カップヌードルのプラモデルって、本当に組み立てて面白いの? BANDAI SPRITSさんに聞いてみた!【ホビー業界インサイド第62回】

2020年08月29日 11:300

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「あのカップヌードルが、プラモデルになる!」――と聞いて、「おお、ついに!」と思った人はいるのだろうか? 「なぜ?」「どうやってプラモデルにするの?」「そもそも作って面白いのか?」と怪訝に思った人のほうが多いのではないだろうか。
BANDAI SPRITSの「BEST HIT CHRONICLEシリーズ」はこれまで、実物の2/5縮尺でプレイステーションとセガサターンをプラモデル化してきた。ガンプラで培われた成形技術が惜しみなく投入されたキットだったが、「BEST HIT CHRONICLE 1/1 カップヌードル」は“誰にでも親しみのある食品をプラモデルにすることの意味”を問いかけてくる。BANDAI SPRITS ホビー事業部の寺島 塁さんに、詳しいお話をうかがった。

組み立てれば、カップヌードルの内部構造を理解できる


── 昨年2月に開催された “「つくる」のホントを知ってるかい?”展の会場で、チョコレートや柿の種のプラモデル試作品に混じって、セガサターンなどのプラモデルが初展示されました。今回のカップヌードルも、その路線と考えていいんですか?

寺島 そうですね、“「つくる」のホントを知ってるかい?”展では「我々は、つくる喜びを発信していきます」という意味のメッセージとして、“FUNPORTER”という言葉を使いました。厳密にいうと、“「つくる」のホントを知ってるかい?”展を開いた当時は、まだ「BEST HIT CHRONICLEシリーズ」の企画はありませんでした。しかし、つくる喜びを伝える製品という本来のメッセージにおいて、「BEST HIT CHRONICLE 1/1 カップヌードル」は、“FUNPORTER”の考え方の延長線上にあります。

── 一般の人に、BANDAI SPRITSさんの持っている成形技術を広くアピールする意味もあるのではないかと思うのですが?

寺島 静岡にあるバンダイホビーセンターが誇る成形技術により、カップの商品ロゴや、特徴的なデザインにいたるまで成形色で色分けすることができていますし、麺塊や具材のパーツ形状もしっかり成形されています。40年前にガンプラに触れていた方たちに、「今のプラモデルは接着剤も必要ないし、こんなにも進化しているのか」と、“プラモデルの進化”を感じていただけらうれしいですね。


── しかし大量生産しようとすると、安定した品質を保つための管理が大変ではないでしょうか。

寺島 確かに、商品化実現までに、いくつかの問題に直面しました。例えば、ヒケと呼ばれるパーツ成形の収縮や、パーツ強度の問題ですね。肉厚のパーツを成形するとヒケができてしまうのは、ほかのプラモデル開発でも悩ましい問題です。今回のカップヌードルでは、具材などのパーツを一発で成形しようとしていますから、どうしてもヒケが発生する可能性が高まってしまいます。
また、カップのパーツでも、リアリティを追及するため、なるべく本物に近い厚さを再現したかったのですが、色分けのためにパーツを重ねていくと、どんどん分厚くなってしまいます。かといって、パーツひとつひとつを薄くすると、今度はパーツ強度が保てなくなります。そうしたリアリティの追求と生産性とのせめぎ合いは、常にありました。

── プレイステーションやセガサターンは、内部に基盤が再現してある点が、組み立てる過程で面白く感じました。カップヌードルの場合、組み立てるうえでのポイントは何でしょう?

寺島 ゲーム機ならば、内部構造がどうなっているのか、分解した経験がある人なら知る機会はあったと思います。しかし、カップヌードルの内部で麺がどういう状態になっているのか、日常生活のなかで割って見る機会はなかなかありませんよね。このキットではカップヌードルの特徴である“疎密麺塊構造”や“中間保持構造”を再現しておりますので、このキットを組み立てると「そうか、こんな構造になっていたのか」と、理解しながら楽しんでいただけると思います。

── 実際のカップヌードルの仕組みを理解できるよう、パーツ分割を考えているんですね?

寺島 はい。構造理解のほかに、カップのデザインをいかに成形色で再現するかにも、こだわってパーツを分割しています。キャタピラ状の模様を成形色のみで再現するため、いくつもの輪を重ねて円柱(カップ)を構成する独特のパーツ分割になっていたりいます。

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