【中国オタクのアニメ事情】中国における4月新作アニメの動向など。中国での炎上が即座に日本側関係者への抗議となる

アキバ総研 | 2017年05月06日 12:00
【中国オタクのアニメ事情】中国における4月新作アニメの動向など。中国での炎上が即座に日本側関係者への抗議となる

中国オタク事情に関するあれこれを紹介している百元籠羊と申します。
今回は中国の動画サイトで配信されている日本の4月の新作アニメの動向などを紹介させていただきます。

4月の新作アニメは中国のオタク界隈でも話題になりやすい作品が揃った1月に比べて初動はやや落ち着いたものとなりました。しかしそんな中でも中国の日本アニメ視聴者の注目を集める作品がイロイロと出ている模様です。


過去の人気作品の流れを意識させられる作品への注目


4月の新作アニメの中で最も注目を集めた作品は間違いなく「BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS」でしょう。
前作に当たる「NARUTO」が中国の若者に与えた影響は極めて大きく、現在も中国における日本アニメの看板的な作品となっています。過去には「NARUTO」経由で日本アニメや、オタクとしての活動を意識するようになるのが一般的な流れとなっていた時代もありましたし、多少の違いはあっても現在の中国のオタクの主流世代のほとんどが「NARUTO」の洗礼を受けていると言えます。

また「NARUTO」はその高い人気からオタク層だけでなく、日本と比べてアニメ視聴に抵抗がない中国の一般層の間でも定番作品として視聴されていましたから、「BORUTO」も大きな失敗がなければ日本アニメの定番作品の1つとして扱われるようになるのではないかと思われます。

それからオタク層の間では「エロマンガ先生」や「Re:CREATORS(レクリエイターズ)」といった作品が比較的大きな話題となっているとのことです。

「エロマンガ先生」は中国のオタク界隈でも過去に一時代を築いた「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」と同じ原作者、イラストレーターによる作品ということから注目を集めたようです。
当時の中国における「俺妹」の人気に関しては、各ヒロインに強烈なファンが付いたり、作中のオタクネタや物語の展開に関する日中のオタク感覚の違いによる熱狂や反発が出たりなど、さまざまな方向への盛りあがりがありました。
中でも原作小説の終わり方に関する炎上は中国のファンの「肉親系ヒロインに対する強烈な反発」による影響も加わっての大爆発となるなど、中国オタク事情的に良くも悪くも非常に興味深い作品でした。

そのような背景からか「エロマンガ先生」に対しては「俺妹」の終わり方に納得がいかなかったかつての俺妹ファンから
「今度は血のつながった妹ではないから安心できるヒロインだ! しかも俺妹の桐乃よりカワイイ!」
といった歓迎の声があがっているそうですし、
「『俺妹』の時のように好きなヒロインによる派閥が生まれ争いが起こるのだろうか?」「ファン同士の争いでゴタゴタしたが楽しかったのも間違いないので、もう一度あの時のような空気を味わってみたい」
などといった話も聞こえてきます。

「エロマンガ先生」に関して中国のオタク界隈では
「ラノベ作家という中国ではマニアック過ぎる設定についていける層がどれだけいるのか?」
という不安の声も出ているようで、今後のファンの広がり方に関して「俺妹」のようになるかはわかりませんが、少なくとも4月新作の初動の中ではトップクラスの人気と話題性を獲得している模様です。

次に「Re:CREATORS」ですが、こちらも当初は制作スタッフ陣から過去の人気作品、特に「アルドノア・ゼロ」との関係が意識され話題になっていたそうです。
また作品の設定に関しても創作物の中から現実世界にキャラが出て来る、他の作品のキャラと関わっていくという、中国のオタクな人々にとっても非常にわかり易い、妄想した経験のある内容だったことから注目を集めたとのことです。

そして始まってみればストーリー展開に加えて、媒体やジャンルによる表現や傾向の違いが作中で絡み合うさまざまなメタネタに関しても、現在の中国のオタク界隈ではきちんと理解でき、その後の展開の予想材料として活用しやすいということもあり、話題性という面でもかなり盛りあがっているそうです。

