ホビージャパン社が本格的スケールモデルを展開しはじめた理由、誰もが憧れる「74式戦車」プラモに搭載された超絶ギミック開発の舞台裏【ホビー業界インサイド第86回】

2022年11月27日 09:000
ホビージャパン社が本格的スケールモデルを展開しはじめた理由、誰もが憧れる「74式戦車」プラモに搭載された超絶ギミック開発の舞台裏【ホビー業界インサイド第86回】

模型専門誌「月刊ホビージャパン」の発行で知られる株式会社ホビージャパンが、陸上自衛隊の「155mm りゅう弾 FH-70」を1/35スケールでプラモデル化した。かなり渋いアイテムなので「雑誌や本の出版社が急にどうしてこんなプラモを?」ととまどってしまうが、実際に組み立ててみると、300個に迫る精緻なパーツ群と細かな可動ギミックに舌を巻く。ちょっと凝りすぎでは……と思ってしまうほど、熱気のこもったキットなのである。
このHJMミリタリーシリーズの第3弾として、1/35スケールの陸上自衛隊「74式戦車」が来春発売に向けて準備中だと聞いた。その裏に隠された壮絶な開発秘話を、ホビージャパン・ホビー開発課の高橋誠さんにうかがってきた。

第1弾に「陸上自衛隊の155mm りゅう弾砲 FH-70」を選んだ理由、そして設計者に断られるほど困難な設計


── ホビージャパンさんが美少女フィギュアを開発していることは知っていましたが、いきなり本格的なスケールモデルが発売されたので、驚きました。

高橋 弊社は雑誌をつくっている会社と思われがちなのですが、実際には雑誌“も”つくっている会社です。小売店として創業し、1960年代に発行されたミニカーを扱う小冊子が起点になっています。現在ではフィギュアやゲームを開発する部署もありますし、私の部署では主にミニカーをつくっています。事業部制ですから、通常のメーカーと業務内容は変わりません。私は他社から移籍してきて、3~4年前からプラモデルなどミニカー以外のジャンルの商材を開発させて頂いています。

── 高橋さんが以前にいらしたのは、模型メーカーですか?

高橋 静岡県の青島文化教材社(アオシマ)です。
「企画」という仕事は単にアイデアを出せばいいというものではなく、1円単位でコストを考えて、どの問屋さんにいくらで卸して……とビニール袋1枚、ネジ1本、紙1枚にいたるまですべて計画して、手配しないといけません。静岡にいたころに付き合いのあった業者さんたちを丸々使うわけにいかないし、アオシマに在籍していたころは企画開発のみで購買には関わっていなかったので、まずは業者を探すところから始めました。金型は金型屋さん、成型は成型屋さんにお願いするのですが、製品のセットだとか箱や説明図などの印刷だとか、プラモデルの体裁を整えるインフラが東京には見当たらないので、困りました。結局、静岡にいたころのツテを頼って、何とか製品の形にできました 。

── ところで、第1弾は「155mmりゅう弾砲 FH-70」ですよね。ホビージャパンが最初に発売するスケールモデルとしては、マニアックすぎる気がするのですが?

高橋 確かに、ミリタリーに詳しくない人からは「地味だね」と言われるのですが、自衛隊の装備が好きな人たちからは「いつ出るんだろう?」「まだ出ないのかな」と期待されていたのが「FH-70」なんです。また、ホビージャパンの開発課はミニカーの世界では認知されているのですが、模型メーカーとして広く知られているわけではありません。しっかりとしたスケールモデルを開発できて、初めてメーカーとして認められるものと個人的には思っています。今はキャラクターモデルがメインの大手模型メーカーさんだって、過去にはミリタリーモデルやカーモデルを発売していました。企画開発に携わってきた者の肌感覚として、「第1弾で簡単なものを発売するのはよくない」とわかっているんです。また、FH-70はほかのメーカーからは絶対に出ないと思っていました。なぜかと言うと、りゅう弾砲のプラモデル、特にFH-70のように可変する砲は、ずば抜けて設計が大変であること。それと、高コストだからです。当初は、「これはとても無理だ」と設計者に断られてしまったほどです。昔から懇意にしていた設計者にお願いして、何とか実現できました。


── そんなに大変なんですか?

高橋 りゅう弾砲は車輛と異なり、隠すところがないんです。簡略化すると、どうしてもイメージが違ってきてしまう。それと、このキットは完成後にも可変する仕様なんです。

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