ずっと厳しい状況の中国7月新作アニメ事情と、中国オタク的転売事情【中国オタクのアニメ事情】

2021年09月12日 11:000
ずっと厳しい状況の中国7月新作アニメ事情と、中国オタク的転売事情【中国オタクのアニメ事情】

中国オタク事情に関するあれこれを紹介している百元籠羊と申します。
今回は中国の動画サイトで配信されている日本の7月新作アニメの動向や、日本でも何かと問題になっている転売問題に関する中国のオタク界隈の事情や考え方などについて紹介させていただきます。

厳しい状況の中、異世界系作品が安定して人気となっている7月新作アニメ


今年に入ってから中国では日本のアニメに関する炎上、規制や自主規制が断続的に発生しています。7月のシーズンはそれ以前と比べればやや落ち着いてきてはいるものの、状況が好転する気配もないことから中国のオタク界隈でも厳しい空気が漂っているそうです。

中国ではこれまでも政治的社会的な理由などによって日本のコンテンツに圧力が加わり、扱うのが困難になる事態が繰り返し発生してきました。そしてそのたびに「来シーズンは日本の新作アニメの版権を獲得するところがなくなってしまうかもしれない」という話が出ていましたが、現在の状況や業界の見通しから、その予測がいよいよ現実味を帯びてきた……などといった声も聞こえてきます。

そんな厳しい状況が続く7月のシーズンではありますが、人気作品や中国独自の評価が見て取れる作品も出ているそうなので、大雑把ではありますが以下に紹介させていただきます。

7月の新作で好調なのは、まず「転生したらスライムだった件 第2期 第2部」「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…X」といった人気作品の続編だそうで、前作によって確立された評価と支持層による後押しがそのまま人気と再生数の伸びにつながっている模様です。
またこの2作品はライトなオタク層や一般層からの人気も高いので、「厳しい環境」の中でも堅調だそうですし、ほかにも現在の中国の環境では「男性主人公」ではないというのがある種の安心感につながっているという見方もあるそうです。

これについては、近年の中国では男性主人公とヒロインの関係、特にハーレム的な展開(だと受け取られる内容)において主人公がカッコ悪くなり、キャラとしての「格」が落ちると受け取られがちなことに加えて、作中の恋愛や家庭などに関する価値観に対するフェミニズム的な観点からの批判による炎上リスクが急上昇していることなどが影響しているのだとか。

もちろん男性主人公ではない作品にハーレム的な展開がないわけではないのですが、男性主人公によるハーレム的な展開はわかりやすく批判の的になりやすいので、配信する側も見る側もまず「この作品は炎上しないか?」という不安がよぎってしまい、安心して物語に没入できないといった声も目立つそうです。

ほかにも好調な作品としては、「月が導く異世界道中」「探偵はもう、死んでいる。」「ぼくたちのリメイク」などがあるとのことです。そして中国で7月のダークホース的な勢いで人気を獲得しているのが「迷宮ブラックカンパニー」だそうです。

「迷宮ブラックカンパニー」は、「ファンタジー世界の企業での成り上がり」というストーリー展開や演出が好評で、それに加えてブラック企業を元ネタにした世界観も現在の中国では何かと刺さってしまっているとのことです。
近頃は日本のメディアで、中国の「寝そべり族」などについても報道されているかと思いますが、現在の中国でも、ブラック企業で搾取されるというのは他人事ではなく、何かと感情移入してしまう題材となっているようですし、日本の「社畜」という概念や言葉も、中国のオタク界隈では普通に使われるようになっています。

中国のオタクの方によると
「現実で嫌というほど体験させられている社畜の生活をアニメで見てどうするんだという気分だったが、試しに見たら面白くてハマった」
「ブラック企業ネタのせいで、逆にみんなで気楽に見るのに向いている作品となっている」
などといった感想も出ているそうです。

ただ中国のオタク界隈ではこの作品が人気になるとともに修正部分の多さに関する不満も増えているそうです。この作品に限らず、最近になって日本のアニメが中国で配信される際にカット、修正される部分が急増しているようですが、なかでもお色気的な部分の自主規制はかなり厳重になってしまっている模様です。

中国のオタクの方の話では、この記事を描いている時点でも、まだ配信の動きがない中国における7月新作最大の期待作であった「小林さんちのメイドラゴンS」に関しても、
「第2期に登場したキャラの露出具合を考えると、仮に修正を行うとしたら一体どれだけの修正を行わなければならないのか……」
などと頭が痛くなる状況のようですし、事前に積極的な宣伝を行っておきながら配信が行われない事態の原因としても、こうした自主規制が比較的有力なのではないかといった見方も出ているとのことです。

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