ふるさと納税でプラモデルが手に入る? マイクロエース(有井製作所)が、新橋駅前の蒸気機関車をプラモ化する理由【ホビー業界インサイド第69回】

2021年03月20日 11:000

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ふるさと納税でないと手に入らない、超ローカル・プラモが蕨市にあった!


── しかし、現在のアリイさん……というかマイクロエースさんのサイトを見ると、プラモデルよりも鉄道模型が多いですよね。

有井 メーカーになったときに金型をゆずってくれたオリエンタルモデルが、プラモデルで鉄道モノを開発していたんです。オオタキも鉄道プラモを出していて、その金型も一部、ウチにあります。線路をしいてコントローラーで走らせる、プラモデルではない鉄道模型にはHOゲージとNゲージがあります。

福島 鉄道模型は縮尺ではなく、線路の幅が基準なんですよ。Nゲージは線路幅が9ミリ、縮尺にすると1/150。HOゲージは線路幅が16.5ミリで、縮尺は1/80です。走行させるために線路というインフラを共通で使うもんですから、海外のNゲージは1/160スケールだったりします。プラモデルの世界では考えられないことですが、国際規格はあくまでも線路幅(ゲージ)が主体なんです。

有井 戦後、日本経済が発展してマンション、アパートが多くなってきました。四畳半や六畳間に住む日本人にとって、HOゲージは大きすぎるんですね。金額も高いし、走らせる場所もない。それで日本では、Nゲージが流行ったわけです。


── 今回発売する「新橋駅前 C11 292」は、どれぐらいの大きさなのですか?

福島 1/50スケールです。NゲージでもHOゲージでもなく、ディスプレイ用のスケールです。5の倍数はメートル法の影響で、フランス系とも呼べますね。エレールというフランスの模型メーカーは、1/125や1/100スケールで商品を出しています。いっぽう、プラモデルで一般的な48や72のような12や6の倍数は、ヤード・ポンド法の影響でしょう。1960年代の日本で、どちらを基準にしたかで、流派が分かれていると思われます。

分かれているといえば、鉄道模型とプラモデルの畑も分かれています。ですが、鉄道模型のカテゴリーの中でも、プラキット形式の製品は存在しています。たとえば、グリーンマックスはプラキット形式でNゲージを発売しています。それらのキットは商品形態こそプラモデルそのものですが、動力を組みこめば走らせることもできる鉄道模型です。



── なるほど、今回の「新橋駅前 C11 292」は走らせることのできない完全なプラモデルなわけですね。しかし、どうして新橋駅前のSLをプラモデル化しようと思ったのですか?

福島 まず、ベースとなるプラモデルがありまして、東宝模型が1970年代に発売したC11のキットです。およそ50年前のキットですが、これに新しく開発したランナーを加えて、新橋駅前に飾られているC11 292を作れるようにしよう、と考えました。

有井 同じC11でも、製造された年度によって違いがあります。その差異を新規部品として再現しています。では、どうして新橋駅前のC11なのかというと、ここ蕨市の大荒田交通公園に、C11-304という機関車が展示されています。それを1/150、つまりNゲージで鉄道模型の製品にしました。そしてこの「C11-304 蕨保存車」は、店頭では買えません。ふるさと納税の返礼品なんです。

── 出身地や好きな自治体に寄付して、お礼の品がもらえるという「ふるさと納税」ですか?

有井 そうです。この「C11-304 蕨保存車」の製品がかなりの人気で、全国から申し込みが来ます。ただ、「ふるさと納税の返礼品は地元の蕨市民は買えない」という意見が寄せられまして、蕨市民体育館などで限定販売しています。話題になったので、蕨市のブランド認定品に選ばれました。


── C11-304のプラモデル以外では、双子織日傘や蕨もちなどが選ばれていますね。

福島 304号機のNゲージ返礼品は好評でしたが、手のひらサイズでは小さくて迫力に欠けます。可愛いんですけどね。「大きなサイズのC11ならウチに1/50のプラモデルがあるじゃないか、304号機はつくれないのか」と調べたところ、部品をいくつか追加することで展開可能とわかり、どうせ部品をつくり起こすなら……と欲張って、いろいろ調べはじめた次第です。

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