【中国オタクのアニメ事情】中国における7月新作アニメの人気、中国の環境とファンに刺さる要素

アキバ総研 | 2016年09月18日 12:00
【中国オタクのアニメ事情】中国における7月新作アニメの人気、中国の環境とファンに刺さる要素

中国オタク事情に関するあれこれを紹介している百元籠羊と申します。

今回は中国の動画サイトで配信されている日本の7月新作アニメの人気や、中国のオタク界隈における配信アニメの人気の傾向などについて紹介させていただきます。


7月は続編系作品が安定した人気に


前回の記事でも書いた通り、ここしばらくの間、中国のオタク界隈では「Re:ゼロから始める異世界生活」が人気の中心となっていますが、7月から始まった新作アニメのほうにも話題になったり再生数を稼いだりしている作品が出ており、なかでも比較的安定した人気となっているのが続編系の作品です。

 

7月の続編系の作品には「食戟のソーマ」「D.Gray-man HALLOW」といった過去に中国でも高い人気となった有名なタイトルが含まれていますし、中国のオタク界隈でもそういった作品を「まずは押さえておく」といった考えの人が多いらしく、再生数においてはかなり好調のようです。

 

しかし話題性という面で見た場合、続編系の作品に関して中国では日本と比べて厳しいところもあるようです。中国は人気作品の入れ替わりが激しく、オタク層を取り巻く環境や作品の流行の変化も激しいことから日本よりもオタクの世代交代が活発に進んでいます。

 

続編が作られるようなレベルの人気アニメであっても、過去に中国で一定以上の強固なファン層を構築していない場合は厳しいようですし、続編が配信されるまでに間が空いてしまった場合は話題の広がり方の衰えも大きいとされています。またそれに加えて、一度勢いが落ちてしまうと元のような勢いに戻るのは非常に難しいという話も聞きます。実際、続編系作品の中には当初はそれなりに再生数を稼ぐものの、日本アニメ視聴者の間で話題が盛り上がらずいつの間にか埋もれていってしまうケースも少なくないそうです。

 

この辺りの中国における日本のアニメの続編の人気や話題性の維持の難しさに関しては、中国では日本のように関連商品を手軽に入手したりイベントに参加したりすることができない、関連情報も基本的にはネット経由の「伝達」および「翻訳」が必要なので現地のファンに届きにくいといった事情も影響しています。

作品数が増え作品の入れ替わりのペースも上がっている昨今の状況において、この中国独自の環境の影響は大きく、日本に比べてファンの熱が冷めやすい傾向も顕著になってきています。


原作人気とキャラクターデザインの影響


7月の新作アニメの中で、他の作品とは少々異なる人気の出方をしているのが「モブサイコ100」です。

中国では男性向け女性向け、一般向けマニア向け問わず、アニメのキャラクターデザインの影響が日本に比べて大きく、カッコいいキャラデザイン、それも現在の感覚でカッコいいデザインでなければ厳しいといった傾向が存在します。

 

そんな中国におけるキャラクターデザインに対する要求から考えると、「モブサイコ100」は明らかに「ハズレ」になるはずなのですが、現在の反応を見ていくとキャラクターデザインに対する反発は少なく、むしろ「個性があって味のある絵柄」として受け入れられているようなところも見受けられます。

 

実は中国では「モブサイコ100」の原作者であるONE先生の評価が非常に高く、すでに中国のネットを中心に大人気となっている「ワンパンマン」に関してもONE先生作画の旧web連載版のほうがよいとする熱心なファンが少なくありません。

そのため、「モブサイコ100」は中国で配信されるアニメにおいては珍しい、原作の作者人気が高く、ファン層がすでに形成され独特な絵柄についても認識されていたことにより、キャラクターデザインが中国のアニメ視聴者の一般的な好みからずれていても問題がなく、最初から高い評価で受け入れられた作品となっています。

 

それに加えアニメのほうでは単純に原作をなぞっていくのではなく、アニメ化の際に原作のスロースターター気味な序盤の展開を再構成していますが、こちらもよい方向に影響しているそうです。

近頃は中国で配信される日本のアニメの数も増え、7月は新作だけでも50作品近くが配信開始となっていますし、中国のオタク界隈で人気になるには序盤の展開でいかに中国のオタク層にアピールできるかが重要となっています。

「モブサイコ100」は序盤の展開を再構成して主人公のキャラとその能力の強さや活躍などを描くことにより、原作を読んでいない新規の視聴者も引き込むことに成功しているようです。


中国で通じる、話題にできるレベルのオタクネタ


7月新作アニメの中でもうひとつ、面白い人気の出方になっている作品として「この美術部には問題がある!」があります。

こちらは飛び抜けた人気では無いのですが、7月の日常系作品の中ではもっとも評判の良い作品となっているようで、日常系の作品を好む層の間では「気分よく見れる作品」、「話題にしやすい作品」といった評価になっているとのことです。

 

中国でも日常系の作品に関しては、気軽な気分で見ていける、ハマれる作品として結構な需要があります。しかし中国の視聴者はストーリーを重視する傾向が強く、オタク界隈でさえもキャラ萌えの面に関する盛り上がりが、日本に比べて弱いことから、日常系の作品は人気や話題性において苦戦しがちです。

 

また、日常系作品に関しては作中に出て来る各種のネタや作品特有の舞台設定を理解する必要や、笑いや萌えを理解するうえでのハードルが意外に高く、本格的にハマるには一定のオタク的な感性や知識が求められるケースも少なくないそうです。

このような事情もあってか、中国のネットでは時折日常系アニメのネタが刺さって大きな話題になることもありますが、そういったネタの爆発がない作品はなかなか話題になりません。

 

「この美術部には問題がある!」は舞台設定や作中に出て来る各種のネタ(オタク方面も含む)が、中国の一般的なアニメ視聴者の知識や感覚でも問題なく理解できるうえに、萌えやお色気方面でもそこそこのサービスシーンやどぎつくならない程度の下ネタもあるということで、中国のオタク界隈ではさまざまな面でかなり「手堅い作品」として受け止められているという話です。

 

これまで中国に入っていった日本の深夜枠のオタク向け作品に関しては、作中のネタが中国の一般的なオタク層には刺さらないケースが結構な頻度でありましたが、「この美術部には問題がある!」の反応からは現在の中国のオタク界隈に刺さりやすい「オタクネタの方向性や深さのレベル」といったものが見えてくるのも興味深いところでしょうか。

 

 

以上の作品のほかにも、前回紹介させていただいた「斉木楠雄のΨ難」や、伝奇枠として「タブー・タトゥー」が好評のようですし、中国のオタク界隈では7月の新作に関してもイロイロな人気作、話題作が出ています。

また10月の新作アニメに関しては中国国産作品が原作、あるいは中国出資のアニメが複数始まりますので、10月以降も中国と日本のアニメの関係は変化の続く、先の読めない状態が続きそうですね。

 


(文/百元籠羊)
(C) 2016 いみぎむる/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/この美製作委員会

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