【中国オタクのアニメ事情】中国における4月新作アニメ人気、4月はいろいろな意味で盛り上がったシーズンに

アキバ総研 | 2016年06月19日 12:00
【中国オタクのアニメ事情】中国における4月新作アニメ人気、4月はいろいろな意味で盛り上がったシーズンに

中国オタク事情に関するあれこれを紹介している百元籠羊と申します。

今回は中国の動画サイトで配信されている日本の4月新作アニメの人気や、その周辺の状況などについて紹介させていただきます。


4月新作の人気作、話題作


4月は中国のオタク界隈でも当たりとされた作品が多く、作品に関する話題も活発で再生数の伸びに関しても全体的に活発なようです。

その中で、前回の記事でも取り上げた2作品、「Re:ゼロから始める異世界生活」と「坂本ですが?」が初期の人気をそのまま保ち、話題を提供しながら盛り上がっているのが特に目に付きます。

 

「Re:ゼロから始める異世界生活」は現在の中国の感覚でも理解しやすい、現地でもお約束的なネタとなっている異世界トリップ系の作品でありながら、お約束の通りに「単純に異世界で強くなって大活躍する」わけではないという点も現在の中国における人気や話題性につながっている模様です。

 

中国では「穿越」と言われているトリップ系のジャンルに影響を与えた日本の作品は少なくありません。代表的なものを挙げれば、古くは「龍狼伝」や中国のオタク黎明期に関しては「ゼロの使い魔」などもありますし、近年の中国で大きな発展を遂げているネット小説からトリップ系に触れたような世代でも、日本のトリップ系作品に関する「お約束」は問題なく理解できるそうです。

 

また「坂本ですが?」の人気に関しては、現在の中国のオタク界隈で主流となりつつある「吐槽」(ツッコミ)を入れながら見ることのできる作品の強さや、コメディ系は一度中国のネットに刺さると非常に広い範囲で話題になり、雪だるま式に人気が拡大していくのというのを改めて実感します。

 

中国における近年のコメディ系の人気アニメは「現地でも予想外の人気」になった作品が多いのですが、「坂本ですが?」は原作の中国での評価も非常に高く放映開始以前から期待され、その期待を裏切らない人気を獲得しています。

そう言った面から考えると「坂本ですが?」は中国の日本アニメ事情において、ある意味では珍しく「予想通りに当たったコメディ系のアニメ」と言えるのかもしれません。

 

それから人気と話題性という面では「ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?」もなかなかに盛り上がっているようです。

現在の中国ではネットが娯楽の中心になっていますし、中国の若者はネット上の交流やネトゲの体験というのを基本的な知識として備えています。そういった背景もあってか、作中で描写されているダメな方向のネタも含めてのネットとリアルのギャップに関して共感したりツッコミを入れたりしながら楽しめるのだとか。

 

またそれに加えてヒロインが「主人公に養ってもらう主婦になる」といった目的で近付いてくるという点が、これまでのハーレム系の作品にはない、中国の感覚では予想外な珍しいヒロインとして衝撃を与えているようです。

 

そして一般寄りの層を中心に手堅い人気となっているのが「双星の陰陽師」です。

こちらは作品に関する話題という面ではあまり活発ではないようですが、配信されている各動画サイトで順調に再生数を伸ばしています。現時点における動画サイトごとの傾向を見ていくと、オタク層の視聴者が多いとされるサイトよりも、一般層、ライトな視聴者が多いとされる動画サイトのほうで人気になっているように見えるのが興味深いところです。

 

「双星の陰陽師」の一般層寄りの人気に関しては、中国の日本アニメ視聴者層における人気ジャンルの和風伝奇枠であり、オタク関係の前提知識やお約束の知識がそれほど必要ないということや、それに加えキャラクターデザインも一般層が受け入れやすいものだったとの影響もあるという話を聞きます。

 

以上の作品のほかにも、今期は「ハンドレッド」が複数の動画サイトで黙々と再生数を稼ぎ「お約束的な要素」と「お色気サービスシーン」の組み合わせの強さを見せつけたり、「くまみこ」が思わぬ面白さの日常系として、有料独占配信でありながらも結構話題になったりするなどしていますし、中国のオタク的には「当たり」の多いシーズンとなったのは間違いないようです。


有料配信の新たな動き


近年、中国の動画サイトでは無料配信とその広告収入という形以外の新たな収益モデルを模索する動きがいよいよ活発になってきていますが、日本の新作アニメも有料サービスなどの新たな収益モデルにおけるカードのひとつとして活用されるようになってきています。

 

ここしばらくの間では、「tudou」が日本の新作アニメの一部話題作を有料会員限定で配信するようになってきていますが、先日「PPTV」から独占配信の新作アニメを有料会員にのみ先行配信するというサービスが発表されました。

最近の中国では正規配信でアニメを見るのが正しい、よい事だという認識はずいぶんと広まっているものの、「アニメは無料で見れるもの、見れるようにするべきもの」といった認識もまだ根強く、有料サービスに関する反発は少なくなくありません。ですが、各動画サイトはさまざまな形でオタク層をターゲットにした有料サービスを推し進めている模様です。

 

中国の動画サイトではドラマや映画、スポーツといったジャンルに関してすでに有料配信や有料会員限定での配信が行われていますが、アニメに関してもいよいよ有料サービスの動きが目立つようになってきています。

中国の動画サイトにおけるアニメ関係の有料サービスが今後どのような形で発展していくのかについてはまだハッキリしませんが、日本の新作アニメを自国サイトの有料コンテンツとして活用するケースが増えてくることは考えられます。


影の話題作、「甲鉄城のカバネリ」


最後に、ある意味では今期最大の話題作となってしまった「甲鉄城のカバネリ」を取り巻く状況について簡単に紹介させていただきます。

前回の記事でも書いた通り、「甲鉄城のカバネリ」は4月末に配信中止となり、その後5月中旬に一部の動画サイトで配信が再開されるものの数時間でまた配信中止になり、一連の復活関係のアナウンスも消えるといったことが起こっています。

その後も、配信していた動画サイト側から配信再開をにおわせる発言が出るなどハッキリしない状況が続き、6月の中旬に入ってまた唐突に配信が復活するなどいまだに混乱が続いています。

 

これに加えて、配信中止が上のほうからの圧力によるものではないかという見方が強いのもあってか、中国のネットでは「鉄道遊撃隊」などの悪ノリ的な偽装タイトルをつけた「甲鉄城のカバネリ」の違法アップロードが活発に行われるなどの動きも出ている模様です。

 

「甲鉄城のカバネリ」に関しては元から注目が集まっていた作品が、規制によって話題が大きく広まり、定期的に燃料が投下され話題が持続している……といった見方もできます。

しかし、中国国内で積極的なプロモーションを行ったのにもっとも盛り上がるであろう時期に正規配信は中止となり、正規の配信から外れたところで盛り上がるという事態になってしまっていることから、中国のオタク業界のほうでも中国における新作アニメの展開に関して、改めてリスクを実感することになってしまったそうです。

 

4月は人気作品が多数出たこともあり中国のオタク界隈はかなり盛り上がっていますが、規制関係の動きなどからアニメの本編以外の部分に関しても妙な盛り上がりとなっている感があります。

また、これに加えて、中国の動画サイトのビジネスモデルの変化が日本の新作アニメに関しても目に見える形で及んできていますし、盛り上がりの方向性やリスクの大きさに関しては判断し難い状況がまだまだ続きそうです。

 

 

(文/百元籠羊)
(C) 長月達平・株式会社KADOKAWA刊/Re:ゼロから始める異世界生活製作委員会

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