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ずっと待ち望んでいた続編のアニメ化で昔のファンの復帰も
10月新作アニメでは中国で非常に長い間待ち望まれていた続編アニメの「ソードアート・オンライン アリシゼーション」と「とある魔術の禁書目録III」が配信され、中国のオタクの上のほうの世代の人たちを中心に話題となっています。
この2つの作品はどちらも、中国という国に、今に続くオタクな人たちやオタクな文化が広まる際の原動力となった作品で、続編のアニメ化の可能性についてもこれまでずっと話題になっていたそうです。
「ソードアート・オンライン」は中国で日本のアニメの正規配信が始まったばかりの頃にアニメ版の配信が行われ大人気になった作品で、それと同時に日本のライトノベル、ネット小説の存在を中国の若者に強く印象付けた作品でもあります。
アニメ第1期が放映された頃の中国のオタク界隈では「ゲームの中に入り込んで冒険する」という展開自体はすでにそれなりに定番化していたものの、ビジュアル面ではまだハッキリとしたものがなかったらしく、当時の中国の反応や評価の中には
「俺たちの妄想をアニメで描写してくれた作品」
といったも声もあったのが個人的には印象深いですね。
ちなみに「ソードアート・オンライン」は、昨年9月に中国本土でも劇場版が公開されていますし、その流れでアニメに復帰した古参のファンの方もいるそうです。
中国本土における劇場版の興収に関して中国の映画業界的には物足りない数字という見方はあったそうですが、上映時期や中国のファンの規模、過去に作品が配信され話題になっていた時期などを考えるとかなり健闘した数字という見方もできたそうです。
また今回アニメ化されるアリシゼーション編については中国でも評価が高いものの、内容や量的に「アニメ化は不可能では?」という認識も強かっただけに、アニメ化を喜んでいる古参のファンが少なくないといった話も聞こえてきます。
いっぽうの「とある魔術の禁書目録」のほうもまた、中国のオタク界隈では非常に待ち望まれていた続編で、おそらく中国でもっともアニメの続編の動向が話題になる作品だったのではないかと思われます。中国のオタク界隈では
「禁書の3期はまだか」
というのがさまざまな新作アニメの続編制作のニュースが出るたびに言われ続け、近頃はもうネタ混じりな気配も濃厚で
「ついに続編が制作されるというニュースが出たら、期待して待ち望んでいたはずのファンのほうが大慌てになってしまった」
というような笑い話までも聞こえてきます。
アニソンやMAD動画、御坂美琴を中心としたキャラクター萌えなど、「禁書目録」シリーズが中国のオタクに与えた影響は特に大きく、さらには現在の中国でもっとも強固なオタク系コミュニティと支持層を持つとされる動画サイト「bilibili」の名前の由来のひとつになっているという話もありますし、現在の中国オタク文化のさまざまなジャンルの基礎的な部分にその影響が見て取れます。
「禁書目録」やスピンオフ作品の「超電磁砲」が中国のオタク界隈で話題の中心になっていたのは2010年代の初め頃でしたし、さすがに現在の中国のオタク界隈では「昔の作品」といった扱いになっています。
かつてのファンだった人たちも、自分たちが熱中していた頃から長い時間が空いているので、「どこまで思い出せるのやら」「すっかり忘れてしまった」などの不安の声も出ていたそうです。しかし実際に始まってみると、今さらネタバレを気にすることもないとばかりに、ファン同士でさまざまな話題が活発に飛び交っている模様です。
この2つの作品に関しては世代間の差もあってか、中国のオタク界隈全体で盛り上がっているという形ではありませんが、かつてファンだった人たちがまた作品の周囲に戻ってきて盛り上がるといった動きが出ているそうです。
続編作品の人気の冷え込みが日本と比べてずいぶんと激しい中国において、ひと昔前の作品の続編でありながらも、アニメが始まるとなれば一気に盛り上がっていったのを見ると、これらの作品の根強い人気を改めて実感しますね。
以上の作品のほかにも、「転生したらスライムだった件」、「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」、「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風(第5部)」、「ゾンビランドサガ」などが中国のオタク界隈では話題を集めているようです。またそれ以外の作品に関しても独自の好みを見出すファンが付くなどしている模様です。
近頃の中国では新作アニメが出る度に「不可抗力」といったアナウンスとともに配信中止になる作品が出ていたような状況でしたが、10月の新作に関して現時点ではひさびさに落ち着いた(?)空気となっているようです。
そして中国のアニメファンの面々にとっては長い間待ち望まれていた続編作品、そして期待以上に話題が盛り上がる新作アニメが出るなど、いろいろな意味で存分にアニメを楽しめるシーズンとなっているようです。
(文/百元籠羊)
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