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中国のオタクの転売に関する感覚、近頃は転売加速で本格的に苦労してはいるものの……
近頃は日本のオタク界隈でもかなり大きな問題になっている「転売」ですが、転売関係では何かと名前があがりがちな中国のほうでも、実感をともなった問題として意識されるようになってきているとのことです。
中国では「倒爺」(ダオイェ)などとも言われている転売ですが、ネット上のビジネスが世界的に見ても最大級となっている中国では、日本以上に転売は身近なものとなっているそうです。
中国のオタクな人からは
「中国では本当のファンと比べて転売で儲けようとしている人のほうがかなり多い」
「人気のアイテムに関しては、転売されたアイテムをさらに別の業者が転売するのも珍しくない」
「ネットの購入には、業者や転売目的の個人によるツール使用や人海戦術、さらにはネット上の情報操作もあるので、一般人は予約の時点で負けが確定している」
などという話も聞きますし、日本よりもさらにえげつない無法地帯になっている模様です。またこれに加えて
「ファンであっても、転売で稼げるなら稼ごうとする人は少なくないので……」
という話もありました。
さらに最近は、中国でも新型コロナの影響で外出が難しくなっていることや、国外との交流が先細りしていることに加えて、単純に収入が減少していることなどから転売参入者が急増し、その影響で中国のオタクな人たちにとっても厳しいことになっている模様です。
近頃の中国のオタク界隈では、転売問題が実感をともなって意識されることが頻発しているそうで、今年になってからはたとえば「PS5」や「S.H.Figuarts(真骨彫製法) ウルトラマンティガ」といったアイテムが中国でも大きな注目が集まったことから転売業者が群がり、中国のオタク界隈には欲しいものが買えないことや、高値の中古を買わなければならないことに関する嘆きや恨みの声があふれたそうです。
ちなみに、中国のオタク界隈における転売に対する抵抗感のなさについては、中国独自の事情も影響しているとのことです。
中国の「倒爺」は前世紀からさまざまな分野で行われており、中ロ間をまたにかけた「倒爺」など、たくさんの「武勇伝」が存在するサクセスストーリーの舞台とも言えるそうです。また中国では外国で売られている商品を「安定した価格で」「ニセモノをつかまされないように」手に入れる手段として、業者や現地にいる個人が代理で買ったものを中国に送る「代理購入」という方式も定着していました。
それに加えて中国では日本よりも
「明確に法律で禁止されてなければ何をやってもよい」
「ルールの穴をついて儲けるのは頭がよくてエライ」
という認識がかなり強く、オタクの間でも日本と比べて投機目的でグッズに手を出す人が多く、コレクションの価格を誇る傾向が随分と強いといった傾向があります。
このような背景もあってか、これまで中国では転売に関してもそれほど問題視されることはなかったそうです。
しかし、最近では、欲しいグッズが高騰するどころか予約しても買えるかわからない、ネット上のどの店や業者ならば買えるのかもわからないような状況があまりにも頻発していることから、さすがに転売が身近で厄介な問題だと意識されるようになってきているとのことです。
もっとも転売問題のとらえ方や意識については、やはり日本と異なる部分も多いようで、日本における転売問題に対する認識を理解できている人はかなり珍しいそうです。
そんな珍しい中国のオタクの方から出てきた話には
「中国では、買う側よりもメーカー側のほうを問題視する見方が強いです。中国市場は大きいのだからもっと生産して売ればいいという考えになります。しかし一時的な需要はあっても継続してビジネスにできるかはわかりません。特に最近は日系コンテンツが、中国市場に進出するリスクが上昇して長期的に展開できるという見通しが立たなくなっていますから」
「欲しいものがきちんと買えるいい例としては『Nintendo Switch』などがありますが、これは商品在庫が安定したことに加え、現地企業のテンセントが代理店となっているのが安定につながっています。現在の環境では、中国市場に対しては、現地企業に丸投げするというのがいいと思います。保証やサポートも現地側が前面に立って行うので、コスト面でも炎上した際のリスク面でも比較的安全になりますから」
といったものもありました。
また最近の事情に関しては
「日本では転売に関連して中国人のイメージが悪化しているようですが、中国では転売問題に関する中国人のイメージの悪化について意識されることは少ないです。私としてはこういった転売に関する意識の違いがどこかで問題にならないかという心配も感じます……」
といった話もありましたし、転売問題に関する認識や扱いに関して、日中の間にはまだイロイロな違いが存在するようですね。
近頃の中国で発生している規制管理の強化とその影響は、特定の分野や作品、特定の国関連などにとどまらず、娯楽分野全体に対するものとなっています。中国のオタクな面々からは過去の日系コンテンツやイベントに対する圧力とは違う、今までになかったような不安を感じるといった話も聞こえてきます。
中国のコンテンツ業界、二次元分野が今後どこに向かっていくのかに関しては私も予想できないところばかりですし、人気に加え規制の動向についても引き続き追いかけてみたいと思います。
(文/百元籠羊)