※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。
中国ではオタクの間でも評価基準は「お金をかけているか」というのが大きい?
中国のオタク界隈でもさまざまな作品を評価する基準があるそうですが、近頃目立つようになっているもののひとつに
「お金をかけているか」というのがあるそうで、アニメの評価においても頻繁に出てくるようになってきています。
実際、10月の新作で話題になった「BEASTARS」や「私、能力は平均値でって言ったよね!」なども、あまりお金をかけていない(ように見える)作品なのになぜこんなに面白いのか、引き付けられるのかなどといった話題がちらほらと目に付きました。
中国のオタクの方の話によると、「お金がたくさん使われている」という話は、映画などを見る際の誉め言葉としてもよく使われていたそうですが、近年はアニメのほうでも作画のよさやCGのクオリティをはじめとする作品の豪華さなどに関する評価の言葉として、よく使われるようになっているそうです。
もっとも、その評価については曖昧なところもあるそうで、アニメに関して言われる場合は、たとえば
「きれいに違和感なく動いているか」「作画崩壊を起こしていないか」「キャラの線が整っているか」等々、明確な基準というものはあまりないといった傾向もあるのだとか。
教えていただいたところによるとこの辺りの事情に関しては
「お金をかけたかどうかは中国では極めて説得力のある、把握しやすい要素です。これは中国でCGアニメが主流になっていることも影響しているかもしれません。CGは予算と人員の差がハッキリと出ますから」
「しかしたまに出てくる個人や組織の技術がスゴイ、採算度外視で頑張ってしまったような作画に関しても、お金をかけている的な評価が出ることがあるのはちょっと困りますね」
といった話もあるそうです。
中国の社会では、わかりやすい指標による明確な上下や優劣を求める傾向が強く、それはオタク界隈でもあまり変わりません。作品に関してもハッキリとした質や豪華さ、たとえば絵のきれいさやキャラの多さ、そして作品にかけられたお金の多さなどが注目されるそうです。
またコンテンツを提供するプラットフォームのほうも、まずは作品数の多さなどのわかりやすい基準で攻めていく傾向が強いそうで、「宣伝で使えるような豪華な作品と数を集めろ」などと上から非現実的な作品数の調達および翻訳を要求されて、現場が頭を抱えて放り投げたりやり過ごしたりする……などといった話がイロイロな経路で聞こえてきます。
もちろん十分な資金もなしによい作品を作れというのは無理な話ですし、CGなどは予算の違いが特に顕著に出てきます。ただ中国ではその認識がさらに極端で、「お金がたくさんあれば」「お金がなければ」といった思考になり、それ以外の部分を軽視することにつながってしまうようなところもあるそうです。そしてそれが現在の中国のコンテンツ業界の危うさのひとつだという認識も出てきているのだとか。
しかし中国に日本のコンテンツを展開する際に、このような現地の傾向が重要となるのも間違いありません。日本的なこだわりで作品のよさをアピールするだけでなく、現地市場の需要の傾向に合った作品の選択や売り方を考えていく、あるいはそれがわかるようなパートナーを選ぶのも大事なのではないでしょうか。
(文/百元籠羊)