日本の名作リメイクにも注目が集まる中国の4月新作アニメ事情【中国オタクのアニメ事情】

2018年05月03日 12:000
(C) 田中芳樹/松竹・Production I.G

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中国オタク事情に関するあれこれを紹介している百元籠羊と申します。
今回は中国の動画サイトで配信されている日本の4月の新作アニメの動向や、配信環境の変化などを紹介させていただきます。


「大作」はなかったが「当たり」はあった4月新作


中国では4月の新作アニメに関して広く注目の集まる「豪華な大作」的な作品はないと見られていたようで、4月が始まる前の空気は、「大作」がいくつもあるとされた1月新作アニメのときに比べておとなしいものとなっていました。

また1月の新作アニメにおける屈指の「大作」とされた「ダーリン・イン・ザ・フランキス」が2クール目に入っても人気やさまざまな方向で話題性を維持しているなどの状況もあってか、中国のオタク界隈では4月の新作アニメに関して「大作」的な扱いを受ける作品は出ていない模様です。

しかし4月の新作アニメが始まってみると、予想外に面白いとされる作品や、期待以上のできだとされるような作品も出てくるなど、中国のオタクな面々にとって「当たり」の作品、それなり以上に注目を集め評価される作品もかなり出ている模様です。

4月の新作の中ではまず「ヒナまつり」の調子がよいそうで、テンポのよいギャグ、それにコメントでツッコミを入れながら楽しめる内容などが人気につながっているとのことです。
中国のアニメ視聴スタイルは動画サイトでコメントを入れながら見る、いわゆるニコニコ動画的な環境で盛り上がるというのが主流になっていますし、そこで盛り上がることのできる、ツッコミのできるギャグ系作品がハマると非常に強いようです。
もちろんギャグ系の作品ですから笑いのツボに刺さらない場合は楽しめないようですし、中国のオタク界隈でも「面白いところがわからない」といった声が出ているそうですが、ハイペースで伸びている再生数を見る限りでは比較的広い範囲に「刺さっている」のではないかと思われます。

それ以外に現時点で人気や話題、再生数などで好調な作品としては、オタク関係のネタがあるので何かと話題にしやすく入り込みやすいという「ヲタクに恋は難しい」や、今の時代に珍しい硬派なストーリーや表現が高いクオリティでまとまっていると評価されている「メガロボクス」、中国で人気の高い「ソードアート・オンライン」の予想外なスピンオフ作品として注目が集まっている「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」、中国ではパッとしないことの多いゲーム原作系でありながら肯定否定両方の反応が活発に出ている「PERSONA5 the Animation」などがあるようです。

また続編系では、過去に中国のオタク界隈で大人気となり一時代を築いた作品の続編である「STEINS;GATE 0 (シュタインズ・ゲート ゼロ)」「フルメタル・パニック! Invisible Victory」なども順調なスタートを切っているようです。
この2つはどちらも続編をずっと待ち望まれていた作品で、序盤のできもファンが満足できるものだと受け止められているようで、かつてのファンが中心となっての盛り上がりが続いているとのことです。


過去の名作のリメイク的な作品が話題に


中国のオタク界隈における4月の新作アニメの動向で興味深いのは、先ほどあげた「メガロボクス」に加え、「銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅」「ゲゲゲの鬼太郎(第6期)」など過去の名作をベースにした作品やリメイク的な作品が話題になっているという点でしょうか。

中国にはこれまでも日本の過去の名作アニメをリメイクした作品が入り、新作アニメとして配信されてはいますが、中国のオタク界隈では人気や話題性に関してあまりパッとしないケースがほとんどでした。
これについては作品自体のクオリティの問題や、中国では日本のように過去の名作に対して思い入れのある人がたくさんいるわけではないということ、現地の人間が触れるメディアで日本のような勢いで取り上げられることもなく多くの新作アニメの中に埋もれてしまうといったことなどが影響しているかと思われます。

4月新作におけるリメイク的な作品に関する話題や反応を見ていくと、「メガロボクス」は最近では珍しくなった硬派なストーリーに加えて90年代後半から00年代前半の名作アニメの雰囲気を感じさせる演出が好評のようですし、「銀河英雄伝説」はストーリー構成やキャラクターデザインの大きな変更に加えて現代のCG技術で描写される艦隊戦などがよくも悪くも話題になっています。

また「ゲゲゲの鬼太郎」は中国のオタク界隈で「アニメ版の猫娘のキャラクターデザインの変遷がスゴイ」というのがちょっとした話題になり、しかも変更後のデザインが中国のオタク層の好みに合っていたことから、猫娘目当てでアニメを見てみるという人がかなり出たとのことです。

中国のオタクの方の話によれば、4月の新作アニメの中のリメイク的な作品は
「アニメのクオリティが良好なのに加えて、現在の中国のオタク層が興味を持ち面白いと感じられる内容や、中国でも話題になるような要素がリメイクの際に組み込まれているというのが大きい」
とのことでした。
実際、中国では、過去の名作に関する知識や思い入れがある層以外に、元になった昔の作品を知らない新規ファンも開拓されているようですし、イロイロな意味で面白いことになっている模様です。


有料での配信が増えてきた新作アニメ配信


中国における4月の日本の新作アニメの配信環境については、「iQIYI」や「YOUKU」、「bilibili」といった日本のアニメを毎シーズン数多く配信しているサイトのほかに、数作品程度ではあるものの新たにあるいは再び日本の新作アニメの配信を行うサイトが出てくるなど、配信されるサイトに関してもやや流動的な状況になっているそうです。

なかでも面白いのは、「銀河英雄伝説 Die Neue These 邂逅」に関してでしょうか。
「銀河英雄伝説」は中国でもっとも古くからファンコミュニティが存在する作品と言われ、非常に幅広く深いファンがいるとされています。そして中国本土ではコスプレやイラスト、小説などの創作や交流を中心としたオタク系SNS「半次元」が独占配信を行うという、イロイロな意味で今までにない流れでの配信になっているそうです。

また、新作アニメの配信形式については、有料会員向けの先行配信や有料配信がかなり増加しているのも目に付きます。
このあたりに関して、業界に近い中国のオタクな方によると
「新作アニメをどこでもタダで見れる時代は終わり、ほとんどの作品が各サイトの会員あるいは有料でなければ見れない時代になりつつある」
といった見方も出ているそうです。
またその結果、独占配信の扱いについての変化や、有料会員向けの先行配信になることによる話題の広がり方の変化なども起こっているとのことです。


4月の新作アニメに関しては、作品自体の人気に加えて周辺事情がよくも悪くも大きく動いた1月と比べるとかなり落ち着いた空気となっています。
ですが、リメイク的なアニメへの高評価など、今までの中国にはあまりなかった動きも出ていますし、中国における日本のアニメ事情は今期もイロイロな方向で変化が出ている模様です。


(文/百元籠羊)


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(C) 2018 大武政夫・KADOKAWA刊/ヒナまつり製作委員会

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(C) 2018 MAGES./KADOKAWA/未来ガジェット研究所

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