVC製だが、ユーザーがみずからの手で組み立て、必要とあれば塗装することもできる。しかし、顔面は塗装されているし、肌と水着はパーツ単位で色分けされているので、ただ組み立てるだけでも見ごたえがある。プラモデルのような、面倒なゲート処理やパーティングライン処理は必要ない。
もしかすると、「アッセンブル・ヒロインズ」は組み立てキットの新しい未来を示しているのではないか? 発売元のアワートレジャー代表、永見浩士さんにお話をうかがった。

買いやすくてクオリティの高いフィギュアを目指して……


── 永見さんが、模型業界とどのように関わってきたか、教えてください。確か、株式会社ウェーブさんに入社されたんでしたよね?

永見 そうです。高校3年生から浪人時代にかけて、家からいちばん近い模型店がラーク(ウェーブの経営していた店舗)で、ずっと入り浸っていました。大学に入ってからアルバイトとして雇っていただいたのですが、とにかくとても我が強かったんです。「僕が欲しいと思うものは、絶対に売れます!」と言い続けて、しばらくするとアルバイトながら商品開発にも関わらせていただきました。

大学卒業後はカー用品の会社に就職しましたが、その間も「JAF-CON」という模型イベントにディーラーとして参加していました。そのうち、正社員としてウェーブに入社することになりまして、最初は店舗限定のガレージキットを開発していました。その後、中国の工場に発注して完成品の美少女フィギュアを作れる時代になると、一般流通向けのPVC製の美少女フィギュアを開発・担当することになりました。


── 水着のキャラクターたちをラインアップした「BEACH QUEENS」シリーズですね。

永見 ええ。他社の完成品フィギュアとどう差別化しようかと考えたとき、出来のよさはもちろんだけど、コレクション製を重視することにしました。買いやすいように、税込みでも4,000円を切る値段にしたい。スケールも小さめに、1/10としました。立ち上げ前は、水着だけだとシリーズは長続きしないだろうし、スケールも小さすぎると周囲から言われましたが、最終的には数百アイテムを出せるほどまで成長しました。その後、ウェーブを辞めることになって、ずっと暖めていた「アッセンブル・ヒロインズ」を、自分の設立したアワートレジャーから出したわけです。

── ということは、ウェーブさんに在籍していた頃から、組み立て式のフィギュアキットを考えていたのですか?

永見 はい、ウェーブに在籍していた頃にも、「アッセンブル・ヒロインズ」の元アイデアは話したことがありました。周囲には「無茶だ」と反対されましたが、とにかく僕は我が強いので(笑)。


── 完成品ではなく、組み立てキットにしようと考えたのは、なぜなんですか?

永見 まず、フィギュア製品の「価格」って、第一ではないにしてもかなり重要なファクターだと思うんです。3,800円で展開してきた「BEACH QUEENS」シリーズも、後半になると価格が上がってしまい、「これでは買えない」というお客様の反応を肌で感じていました。価格設定に際して特に大きく影響するのは量産コスト、つまり、中国の工場での生産工程の多さです。なんとか、工場での工程数を減らすことができないだろうか……と考えました。

そのいっぽうで、各社のプラモデル製品でもキャラクターフィギュアが増加し、組み立てキットに新しい流れが出てきました。それならば、PVCフィギュアにお客様が組み立てていただくパートを設けることで、工場での工程数を減らして安く販売できるのではないか……そう考えたのが最初です。

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