500円の“アートフィギュア”が、僕たちの価値意識を革新するかもしれない――株式会社SO-TAのカプセルトイ【ホビー業界インサイド第61回】

2020年07月18日 12:000
500円の“アートフィギュア”が、僕たちの価値意識を革新するかもしれない――株式会社SO-TAのカプセルトイ【ホビー業界インサイド第61回】

かつては200~300円が相場だったカプセルトイの世界に、変化が起きている。1回500円の商品が増え、エンドユーザーも500円なりの価値をカプセルトイに求めはじめているのだ。原宿にオフィスを構える株式会社SO-TAは、個人作家の創作した“アートフィギュア”をカプセルトイとして商品化する独特のスタンスで、他社との差別化をはかっている。
有名なキャラクターものではなく、世の中に広く知られているわけではない個人のアート作品を、あえてカプセルトイとして商品化する意義とは? SO-TAの代表取締役/CEOの安藤幸臣さん、デジタルスカルプターの河上晶さんにお話をうかがった。

どんな商品でも、本当に好きなマニアに刺さるように造形する


── SO-TAさんのカプセルトイといえば、「とーとつにエジプト神」シリーズをよく目にする気がします。

河上 はい、「とーとつにエジプト神」は、当社の転機となったシリーズ商品です。代表の安藤が2Dデザイナーのyukaさんに声をかけ、第1弾は300円のソフビフィギュアとして商品化しました。Twitterで告知したところ、想像以上に多くの反響をいただきました。告知ツイートに4万以上のいいねをいただき、発売前から問い合わせが殺到しました。発売の翌日には再販が決定したほど、話題になった商品です。その後、「とーとつにエジプト神」は、アニメショップで定期的にフェアが開催されており、今年、アニメ化も決定しています。「とーとつにエジプト神」シリーズの最新商品は、400円のキーホルダーです。ゆるくかわいらしいデザインが、女性に人気です。


── かと思うと、ヘラクレスオオカブトのような実在の昆虫もカプセルトイにしていますよね。

河上 安藤から「夏にヘラクレスオオカブトを出したら、絶対に売れるよ」と、提案がありました。リアルさを追求し、ヘラクレスオオカブトのカプセルトイの“決定版”となる商品を出したいという話でした。

安藤 この提案をしたのは、ある写真家の方から「ヘラクレスオオカブトのギネスへの仮測定があるから来ませんか?」と、声をかけていただいたことがキッカケです。そこで出会ったのが、カプセルトイの監修をしていただいたHirokAさんでした。HirokAさんは国内のみならず世界でもトップクラスのヘラクレスブリーダーで、ヘラクレスオオカブトの大きさの元ギネス記録保持者です。錦鯉のように、形の優れた個体同士を交配していった究極のヘラクレスオオカブト……いわば、スーパーモデルですね。それを商品化したのが、このカプセルトイです。カプセルに詰める都合上、ギネスサイズより少し小さくしてありますが、組み立てると約17.5cmになります。


河上 まず本物の標本を3Dスキャンして、監修を受けながらモデリングしたので、オモチャ的な誇張は一切していません。カプセルに詰めるためのパーツ分割が、とても大変でした。

── やはり、昆虫マニアがターゲットですか?

安藤 実際の購買層は、子どものいるお父さんでした。自分がヘラクレスオオカブトを欲しくて回して、満足したら子どもにあげる……という流れが多かったようです。しかし、どんな商品でもマニア向けとしてつくります。本当に好きなマニアの人たちが見て納得できる造形でないと、一般の人にも刺さらないからです。

── なるほど、こだわりのある商品づくりですね。会社は、どういう経緯でできたのですか?

安藤 もともと僕は、大長商事株式会社(現・株式会社ルルアーク)の出身です。カプセルトイ部門で、ルートセールスをしていました。カプセルトイの入替をしながら、いつかは自分で商品を開発したいという想いがずっとありました。2009年に当時の仲間と一大決心をして独立し、SO-TAを設立しました。ただ、最初は商品開発ではなく問屋業で、アミューズメント用景品を販売する仕事がメインでした。


── 2009年独立というと、1990年代後半から始まる大フィギュアブーム、カプセルトイの進化を目の当たりにしてきたわけですね。

安藤 そうですね。海洋堂さんやユージンさんがカプセルトイに参入したころは、1ドル80~90円ぐらいだったので、低価格帯でディテールにこだわった商品が数多く作られていました。それから円安になり、300億円市場といわれていたカプセルトイ業界も、売り上げが伸び悩んでいました。
ひとつの転機は4~5年前、先ほど話したルルアークさんが、玩具売り場やスーパーのレジ前での営業から店舗型営業に、カプセルトイ事業を切り替えたことです。それまで200~300円が主流だったカプセルトイが高額でも売れるようになり、昨年あたりからは500円の商品が当たり前になってきました。海外からの観光客にもカプセルトイは人気で、いい商品なら500円でも回してもらえます。また、海外へもカプセルトイ市場が広まっています。IoT化において筺体は中国のほうが進んでいます。電子マネーで決済できるので、小銭が必要ありません。

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とーとつにエジプト神

とーとつにエジプト神

開始日: 未定
キャスト: 下野紘、梶裕貴
(C) yuka/とーとつにエジプト神プロジェクト

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