イラストレーター、山下しゅんやに聞いた“フィギュア化用美少女イラストの描き方”【ホビー業界インサイド第39回】

2018年09月22日 12:000

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仕事をする時間と、プラモデルを作る時間のバランス


── 山下さんの描く女の子には特徴がありますが、何か意識されていることは?

山下 特にありません。自然とこういう顔を描いてしまうので、本当はもっと変えたいんです。

── 以前、SNSで「いっぱい仕事が来たときは、とりあえずちょっとずつ手をつけてしまうとよいですよ」とアドバイスされていましたね。

山下 そうなんです。とりあえず、手をつけてしまうことが大事なんです。手をつけておけば、頭の中に仕事のことが残り続けますよね。遊びに行ったとしても、考え続けることができる。手をつけないままでいると、いつまでも考えることができません。

── マルチタスクになったとしても、それなら乗り切れる?

山下 そうですね。意識したわけではなく、自然とそういう仕事のやり方になっていました。考えている時間を長くとらないと、私の場合は、仕事がよくならないんです。だから、少しでも早く手をつけておく。そうすると、長い時間、とどまっていられるわけです。

── 仕事を放っておくと、不安になったりしますか?

山下 それもありますね。ひとつの仕事に没頭することは、あまりないんです。プラモデルの場合は、まったく逆です。プラモ作りにはすごく没頭するけど、飽きたらすぐにやめる。そのバランスがいいのかもしれません。

── 山下さんのようなイラストレーターになりたい、という人に向けてアドバイスはありますか?

山下 ギャラの悪い仕事が来たら、断る勇気をもつことでしょうか。私も最初はそうだったのですが、仕事が来るとうれしいので、つい何でも受けてしまう。断ってしまうと干されるんじゃないかと不安になりますし……。だけど、ギャラの低い仕事だと、ムチャクチャな直しや変な要求が入る比率が高まるんです。

── 仕事のために営業したりしますか?

山下 今は、営業はしません。そんな時間があったら、プラモを作りたいので(笑)。プラモを作る時間を捻出するのが大変で。仕事机の横にプラモを置いてあるので、ちらちらと目に入ってしまうんです。

── 絵を描きはじめた当初、憧れた作家はいますか?

山下 ちょっと古いかもしれないけど、フランク・フラゼッタです。フラゼッタは、絵描きからの人気度は高いんじゃないでしょうか。

── よくSNSで、「調べて絵を描くのはズルい」という人がいますが、どう思いますか?

山下 知らないものは描けないので、調べるしかありませんよね。ミリタリーモデルにおける考証と同じです。最終的には資料を見ないで、構造などを把握したうえで何でも描けるのが理想だとは思いますが、自分はまだそこまで至っていません。

── 描いていて、苦しんだり悩んだりしますか?

山下 毎回、悩んでます。だから、探していた資料が見つかるとうれしいです。私の仕事は軍服がモチーフとなることが多いので、間違えないためによく調べるようにしています。

── 最近、ゲームの仕事はしてないのですか?

山下 ゲームの仕事もたまに来るのですが、発注元が気をつかってか、やはりミリタリー系なんです。自分としては、そういうジャンルをとっぱらって仕事をしたいと思っています。もっと弾けたいし、自分で自分の作ったものに驚きたい。描く前に想像するイメージは大したことがなくても、描いているうちにどんどん変わっていって、最終的に自分でも予想していなかった絵になって、自分が驚く。そういう仕事が理想ですね。


(取材・文/廣田恵介)

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