これらの作品の他にも「夏目友人帳 陸」が第6期になっても人気を維持し続けているようですし、ラノベ原作系では「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」や「サクラダリセット」が、またラブコメ系作品では「冴えない彼女の育てかた♭」が注目や話題を集めるなど、4月の新作アニメは開始前に関してはややおとなしかったものの、実際に始まってみれば評判の良い作品がそれなり以上に出ています。

また、それ以外にも中国国産系のアニメでは原作小説が日本でも展開されている「マスターオブスキル」や、日本のクリエイターが参加している「兄に付ける薬はない!」といった作品が話題になっていますし、4月の新作アニメに関しても中国のオタク界隈ではさまざまな動きが出ている模様です。


改めて見えてきたオタク系コンテンツの中国展開リスク


最近の中国では日本のアニメ人気や新作アニメとの連動もある日本系ソーシャルゲームの中国展開が目立つようになってきていますし、現地でかなりの人気を獲得するケースも出ています。
しかしそれと同時に今までとは少々異なる流れで作品に対する批判が巻き起こり炎上する、それも日本にまで影響する形での炎上になるケースも目に付くようになってきています。

ここしばらくの間に中国で起こった日本のソーシャルゲーム関連の大きな炎上としては「刀剣乱舞」と「Fate/Grand Order」のものがあります。
炎上に至った原因としては
・「刀剣乱舞」は千代田のさくらまつりとのコラボイベントにおいてスタンプラリーのスタンプ設置場所の1つが靖国神社になっていた
・「Fate/Grand Order」は日本で発売された雑誌に掲載されたゲーム関連の短編小説に登場した始皇帝が醜い怪物として描写されていた
というものでした。

炎上の際には日本の運営や関係するクリエイターに対して中国のユーザーから直接的な抗議と要求が行われ、さらには日本と中国のファンの認識やスタンスの違いが浮き彫りになり、その結果一部の日本のファンと中国のファンが対立或いは断絶状態になってしまうといったことも起こっています。

これらの内容は確かに中国では問題になるものです。
靖国神社関係は中国では非常に敏感な問題となっていますし、始皇帝は日本の暴君的なイメージと違い中国では若者の間でも非常に人気の高い帝王であり英傑であるという存在となっていますから、反発や抗議が出るのは無理もないとも言えます。

しかし、それと同時に日本の感覚では作品の背景や設定、これまでに展開された関連作品などから、作品の知識を持っているファンであれば理解を期待できる範囲の内容でもあったようです。それに加えて炎上した時点では日本のみでの発表で中国向けに展開されたものではなかったという事情もあります。

これらの炎上からは
・中国におけるサービスを展開している場合、日本のみの内容であっても中国からの抗議が日本の運営や関係するクリエイターに対して飛んでくる
・中国で熱心なファンの多い作品であっても現地に広まっている一般的な情報や作品に対する解釈が日本と異なるケースがあり、日本のファンと同じような理解や許容を期待するのは難しい
・炎上への対応次第では日中のファン同士の対立や、日本のファンから「日本のユーザーをないがしろにしている」という批判なども起こってしまう
といったリスクも見て取れます。

現在の環境では、日本の情報もタイムラグなしで中国に伝わり拡散されることになりますし、Twitterなどを通じて中国から日本側の関係者にアクセスするのも容易になっています。
アニメ作品やその関連サービスを中国で展開する場合には、日本国内における作品展開に関しても、中国関連のリスクやそれに伴う日本のファンなどへの対応も意識することが必要になってきているのではないかと思われます。


(文/百元籠羊)


(C) 岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ

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(C) 2016 伏見つかさ/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/EMP

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(C) 2017 広江礼威/小学館・アニプレックス

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(C) 河野裕・椎名優⁄KADOKAWA⁄アニメ「サクラダリセット」製作委員会

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(C) Tencent. All Rights Reserved.

刀剣乱舞-花丸-

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(C) 2016 アニメ『刀剣乱舞-花丸-』製作委員会

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