ふるさと納税でプラモデルが手に入る? マイクロエース(有井製作所)が、新橋駅前の蒸気機関車をプラモ化する理由【ホビー業界インサイド第69回】

2021年03月20日 11:000

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マイクロエースと聞いても模型ファンでないかぎりピンとこないかも知れないが、アリイという社名なら、憶えている人もいるのではないだろうか? そう、80年代に「超時空要塞マクロス」のプラモデルで大ヒットを飛ばした模型メーカー、アリイ(有井製作所)の現在の名前が「マイクロエース」なのだ。
近年は鉄道模型を中心に展開しているマイクロエースだが、JR新橋駅前に飾られている蒸気機関車を1/50スケールのプラモデル「新橋駅前 C11 292」として発売するという。なぜ今、新橋駅前の機関車をプラモデル化するのだろう? それは「埼玉県蕨市」というマイクロエースの所在地、そして有井製作所の「創立60周年」というタイミングが鍵をにぎっているようだ。
マイクロエース代表取締役の有井利行さん、企画部の福島由敬さんにお話をうかがった。

マイクロエース? アリイじゃないの? どっちが社名なのか聞いてみた!


── まず、社名について教えてください。社屋には「有井製作所」と「マイクロエース」、2つの社名が併記してありますね?

有井 マイクロエースは、有井製作所の100パーセント子会社です。もともと、「しなのマイクロ」という鉄道模型メーカーがありました。しなのマイクロの倒産時にいろいろな物をウチが引き取って製造することになったのですが、しなのマイクロの名前が売れていたので、何とかして名前を残したい。そこで、「しなの」は外して「アリイ」の頭文字「A」を「エース」と読んで、「マイクロエース」としました。

福島 分社化して社名変更したのは2004年のことです。パッケージを新たに刷るものは「マイクロエース」となっていますが、まだ「アリイ」のロゴが印刷されたままの製品も、多数あります。20年ほど値段を変更していない製品は、わざわざ版を作り直していない物も多く、現在も「マイクロエース」と「アリイ」の箱が混在している状態です。通りがいいせいか、小売店さん・問屋さんからは特にプラモデルに関して、社名変更後も「アリイ」と呼ばれることが多いです。アリイの中でもNゲージのような鉄道模型の部門を、「マイクロエース」と呼ぶ図式ですね。

── なるほど。私の世代でアリイというと、1982年から展開された「超時空要塞マクロス」のプラモデルが思い浮かびます。

有井 「マクロス」のプラモデルは、イマイ(今井科学)から声をかけられたんです。イマイは倒産してしまいましたが、いわばライバル会社です。ですが、2社共同で開発すれば広告なんかの経費が半分で済む。「マクロス」の番組提供はイマイとアリイ、毎週交代で表記されていたと思います。「マクロス」のプラモデルは、とても売れました。ハンパではなかったですね、24時間体制で生産していましたから。

「マクロス」は2年間ほど展開して、それから後、何度か再販しています。80年代は「マクロス」以外のアニメのプラモデルも、とてもよく売れました。今は少子化ですし、子どもたちの興味はプラモデルよりはゲーム。プラモデルを買っているのは、大人ばかりですよ(笑)。



── マイクロエース名義では、1/32で日本の古い車をプラモデル化した「オーナーズクラブ」が知られていますよね。組み立てるのは大変ですが、安いので買いやすいシリーズですね。

福島 金型が古いので作るのは大変かも知れませんが、パーツ数も少ないし、肩の力を抜いたモデリングには向いているシリーズでしょう。成形色を生かして、ちょっとした差し色とツヤを整えるだけでもそこそこ見映えがするし、もちろん腕に覚えのあるベテランモデラ―が作りこんでもいい。どんな楽しみ方もできる懐の深いプラモデルが、1/32 オーナーズクラブです。

有井 オート三輪やクラウンなど古い日本車は資料が少ないので、なかなか今後は新規にプラモデル化しづらいでしょう。しかし、ウチには金型がいっぱいあります。

── オーナーズクラブの金型はLS製ですが、他社の古い金型でプラモデルを生産するのも、マイクロエースというかアリイさんの特徴ですね。

有井 弊社は昭和38年、東京の板橋区でインジェクション成型業として創業しました。10年ほど、下請けでクラウン、オオタキ、ニットー、オリエンタルモデルなどのプラモデルを成型していましたが、そのうち、オリエンタルモデルが「ウチには後継者がいないから、アリイさん、下請けだけでなくメーカーになりなよ」と声をかけてくれました。メーカーになると他社の仕事を請けられなくなるので悩みましたが、オリエンタルモデルの金型を譲り受けてメーカーとして一本立ちしました。成型機も1台だけでなく2台、3台と増やしていくうちに手狭になり、ここ埼玉県蕨市に移転したわけです。その時代は、とにかくプラモデルがよく売れたんですよ。

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超時空要塞マクロス

超時空要塞マクロス

放送日: 1982年10月3日~1983年6月26日   制作会社: タツノコプロ
キャスト: 長谷有洋、飯島真理、羽佐間道夫、小原乃梨子、土井美加、神谷明、佐々木るん、鶴ひろみ、深雪さなえ、蟹江栄司、大林隆介
(C) 1982 ビックウエスト

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