予想を超える人気で終わった「ガンダムビルドファイターズ」小川Pに直撃取材! はたして続編はあるのか!?

2014年04月19日 18:000

※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。

ガンダムのプラモデルによるバトルという、ガンダム作品の中でもホビー色を全面に出した明るく楽しい作風である一方、昔からのガンダムファンをうならせるマニアックなモビルスーツも登場させ、新旧のファンから熱い支持を受けつつ終了した「ガンダムビルドファイターズ」。


この「異色」なガンダム作品はいったいどのようにしてできあがったのだろうか? そこにはガンダムブランドのプレッシャーとスタッフへの信頼が強くあったという。サンライズの小川正和プロデューサーに話を聞いた。


念願の「ガンプラアニメ」



――「ガンダムビルドファイターズ」の企画はいつ頃から準備されていたのでしょうか?

バンダイのホビー事業部さんからはずっと前からこの企画をやりたいという要望が来ていたのですが、サンライズの中にも数多くのガンダム作品があったので、ちょうど「機動戦士ガンダムAGE」(以下、AGE)が終わるころくらいに具体的な話になった感じですね。実質1年半くらい前だと思います。



内容的にも、ガンプラバトルを扱うからといって従来のガンダムに映像が劣るようなことはしたくありませんでしたし、バンダイの担当の方とも付き合いが長いので、こちらの指針については特に反対もなく、了承していただきました。


――今回は2クールでしたが、他のガンダム作品のように1年間という考えもあったのでしょうか?

バンダイさんからそのようなお話もありましたが、サンライズ内の全体的な作品のバランスもありますし、制作の感覚的な部分でもあるのですが、無茶をできるのは2クールかなと。いろんな事情を相談した結果、「まずは2クールをやりきろう」と決まりました。商売の観点から見ると1年間やってくれたほうがプロモーション効果になりますし、他のホビーアニメでもそれが普通なんですが、映像的にこだわると2クールなんです。結果的にはこれでよかったという手応えを得ています。


――小川プロデューサーは制作畑の方としてこれまで何作もガンダム作品に関わられてきましたが、本作に向かうにあたってのプレッシャーは大きかったですか?

サンライズに入社して半年後に「機動戦士ガンダムSEED」の制作に異動してから「AGE」までずっとガンダム作品に関わってきましたが、今回は特に失敗できないなという思いでした。「ガンダム」というコンテンツは非常に大きくなっているので、取り扱いが難しいですし、やるからには必ずある程度の結果を期待されます。他のアニメ作品は映像作品のパッケージ販売、あるいはホビーやゲームといった商材を売ることが目的とされるのですが、ガンダムにはその両方が課せられます。その意味でサンライズの中でもハードルが高い作品であるのは間違いないですね。ただ、企画の最初から関われたという意味でいい機会をもらえたなと思っているんです。スタッフの選定も含めて、こちらの主導でやれましたし、結果的にいろいろとやることは増えましたが、やることをやったうえである程度の結果が出てきたのはよかったですね。


――スタッフィングの頃はどんな状況だったのでしょうか。

バンダイのホビー事業部は記念作品としてOVA「模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG」という作品は作っていましたが、TVシリーズとして作るのは彼らにとっては念願で、自分としてもスタジオとして関わる以上、きちんと世間に出せるような作品にしたいなと思っていました。とはいえ、ガンプラが題材というところでこの作品は「機動戦士ガンダムUC」とは違ったところに存在していた感じで、実際のところあまり期待もされていなかったんです(笑)。発表会でも「なんだ。次はガンプラか」という風な感じで、ハードルが低かったのでやりやすかったですね。最初に出したプロモーションビデオからSDガンダムを出したり、バラエティに富んだガンプラをいっぱい出せたり。これがガンダム本編だと、キャラや世界観の説明をしなくちゃいけなかったりするのですけど、そこはある程度割り切って作れたんです。

