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新連載特集「アニメ業界ウォッチング」をスタート!この連載はアニメ業界に関わる識者に、それぞれの視点からいろいろなテーマを語っていただくことで、知られざるアニメ業界の側面を浮き彫りにしていく特集。監督、ディレクター、プロデューサー、制作会社、クリエイター、原作者、歌手、経営者、役人など、いろいろな方との話をお届けする予定です。
栄えある第1回は、アニメ制作会社「神風動画」
社訓「妥協は死」をモットーに、アニメーション業界に文字通り“神風”旋風を巻き起こしてきた気鋭の映像制作集団「神風動画」。代表・水崎淳平氏のもとに集まった若手スタッフ一同が、日々アニメの可能性に挑みながらさまざまな作品を生んできました。そんな「神風動画」の成功の裏にはある秘密が…。それは、感受性豊かな優秀女性スタッフたち!
今回、それぞれのセクションを代表する女性スタッフ4名に直撃し、業界に入ったきっかけから仕事観、現在のアニメ業界に思うことなどをたっぷりと直撃しました!
(取材・文・写真/山崎佐保子)
まずは看板作品「ジョジョの奇妙な冒険」について
―――記念すべき第1回ということで、本日はよろしくお願いします。昨今のアニメ業界・状勢などをざっくばらんに語っていただければと思います。
代表:水崎淳平氏(以下、水崎氏):
最近は作品を真面目に語るというスタイルが多かったので、気楽でよかったです。では最新のデモリールでも見ながら始めましょうか。
デザイナー:佐藤未夢さん(以下、佐藤さん):
(看板作品のひとつTVアニメ「
ジョジョの奇妙な冒険」のオープニングを見ながら)これはちょっと入りづらかったですね。怖いんです。
―――わかります! “ジョジョ立ち”とか“スタンド”とか“ゴゴゴ”とか、知ってる単語で遊ぶくらいでした。
水崎氏:
実はジョジョの制作チームにそんな子が混じっていて、漫画を読んだらみんなハマったみたいな。絵で毛嫌いしてしまう人多いですよね。
佐藤さん:
私の周りでも絵が苦手という人がいます。
アニメーター:清水久美さん(以下、清水さん):
私は第3部(
※)からガッツリ心をつかまれましたね。去年みんなが「ジョジョ」のオープニングを制作している頃に、つられて読み始めました。
※「ジョジョの奇妙な冒険 Part3 スターダストクルセイダース」。シリーズ伝統のスタンド使い初登場。水崎氏:
友だちや同業者に「ジョジョ」のこと聞かれますか?
清水さん:
大学の先輩にすごいジョジョオタがいて、グイグイ聞いてきますね。私があまり知らないので、それで怒られる(笑)。
―――ジョジョファンの方は熱がすごいので、にわかファンとかきっと許せないでしょうね。
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水崎氏: 僕もそうなんだけど、そうならないようにはしてます。もったいない事に絵で入れなくなる作品ってあるじゃないですか?「カイジ」とか僕は大好きなんだけど、「絵がやだ」って人もよく聞きますね。
(C) 福本伸行/講談社・VAP・マッドハウス・NTV・D.N.ドリームパートナーズ |
―――「ジョジョ」って名前が変わるんですよね。ジョジョリーン、ジョジョーンとかでしたっけ?
水崎氏:
えっ、全然違う!一個もあってない(笑)。たぶんジョジョリーンはジョリーン、ジョジョーンはジョジョリオンですね。今の間違い、面白いのでそのまま掲載してくださいね(笑)。
女性が働きやすい「神風動画」
―――「ジョジョ」旋風以降、何か社内でも制作の形が変わったのでしょうか?女性の皆さんに集まってもらいましたので、アニメ業界の中の女性の立ち位置やトレンドなどをお聞きできればと思います。
水崎氏:
他社と比べて、女性スタッフは多いですよね。
プロデューサー・佐竹加央林さん(以下、佐竹さん):
そうですね、もともと女性は多いですね。
―――それはアニメ業界的には珍しいことなんですか?
CGデザイナー:先名美帆さん(以下、先名さん):
私は以前、あるCGプロダクションにいたのですが、女子は少なかったですね。200人中40人くらい。
水崎氏:
だいたい2割ですね。
先名さん:
そうですね、10人プロジェクトに2人とか。
―――女性にとって「神風動画」は働きやすい環境なのですか?
(女性一同)
そうですね。働きやすいです。
清水さん:
私は前職で英会話学校の先生をやっていたんですが。
―――英会話教師からアニメーターに? そんな道があるのですね。
清水さん:
もともとアニメーター志望で、先生はつなぎの仕事だったんです。
―――女性の皆さんがアニメ業界を目指された初期衝動は、どんなものだったのですか?
佐藤さん:
私は美術を描いたりしてるんですが、もともと絵を描くのが好きでした。でもアニメの制作会社とかには入らず、いろいろな仕事をやりました。でもお金を取るかやりがいを取るかで、悩んだんですよ。人に自慢できる仕事をしたいなと思い、それで大好きだった「神風動画」のサイトを見たら、「募集を締め切りました」って(笑)。
(一同爆笑)水崎氏:
あ、そうだったんだ。
佐竹さん:
そう、全然募集をしていないタイミングで作品が送られてきたんだよね。
佐藤さん:
諦めきれなかったので、「次回の募集はいつですか?」と電話をしたら、「とりあえず作品を送って」と言われ。もう衝動でしたね。取り憑かれた感じ(笑)。
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水崎氏: きっかけは「カクレンボ」という、「神風動画」立ち上げスタッフ(※)の個人制作のアニメがあって、そのDVDを見たんですよね?
※森田修平氏(YAMATOWORKS)と、桟敷大祐氏。「FREEDOM」などでも知られる
(C)YAMATWORKS/D.I.C
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佐藤さん:
「カクレンボ」に一目惚れして何回も見ました。たどっていったら「神風動画」にたどりついたんです。それで「神風動画」に入ったら、後にお隣に座っているのが桟敷大祐さん(キャラクターデザイン・美術)でした!
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水崎氏: その「カクレンボ」を制作した監督の森田修平君と、桟敷君が組んだ「SHORT PEACE」の一編「九十九」がアカデミー賞(※)に近づいているんです。だから良いものを見ていたんですね。
※第86回米国アカデミー賞短編アニメ賞ショートリスト |
佐藤さん:あと「
FREEDOM」のオープニング(
※)に鳥肌が立ちました。
※「神風動画」制作水崎氏:
あ、それは入社前だったんですね。年表作ったほうがいいかもね。(壁に貼られたアニメーションを指して)今は貼る時間がないくらい忙しくなってますが。
佐竹さん:
今年は24作品リリースしてますね。
水崎氏:
最近はソーシャルゲームのムービー制作も多いですね。
佐竹さん:
最近のソーシャルゲームはスペックも上がっているのでアプリに組み込まれていて、ダウンロードして見られるようになっています。