【中国オタクのアニメ事情】中国における1月新作アニメの人気。「けものフレンズ」に困惑し「メイドラゴン」で日本社会を知る

アキバ総研 | 2017年03月12日 12:00
【中国オタクのアニメ事情】中国における1月新作アニメの人気。「けものフレンズ」に困惑し「メイドラゴン」で日本社会を知る

中国オタク事情に関するあれこれを紹介している百元籠羊と申します。
今回は中国の動画サイトで配信されている日本の1月新作アニメの人気の動向や、その周辺事情などを紹介させていただきます。

中国は春節(旧正月)に合わせたスケジュールとなっているので、1月のシーズンは長期休暇と重なり学生も基本的には実家に帰ることから中国のオタク界隈の動きも鈍くなるのですが、今年は話題作が出たことや中国のオタク関係の環境が変化しているのもあり、昨年や一昨年と比べてずいぶんと新作アニメについて盛り上がっているようです。


日本と中国の感覚の違いが出た1月の話題作


1月の新作アニメの中で人気と話題性で頭一つ抜けた作品となったのが「小林さんちのメイドラゴン」です。
中国のオタク界隈で影響力の高い「京アニブランド」の作品ということで最初から注目を集め、内容に関しても広範囲の人が気分よく楽しめるコメディとキャラクターとなっているのに加えて、作中に散りばめられている日本社会ネタの話題性などもあり、全体的に高い評価となっている模様です。

最近の中国では「気持ちよく見られる」というのを評価する声が目立つようになってきていますが、それはアニメのストーリーやメインキャラの言動に関して引っかかりや反発を覚える人がいることと、そういった話題が広まって作品叩きにつながりやすいといった事情の表れでもあるそうです。

そのような方向の反発や批判は、複数のヒロインが出てくるハーレム的な要素のある作品では特に多く、「主人公が不快なので作品もダメ」といったことになってしまう作品も珍しくないそうなのですが、「小林さんちのメイドラゴン」では、中心となるキャラの小林さんが社会人で包容力も甲斐性もあるキャラになっていることもあってか
「性別は女性だが理想的なハーレム系作品の主人公のいる作品」
という評価も出ているようです。

それに加え「小林さんちのメイドラゴン」は、作中で日本の会社や小学校の生活における日常や、日本の社会で生活を始める際に必要になって来る物と費用などに関する描写がストーリーの中で無理なく面白く紹介されているのもよいという話です。この辺りに関して
「実は今までなかった日本の日常生活の具体的な描写、たとえば文房具やランドセルなどの値段やそれに対する日本人の感覚が出て来る作品」
ということで、日本社会ネタの側からも話題になっているとのことです。


このように、理解を深める方向で話題になった「小林さんちのメイドラゴン」に対して、中国では日本での人気が「理解不能」ということで困惑気味の話題になったのが「けものフレンズ」です。

現在日本でもさまざまな方面で話題となっている「けものフレンズ」ですが、中国では日本のアニメを配信している主要な動画サイトすべてで配信されてはいたものの、日本での人気の爆発や関連商品の各種ランキング入りなどのニュースは完全に寝耳に水となった模様です。

中国で「けものフレンズ」は放映開始前の時点ではほとんど注目されていなかったことに加えて、実際に第1話をチェックしていた人の間でも
「低クオリティの3Dアニメ」
「動物園職員の解説がある低年齢向け教育アニメ」
などと受け取られていたそうです。中国のオタク界隈でよく言われている
「新作アニメはとりあえず3話まで見てから視聴を続けるか判断する」
というのも待たずに、早々と見切りをつけてしまった人がほとんどだったとか。
そしてその後、唐突に「日本で大人気」「今期の覇権作品はけものフレンズになるかもしれない」といった情報が入り、困惑するオタクの人達が続出したとのことです。

「けものフレンズ」の人気を理解するには作品の内容に加えて、日本のネットで飛び交う「たーのしー! 」「すっごーい!」「きみは○○のフレンズなんだね!」
といった「けものフレンズ」関連の用語に関しても把握する必要があるかと思いますが、中国語に翻訳したとしてもわかるのは意味だけで、語感やそれらの用語によって行われるやり取りの空気まで理解するのは難しいのだとか。

また、なかには文明崩壊後の世界を舞台にした実は鬱なストーリーなのでは……といったSF的な方向からの分析により、日本における人気の爆発を理解しようとする人も出ているそうですが、それだけでは日本のネット上の空気まで理解することができないので、やはり困惑することになってしまうそうです。
日本でも「けものフレンズ」の突然の人気に関してとまどう声は少なくありませんが、中国では日本以上に「けものフレンズ」の人気の意味を把握するのが難しく、一部では日本のオタク界隈よりもさらに困惑した空気が漂っているという話も聞こえてきます。


このように、中国のオタク界隈独自の反応が強く出たシーズンではありますが、話題作も多く全体的に見てもかなり盛り上がっている模様です。
ほかにも、「ガヴリールドロップアウト」や「この素晴らしい世界に祝福を!2」、「セイレン」、「風夏」、「SUPER LOVERS 2」などが好調のようですし、人気はあるものの内容的に配信できるのか不安の声があった「幼女戦記」も、今のところは無事配信されているようです。


字幕組逮捕事件が続き、アニメ視聴環境の変化についての不安も


最後に、新作アニメの人気と直接の関係はありませんが、今後の中国のオタク界隈に影響を及ぼす可能性のある動向を紹介させていただきます。

日本では今年の2月にも中国のファンサブグループ、通称「字幕組」の関係者が違法アップロードにより逮捕される事件が起きましたが、字幕組の名前が出る形での事件は昨年の9月と10月に続きこれで3回目となります。

昨年の9月に日本のニュースで字幕組の名前、それも中国の大手古参字幕組の名前が出る形で初めての逮捕者が出た事件は中国のオタク界隈にも非常に大きな衝撃を与えましたし、その後の事件もニュースの衝撃や話題性という面では徐々に小さくなっているものの、日本における取り締まりの強化を強く意識させられるものとして受け止められているようです。

中国のオタクな人達は多少の違いはあれど、ほぼすべての人がファンサブ活動の影響を受けてきたところもありますし、ファンサブ活動をする字幕組への態度は日本の一般的な感覚に比べて非常に肯定的なものとなっています。

しかし最近では、徐々に中国のオタク界隈の認識も変化しているそうで、ファンサブしかない時代とは違って正規配信も増え、日本での取り締まりも活発になってきている今の時代になってもまだファンサブ活動をやり続けるのはどうなのかという考えの人も出てきているそうです。

ただそれと同時に、最近の中国における日本のアニメの正規配信モデルの変化、新作アニメの話題作の独占配信と有料会員向けサービスへの活用などの動きから、今後は徐々に、いつでも好きなようにアニメを見ることができなくなるのではないかという不安も出ているとのことです。

このような最近の事件や環境の変化などから、中国のオタクな人達も昔と同じようなことを続けられるわけではなく、ずっと好き勝手にアニメを見られるとは限らないと意識せざるを得ない状況になってきている模様です。


(文/百元籠羊)


(C) クール教信者・双葉社/ドラゴン生活向上委員会

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