“水中ニーソ”でお馴染みの古賀学が歩んできた「平面でないと成り立たない模型」の最新形【ホビー業界インサイド第45回】

2019年03月30日 12:000

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「水中ニーソ」という固有名詞を聞いたことがあるだろうか? オーバー・ニーソックスを履いた水着姿の女の子がプールの中を潜水するフェティシズム感濃厚な写真作品なのだが、作者の古賀学氏によると、最近の作品はどんどん「プラモデル感」が強まっているのだそうだ。 過去にはフィギュア商品や模型雑誌のデザインも手がけてきた古賀氏ではあるが、自身の作品に対する考え方は思った以上に「模型づくり」と通じ合うものがある。……と言っても今ひとつピンと来ない人が多いと思うので、さっそくご本人の話を聞いてみよう(写真は阿佐ヶ谷ロフトAで開催されていた個展「ちくたこ」より)。

“水中ニーソ”の根幹には、ガンプラを使った特撮写真があった


── 古賀さんは女性モデルがプール内を泳ぐ「水中ニーソ」シリーズで有名ですが、高校2年生のときに撮ったガンプラの特撮写真が、ルーツにあるそうですね。

古賀 1989年当時は「ガンダム・センチネル」(モデルグラフィックス誌に連載されていた模型連載企画)を見ていて、「どうすればガンプラの写真を、こんなに特撮映画っぽく作れるんだろう?」と考え、自分なりに答えを模索しました。自分で作ったガンプラを撮影して、プリントしたものをデザインカッターでていねいに切り抜いて、家にあった何かのカレンダーの上に置いて、ガラスを重ねて密着させて……無反射ガラスじゃないからテカってるんですけど(笑)、これはこれで、いま見ても面白いとは思うんです。

── モビルスーツ単体をカッコよく作ろうとは思わなかったんですか?

古賀 もちろんカッコよく作りたくて、全体にかなり手を加えています。ジムのシールドの裏が完全な平面になっていて、盾ではなくてプロペラントタンクという勝手な設定なんです。ムサイに襲いかかるときには、シールドを切り離す。そんなシーンを想像する程度には、宇宙世紀オタクだったんです。


── だけど、最終的な作品は特撮というか写真という平面、印刷物を目指したわけですね。

古賀 ええ、1993年にフリーペーパーを創刊することになりますが、紙だとか雑誌に対する憧れのコアな部分に「ガンダム・センチネル」があったのは確かです。

── モデルグラフィックス誌に、「実在しないプラモデルの組み立て説明図」を連載(1997〜1999年)していましたね?

古賀 モデルグラフィックス誌にデザイナーとして関わるようになって、「なにか連載やりませんか?」と誘われ、当時描いてあったウソプラモの説明図を提案したことがキッカケです。だけど、あの連載から20数年たって、今は何がプラモデルになってもおかしくない時代になりましたよね。プラモデルになっていなくても、海洋堂が七輪なんかも食玩にしてしまったので、「こんな製品があるわけない」というギャグが、今では成立しなくなってしまった。食玩ブームの頃、僕は海洋堂の仕事からは離れていましたし……。


── それ以前には、海洋堂の仕事もされていたわけですね?

古賀 ええ、アクション・フィギュアのパッケージをデザインしていました。「北斗の拳」、「タイガーマスク」、「装甲騎兵ボトムズ」など、海洋堂が完成品アクション・フィギュアを出しはじめた初期です。同時期にCOOL TOYSというフィギュア雑誌(ワニブックス)の表紙と本文もデザインしていました。

── 高校時代にガンプラの特撮写真を作って、その後はフィギュア製品や模型雑誌のデザインに関わったわけですね。「ガンプラを作ってプロモデラーになってやろう」とは考えなかったのですか?

古賀 当時、模型雑誌のライターの中には10代の人までいましたから「くやしい!」と思って、自分のガンプラを模型雑誌に持ち込んだことがありました。僕は長崎県の出身なのですが、家族旅行で「夢工場’87」(東京・晴海で開催されたイベント)に行ったとき、ひとりだけ別行動で模型雑誌の編集部へ行ったんです。ホビージャパンは門前払いでしたけど、モデルグラフィックスは作品を見てくれました。だけど、当時は進路のことをそれほど真面目に考えていたわけではなくて、「機動警察パトレイバー」の同人誌を作ったりしていました。

── 漫画ですか?

古賀 いえ、模型の写真を使った同人誌です。「レイバーマガジン」といって、モーター誌のパロディなんです。晴海のレイバーショーに取材に行くという想定の架空の雑誌(笑)。のちに仕事としてやることとほとんど変わらない遊びをしていましたね。

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