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中国オタク事情に関するあれこれを紹介している百元籠羊と申します。
今回は中国の動画サイトで配信されている日本の10月の新作アニメの話題作の動向や、中国で待ち望まれていた続編アニメの事情などについて紹介させていただきます。
制作会社や原作による前評判と、期待以上の評価と人気になった作品が登場
ネットの配信環境に関する管理体制が整ったのか、近頃の中国を取り巻く環境や対日スタンスの変化が影響しているのか、それとも別の理由があるのかはわかりませんが、このコラムを書いている11月初めの時点では近頃の中国で続いていた新作アニメの突然の配信中止や規制の動きといったゴタゴタは起きていないようです。
そんな中、まず中国のオタク界隈における今期の新作アニメの話題の中心になっているのが
「SSSS.GRIDMAN(グリッドマン)」と
「ゴブリンスレイヤー」です。
「グリッドマン」は近年の中国のオタク界隈で強烈な支持が集まっているトリガーが制作する作品ということで放映前から一定の注目が集まっていました。
もっとも、1月の新作アニメで中国のオタク界隈全体で「国家隊」のあだ名とともに期待作扱いとなっていた同じトリガー制作の「ダーリン・イン・ザ・フランキス」に比べると、原作が中国オタク界隈ではいまだに評価の低い特撮作品ということもあってか、マニアの多い中国のトリガーファンの間でもさらにマニア寄りな層からの注目にとどまっていたそうです。
しかし始まってみると期待通りかそれ以上のクオリティが喜ばれるとともに、ヒロインと敵、2人の女性キャラが中国のオタク界隈にも非常に強烈に刺さり、瞬く間にキャラの話題や画像が拡散されキャラ目的で見始める人が続出。それにくわえて作中に散りばめられた「オタクとしての知識になる」「オタクとして楽しめる」小ネタなどもあわせて一気に作品の人気と話題が広まっていったそうです。
いっぽうの「ゴブリンスレイヤー」は、アニメ放映前から中国では原作ライトノベルやマンガ版を通じてエログロでダークな方向の作品であると認識されており、原作ファンによる期待とともに
「日本でのアニメ化の際の表現の規制に加えて、中国の動画サイトで配信される際の自主規制と修正を乗り越えられるのか?」
といった不安の声も出ていたそうです。
中国の動画サイト「iqiyi」で実際に配信されたものはやはりそれなりに修正が入っての配信となったようですが、「普通に見る分には大丈夫」といったレベルのものだそうで、ダークな部分も含めた原作の雰囲気をよくも悪くも再現していると現地のオタクな人たちもひと安心となったそうです。また原作を知らない新規の視聴者も、登場人物に対してやさしくない高難度なファンタジー作品といったイメージとともにその世界観にハマる人が続出している模様です。
さらにこの作品に関しては「D&D」や「クトゥルフの呼び声」などを楽しんでいる中国のTRPGプレイヤーが非常に熱心に語り出すなど、これまでの日本のファンタジー系作品とは少々異なる方向での盛り上がりも出ているとのことです。
作品の考察に関してもファンタジー世界のイメージが転移・転生先としてありふれた御都合主義的ファンタジーだったり、TRPG的なハードなバランスのファンタジーだったりと、それぞれの前提知識やイメージが異なっていることから、イロイロな擦れ違いや議論の迷走、思わぬ答えの発見などが発生しているのだとか。