アニメ業界ウォッチング第4回:「ドワンゴ」執行役員 太田豊紀がアニメビジネスを語る!

アキバ総研 | 2014年04月25日 12:00
アニメ業界ウォッチング第4回:「ドワンゴ」執行役員 太田豊紀がアニメビジネスを語る!

アニメ業界ウォッチング」連載第4回は、現在アニメビジネスにおいてますます存在感を高める「ニコニコ動画」を運営するドワンゴの執行役員CPO(チーフ・プロダクツ・オフィサー)を務める太田豊紀氏にお話をうかがった。

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ドワンゴのアニメビジネスの成り立ちと配信事業の現状



――まずドワンゴはアニメビジネスに関して、直接的にはどのような関わりをされているのでしょうか?

着うた配信とかでなく、直接ということですよね。弊社にはアニメの権利関係を扱っている部署があり、そこでの業務内容は大きくふたつあります。ひとつは単純にアニメに投資をする事業。もうひとつは出資させていただいたものから権利をお預かりして収益を最大化する事業です。具体的に言うと、主に海外に向けた自動公衆送信権です。


――いわゆる配信権ですね。ドワンゴから見て現在ホットな市場はどこになりますか?

中国の本土ですね。アニプレックスさんとご一緒させていただいて、2012年10月の新番組アニメから基本的にはすべての作品を中国に向けて配信させていただいております。「ソードアート・オンライン」がアジアで大爆発したので、それ以降、需要がものすごく増えています。


――中国というと海賊配信の懸念がありますが、そのあたりはいかがでしょうか?

中国の海賊版について日本の方は誤解をしている部分が大きいと思います。中国大手の動画サイトは国から免許を受けて運営しています。そのため、自分たちが独占契約をしている作品が他所にアップロードされていると、きちんと弁護士レターを出して削除をさせますし、受けたほうも一斉に削除するという状況なんです。「Youku」と「Tudou」は合併をして現在最大のサイトになっていますが、ここの場合は検索結果に「この作品の動画は我々のサイトにはありませんが、ここで正規配信されています」と誘導するくらい徹底しています。こうした状況を日本国内のライセンサーさんにきちんとお話をして、中国本土向けに配信の権利を出してもらうように交渉をしています。今までは、中国本土の状況がよくわからなかったので台湾のライセンシー経由で中国本土に配信されていたのですが、我々が直接中国本土と交渉することで卸価格に競争が起こり、結果として単価がものすごく上がりました。そして言うまでもなく中国は人口の多さが魅力的です。ニコニコ動画の再生数が情けなく感じるくらいのカウントになりますよ(笑)。ニコニコ動画だともっとも再生数の多い作品でも1話あたり200万回くらいですが、中国本土では500万回再生される作品もあります。


――ここで、ニコニコ動画のアニメ配信の歴史を振り返ってみたいのですが、現在のような新作テレビアニメを中心とした配信を展開する以前、2008年頃はネット発のアニメとして「Candy boy」や「ペンギン娘はぁと」などを配信されていましたが、これは、どのような目的からだったのでしょうか?

大目的としてはニコニコ動画にアニメユーザーが根付いてほしいという思いからでした。あの頃は違法アップロードが多発していたため、アニメのライセンスをいただけてなくて日本動画協会さんからいろいろなご指導をいただいていた頃でした。そのため、正規のものをきちんと配信する会社だというアピールを込めて自社で製作配信をしていたんです。


――ニコニコ動画にアニメファンはもともと多そうなイメージがありますが。

もちろん以前から親和性が高かったんですけど、2008年にMAD動画を一度全部消したんです。テレビの映像を含め、アニメ本編は以前から消していました。が、そうした結果、ニコニコ動画に残ったのは、ボーカロイドと東方プロジェクトとアイドルマスター関連の動画がほとんどになってしまったんです。そうするとアニメを見たいユーザーは他の違法配信サイトに流れていってしまって、ニコニコ動画にアニメユーザーが残っていない状態が一時的にできてしまった。それを取り戻したかったんです。先ほどのタイトルでの製作配信は、単体のビジネスとしては厳しかったのですが、「ニコニコ動画がキチンと権利をクリアしているサイトなんだ」というアピールをアニメ業界にお伝えできたという点は成果だったと思っています。


――現在はアニメ業界もニコニコ動画や「ニコニコ生放送」を活用されたプロモーションをしたり一挙配信を行なったりと、ウィンドウのひとつとして活用していますね。

これも最初に積極的に使ってくださったのはアニプレックスさんでした。パッケージソフトのアンケートを見ると、作品を観ている媒体としてニコニコ動画が非常に多かったそうで、であればここを使わない手はないだろうと全社的に決めたとうかがっています。


――また、資本提携をされている角川グループも、2012年から「うぽって!!」、「えびてん」、「生徒会の一存 Lv.2」などの作品で、テレビ放送の1クールも前から先行生配信を行なっていますが、こちらの手応えはいかがでしょうか?

これらの作品に先んじて2011年に「STEINS;GATE」という作品で、第1話の先行プレミア配信を行なって、ものすごく反響がありました。ただ、先行生配信全体の結果を見ると、やはりネット配信だけのアニメというのはまだまだ伝達力が薄いなという感触です。つまり、アニメファンの習慣として新作チェックはまだまだテレビ初出の作品が中心で、ネット初の新番組を彼らに根付かせるのはなかなか難しいという印象です。


――角川グループとは、こうした作品の配信や「ニコニコ静画」の展開がユーザーの目には止まりますが、それ以外にはどんな施策を考えていらっしゃいますか?

正直なところ、「もっとちゃんとやりたいよね」という話し合いをしている状況です。もっと業務提携の意義を追及したいという認識はお互いに持っております。もうすぐお披露目できるものもありますので、ご期待ください。

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