昨今、期待値が上がれば上がるほど周囲の要求が高くなってくるし、いろいろな調整が必要になって、結果として作品が微妙なものになってしまいがちです。もちろん、ガンプラを売らなくてはいけないという課題はありましたが、それはガンダム本編のほうでも要求されていたことですから。逆に、モチーフがガンプラになったことでより純粋にやれることもありました。もうひとつは、スタッフの多くが今まで付き合ってきたスタッフだったので意図を汲みやくてやりやすかったという点です。畑が違うところから口出しされずに各々がそれぞれのポジションでやれることをしっかりやるという。それは本来当たり前のことなんですけど。



――監督を長崎健司さんにお願いした理由を教えてください。

自分は「機動戦士ガンダム00」(以下、00) のときに制作デスクを担当していたのですが、「機動戦士ガンダム00」の1stシーズンの第23話でロックオンが死ぬ回を演出されるなど、そのときから演出としてのセンスや仕事に対する姿勢はわかっていたので、いつかいっしょにやりましょうという話はしていたんです。ただ、今回の作品が、人が死ぬような従来のガンダム作品だったら、たぶん受けてもらえなかった気がします。創作上のものとはいえ人の生死に関わる作品にはちょっと間を置きたいという話も聞いていました。もちろん自分としても内容的にそっちに向ける気は毛頭ありませんでした。

ベテラン監督の名前も考えてはいたんですけど、せっかくこういう新しいガンプラアニメをやるわけだから、サンライズの中でも新しい人にお願いしてみるのもいいんじゃないかという意見もあり、提案したら意外とすんなり通りました。弊社の佐々木(佐々木新エグゼクティブプロデューサー)も、「00」を含めずっとガンダムに関わっている人間で、長崎さんがどういう人かわかっているので、話が通りやすかったんだと思います。長崎さんは業界内で嘱望されている方なので、けっこうな引っ張り合いになりましたが、お互い「00」での仕事ぶりを知っていたからこそ成立したのかなと考えています。


――長崎監督のお仕事ぶりの何が決め手だったのでしょうか?

どういう映像に仕上げてくれるかはある程度予測がつくし、納得がいくものを作ってくれるだろうとは思っていました。メカ演出ってある程度、経験値がないとできるものではないと思うのですが、長崎さんは「00」で劇場版まで長く関わってくれたので心配はありませんでした。脚本の黒田洋介さんはガンダムに詳しい方ですし、「ガンプラビルダーズ」をやっていたこともあります。「00」のときに長崎さんという演出家がどういう方かもご存じで、いつかいっしょに仕事をしてみたい演出家だと黒田さん自身おっしゃっていたので、熱血スポーツものという方向でやるんだったらいっしょにやりましょうと始まった感じですね。路線は最初から決まっていたので、あとは具体的にどういうふうに詰めていくかだけで、その意味では趣旨が一貫していましたね。

画像一覧

関連作品

ガンダムビルドファイターズ

ガンダムビルドファイターズ

放送日: 2013年10月7日~2014年3月31日   制作会社: サンライズ
キャスト: 小松未可子、國立幸、石川由依、佐藤拓也、中村悠一、藤井美波、三石琴乃、川島得愛、広瀬正志、広橋涼、悠木碧、木村昴、早見沙織、遠藤大智、立花慎之介、斎藤千和、うえだゆうじ、江口拓也、神奈延年、坂口哲夫、相川奈都姫
(C) 創通・サンライズ・テレビ東京

機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル

機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル

上映開始日: 2015年2月28日   制作会社: サンライズ
キャスト: 池田秀一、古谷徹、浦山迅、銀河万丈、三宅健太、渡辺明乃、柿原徹也、一条和矢、松田健一郎、土屋トシヒデ、中博史、山崎たくみ、潘めぐみ、古川登志夫、成田剣、福圓美里、藤村歩、中西英樹、田中美央、大塚明夫
(C) 創通・サンライズ

