中国でオタクが重視するのはお金をかけているかどうか? 中国の10月新作アニメ事情【中国オタクのアニメ事情】

2019年12月07日 13:000

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中国オタク事情に関するあれこれを紹介している百元籠羊と申します。
今回は中国の動画サイトで配信されている日本の10月の新作アニメに関する動向や、近年の中国におけるアニメの評価基準として重視される「お金」のイメージなどについて紹介させていただきます。

定番でみんなが語れてツッコめる作品はやはり強かった10月新作アニメ


中国では10月の新作アニメは初動の時点での収穫が多く、序盤に人気になった作品がその後も順調に人気を集め、再生数も重ねていくといった流れになっているそうです。
そしてそういった中でも頻繁に話題になっていたのが、まず「慎重勇者~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~」なのだとか。

前回にも書いた通り、「慎重勇者」は、近頃の中国では食傷気味とされ微妙な扱いになることも多い日本の「異世界転移、転生」作品でありながら、その定番ネタをベースにしたパロディ的な内容が中国のオタクのかなり広い層に刺さり、話題を提供しながら人気と注目を集めている模様です。

特に中国のオタク層の間でも蓄積していた、ありがちな展開やキャラクターに対する不満、たとえば「無理難題の押し付け」「無能な人間の尻ぬぐい」「各種暴言や暴力」、そして「それを受け入れてしまう主人公」等々に対して、メタ的なモノも含めたツッコミや実力行使を伴った反撃などによる対処が好評のようで、気分よく見ることができて笑えるといった受け取られ方につながっているとのことです。

こういった、押し付けられるお約束的展開への反発や反撃は、一歩間違えれば主人公側が逆に傲慢に見えてしまうリスクもありますが、中国のオタクな方の話によると、「慎重勇者」のアニメに関しては構成や演出によりうまく笑うところや共感できるところを見せていることに加えて、適宜はさまれる顔芸などの、中国でよくネタになる崩しが入ることから、すんなりとギャグやツッコミどころを楽しむことができているとのことです。
またさらに、このパロディ的な作風に関する情報が広まるにつれ、事前に広まっていたあらすじから「鬱展開の罠があるのでは?」と不安視し敬遠していた層が、「やはりこれは基本的に笑える作品だ」と安心して見ていられるようになったなどという話もあるのだとか。

次にマニア寄りの層からの支持とともに人気となっているのが「BEASTARS(ビースターズ)」だそうで、ストーリーやキャラクター、背景にある独自の世界観なども合わせて含蓄のある文芸的な枠の作品として受け止められているうえに、リソースを投入してCGのクオリティを上げるだけではない日本のアニメ的なCGの演出なども高く評価されているそうです。

ちなみに「BEASTARS」に関しては、中国のオタク界隈では(原作からの)「魔改造」などと言われて否定的にとられがちな原作からの改変に関しても好意的に受け止められているそうです。中国のオタクの方によると「アニメ版は何かとわかりやすくなった」「アニメ化によって非常に正統派な方向に間口が広まった」といった評価も出ているとのことです。

それから「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld」が、中国では長年追いかけている人の多い正統派の作品として安定した人気を維持しているそうです。この作品に関しては、原作でストーリー展開を把握している人も少なくないことから、続きがわかっている安心感があるため、不快な悪役や鬱展開も我慢ができるといった話も聞こえてきますし、中国にも広まっている原作知識がプラスに働いているところもあるようです。

またほかにも、「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線 バビロニア-」は、中国でも大人気の「Fate」シリーズのアニメということで、よくも悪くも注目され話題が絶えません。
ただ現在の中国におけるFateのファンは数が多く、好みや重視する部分の違いもイロイロとあることから、アニメの内容や原作との違い、シリーズのほかの作品と比較してのアレコレなどで頻繁にゴタゴタしているといった話も聞こえてきます。
もっとも、さらに外側から見ると、中国版サービスのFGOのほうでは、実装スケジュール的にあまりやることがない空白期間に重なっていたことから、中国のファンにとってはちょうどいいタイミングで来た「作品に対する熱を維持するための燃料」になっている……という話もあるそうです。

以上の作品以外にも10月の新作としては、「僕のヒーローアカデミア(第4期)」「俺を好きなのはお前だけかよ」「私、能力は平均値でって言ったよね!」などの作品が、比較的好調な人気や話題性を獲得している模様です。

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関連作品

慎重勇者 ~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~

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放送日: 2019年10月2日~2019年12月25日   制作会社: WHITE FOX
キャスト: 梅原裕一郎、豊崎愛生、山村響、河西健吾、古賀葵、潘恵子、斧アツシ、井澤詩織、ファイルーズあい、三石琴乃、花守ゆみり、たかはし智秋、うえだゆうじ、山本兼平、上別府仁資、土田大、藤原啓治
(C) 土日月・とよた瑣織/KADOKAWA/慎重勇者製作委員会

BEASTARS

BEASTARS

放送日: 2019年10月9日~2019年12月25日   制作会社: オレンジ
キャスト: 小林親弘、千本木彩花、小野友樹、種﨑敦美、榎木淳弥、内田雄馬、大塚剛央、小林直人、下妻由幸、岡本信彦、落合福嗣、虎島貴明、渡部紗弓、室元気、井口祐一、原優子、兼政郁人、大内茜、山村響、あんどうさくら、大塚明夫、星野充昭、堀内賢雄、楠大典、木村昴
(C) 板垣巴留(秋田書店)/BEASTARS製作委員会

ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld

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放送日: 2019年10月12日~2019年12月28日   制作会社: A-1 Pictures
キャスト: 松岡禎丞、戸松遥、茅野愛衣、竹達彩奈、沢城みゆき、石田彰
(C) 2017 川原礫/KADOKAWAアスキー・メディアワークス/SAO-A Project

Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-

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放送日: 2019年10月5日   制作会社: CloverWorks
キャスト: 島﨑信長、高橋李依、川澄綾子、鈴村健一、坂本真綾、関智一
(C) TYPE-MOON / FGO7 ANIME PROJECT

僕のヒーローアカデミア(第4期)

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放送日: 2019年10月12日~2020年4月4日   制作会社: ボンズ
キャスト: 山下大輝、佐倉綾音、石川界人、梶裕貴、新垣樽助、上村祐翔、内山昂輝、岡本信彦、安野希世乃、三宅健太、三木眞一郎、興津和幸、小林星蘭、増田俊樹、悠木碧、津田健次郎
(C) 堀越耕平/集英社・僕のヒーローアカデミア製作委員会

俺を好きなのはお前だけかよ

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放送日: 2019年10月2日~2019年12月25日   制作会社: CONNECT
キャスト: 山下大輝、戸松遥、白石晴香、三澤紗千香、内田雄馬、三上枝織、東山奈央、斉藤朱夏
(C) 2018 駱駝/KADOKAWA/「俺好き」製作委員会

私、能力は平均値でって言ったよね!

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放送日: 2019年10月7日~2019年12月23日   制作会社: project No.9
キャスト: 和氣あず未、徳井青空、内村史子、田澤茉純、羽多野渉、河野ひより、河瀬茉希、安野希世乃、東城日沙子
(C) FUNA・亜方逸樹/アース・スター エンターテイメント/のうきん製作委員会

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