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プラモデルなのに、塗装の必要なし！　バンダイ「スター・ウォーズ」シリーズ、「1/12ハン・ソロストームトルーパーVer.」の“本当にすごいポイント”とは？【ホビー業界インサイド第33回】

2018年03月24日 12:000

企画記事

ホビー業界インサイド

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プラモデル化によって初めて気がつく、背丈や装備の違い

── ちなみに顔面の造形については、ルーカスフィルムに公式な3Dデータがあったりするのでしょうか？

長澤　いえ、『スター・ウォーズエピソード４／新たなる希望』撮影当時はスキャン技術もありませんので、当時の画像資料を参考にしながら、弊社内で3D造形しました。

── 「ハン・ソロ」と「ルーク・スカイウォーカー」を並べてみると、背丈に違いがあるんですね。

長澤　はい、「新たなる希望」で「ルーク・スカイウォーカー」が「レイア・オーガナ姫」と初めて出会ったとき、「チビッコ部隊？」と言われますね。印象的なシーンですので、組み立てるうえでも「あのセリフの通りだな」と気づいていただきたい。ですので、大腿部のパーツの長さを変えています。「ルーク」のほうを短くして、設定どおりに「ハン・ソロ」との身長差を表現しました。

── 「ルーク」のほうは、腰に付いているパーツも「ハン・ソロ」とは違うのですね。

長澤　グラップリング・フックといって、「レイア姫」と一緒に逃亡するシーンで「ルーク」の使った装備を新たに作り起こしています。ふたりがデス・スター内部の断崖絶壁に追い詰められて、細いワイヤーによって逃げるシーンがありますが、そこで「ルーク」が使ったのがグラップリング・フック。実は、ストームトルーパーのベルト部分に付いていた装備なんです。

── まったく知りませんでした。言わなければ誰も気がつかない細部を、漏らさず再現しているのがバンダイ「スター・ウォーズ」プラモデルの醍醐味ですね。

長澤　最初に言った『スター・ウォーズ／最後のジェダイ』シリーズでも、前作（『スター・ウォーズ／フォースの覚醒』）との些細な違いをプラモデルでも拾っています。「1/12 キャプテン・ファズマ」の場合、すねの形が違うのはもちろん、膝当てが逆についています。バンダイのプラモデルとしての品格を損なわないよう、細かな差異を徹底再現していますので、気づいていただけたらうれしいですね。

── “Triaxial Jet Finish”でキャラクターの顔がそっくりに再現されるとなると、今後の展開も気になってきますね。マスクをかぶっていないキャラクターたちも、続々とプラモデル化されるのでしょうか？

長澤　3月18日のワンダーフェスティバルで、1/12スケールの「ダース・ベイダー」を参考出品しました。『スター・ウォーズエピソード６／ジェダイの帰還』の終盤で、ヘルメットを脱いだ「ダース・ベイダー」です。「ハン・ソロ」と「ルーク」の反響次第では、「ベイダー」も商品化したいと考えています。もしかすると、“Triaxial Jet Finish”の印刷技術が、顔の再現にとどまらず、他のさまざまなキットにも応用できるかもしれません。

── ちなみに、“Triaxial Jet Finish”で使っている塗料は、スミ入れしても溶けたりしないのでしょうか？

長澤　“Triaxial Jet Finish”では紫外線で硬化するUV塗料を使っていますので、模型用シンナーでは溶けないです。

── モデラーの中には、「プラモデルなんだから自分で苦労して塗装してナンボだよ」という方もいらっしゃると思います。今回の「1/12 ハン・ソロストームトルーパーVer.」は塗装できない方に向けているのでしょうか？

長澤　そういうわけではなく、従来のスター・ウォーズ」プラモデルを作ってきてくださったファンの方たちも強く意識しています。同時に、『ハン・ソロ／スター・ウォーズ・ストーリー』から入ってこられる新規ファンにも訴求できるよう考えています。素組みしただけで、ここまで高い完成度が得られるプラモデルは、なかなかないと思いますので。
テストショットを組み立てていると、ランナーから自分の手で顔面パーツを切り離した瞬間、「顔」として飛び出してくるんです。実際に自分もパーツを切り離したあと、手にとってしばらく眺めちゃってました（笑）。単色成形の無塗装のパーツでは、この驚きはなかなか得られないと思います。昨日作ったプラモデルより、今日作ったプラモデルに新しい“何か”が入っているほうが、やっぱりワクワクしますよね。