ガンダム Gのレコンギスタ

ガンダム Gのレコンギスタ

放送日: 2014年10月3日~2015年3月27日   制作会社: サンライズ
キャスト: 石井マーク、嶋村侑、寿美菜子、佐藤拓也、高垣彩陽、福井裕佳梨、逢坂良太、辻親八、藤真秀、田中敦子、広瀬彰勇、木下浩之、水野龍司、たかはし智秋、中井和哉、小清水亜美、子安武人
(C) 創通・サンライズ

機動戦士ガンダム00 1st Season

機動戦士ガンダム00 1st Season

放送日: 2007年10月6日~2008年3月29日   制作会社: サンライズ
キャスト: 宮野真守、三木眞一郎、吉野裕行、神谷浩史、本名陽子、松本保典、真堂圭、高橋研二、東地宏樹、高垣彩陽、佐藤有世、我妻正崇、小笠原亜里沙、古谷徹、うえだゆうじ、中村悠一、浜田賢二、入野自由、遠藤綾、斎藤千和、恒松あゆみ、石塚運昇、大塚周夫
(C) 創通・サンライズ・毎日放送

機動戦士ガンダム00 2nd Season

機動戦士ガンダム00 2nd Season

放送日: 2008年10月5日~2009年3月29日   制作会社: サンライズ
キャスト: 宮野真守、吉野裕行、三木眞一郎、神谷浩史、梅津秀行、高垣彩陽、戸松遥、高橋研二、東地宏樹、本名陽子、真堂圭、釘宮理恵、入野自由、川島得愛、根谷美智子、恒松あゆみ、うえだゆうじ、小笠原亜里沙、高山みなみ、大友龍三郎、四宮豪、稲田徹、石塚運昇、浜田賢二、白鳥哲、江川央生、矢尾一樹、斎藤千和、蒼月昇、朴璐美、大塚周夫
(C) 創通・サンライズ・毎日放送

機動戦士ガンダムSEED

機動戦士ガンダムSEED

放送日: 2002年10月5日~2003年9月27日   制作会社: サンライズ
キャスト: 保志総一朗、石田彰、田中理恵、進藤尚美、子安武人、三石琴乃、桑島法子、関智一、笹沼晃、摩味、有本欽隆、秋元羊介、置鮎龍太郎、関俊彦、白鳥哲、豊口めぐみ、檜山修之
(C) 創通・サンライズ・毎日放送

模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG パーツA

模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG パーツA

発売日: 2010年   制作会社: サンライズ
キャスト: 代永翼、岡本信彦、伊瀬茉莉也、浪川大輔、神谷浩史、入野自由、高橋広樹、成田剣
(C) 創通・サンライズ

模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG パーツB

模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG パーツB

発売日: 2010年   制作会社: サンライズ
キャスト: 代永翼、岡本信彦、伊瀬茉莉也、浪川大輔、神谷浩史、入野自由、高橋広樹、成田剣
(C) 創通・サンライズ

模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG パーツC

模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG パーツC

発売日: 2010年   制作会社: サンライズ
キャスト: 代永翼、岡本信彦、伊瀬茉莉也、浪川大輔、神谷浩史、入野自由、高橋広樹、成田剣
(C) 創通・サンライズ

機動戦士Zガンダム

機動戦士Zガンダム

放送日: 1985年3月2日~1986年2月22日   制作会社: サンライズ
キャスト: 飛田展男、池田秀一、鈴置洋孝、松岡ミユキ、岡本麻弥、井上和彦、島田敏、榊原良子、小杉十郎太
(C) 創通・サンライズ

機動戦士ガンダム

機動戦士ガンダム

放送日: 1979年4月7日~1980年1月26日   制作会社: サンライズ
キャスト: 古谷徹、鈴置洋孝、池田秀一、井上瑤、鵜飼るみ子、白石冬美、古川登志夫、鈴木清信、飯塚昭三、潘恵子、永井一郎
(C) 創通・サンライズ

ログイン/会員登録をしてこのニュースにコメントしよう!

※記事中に記載の税込価格については記事掲載時のものとなります。税率の変更にともない、変更される場合がありますのでご注意ください。

関連記事