「闘士ゴーディアン」(バンダイ)を組み立てて、動物マスコットと関節機構で300円キットの常識を改革する! 【80年代B級アニメプラモ博物誌第25回】

2022年08月27日 11:000

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手足はどちらに曲がる? 「180度フルに動く」だけが可動じゃないことを知ろう!


では、ゴーディアン本体を組み終えておこう。ヒザ関節に、前後からスネと足首の一体化したパーツを接着する。

▲ スネは左右から合わせるので、ヒザから先が前後に動く。それはいいのだが、股関節の可動方向は左右のみで、ヒザ関節は前後のみ。トータルで前後左右にも動く……とも言えるわけだ

この足の可動って、「左右にだけ動くわけじゃない」「前後にだけ動くわけじゃない」。とらえようによっては、左右にも前後にも動く。まったく新しい答えではないだろうか? 全方向へひたすら動けばよしとする「フル可動」という概念にとらわれていた自分に気がつく。
では、いよいよマスコット的なオマケであるクリントを組み立ててみよう。

▲ 前後の足は固定でもよかった気がするが、丸軸で可動する。しかも、裏側から抜けないように小さな丸いパーツを接着する。全部の足だから、4個も小さなパーツをちまちま接着していく、適度なめんどくささが心地よい

▲ おお~、できた! 黒ヒョウロボを組み立てられるキットは滅多にないと思うが……可動範囲は「無限」と言ってもいいぐらいグルグル動き、後ろ足と尻尾で立ったりもできる!

クリントは、顔の造形も獣らしくていい感じ。考えてみたらヒョウロボと人型ロボ、2体セットで300円というお得なキット。では、人型ロボ(ゴーディアン本体)のほうも見てみよう!

▲ もう、リアルとか何とかいうより様式美としての巨大ロボ……前から見ても後ろから見ても印象が変わらないと、「そういうデザインなのだ!」といういさぎよい説得力に圧倒される

こういう質実剛健なデザインこそ、単純な軸可動で“化ける”ことがある。よし、手足を動かしてポージングして楽しんでみようか!

▲ 確かに肩は回せるし左右にも開くのだが、ヒジが内側にしか曲がらない……だが、その制約こそが形状を突き詰めたデザインセンスを生む。造形の美しさとはそもそも、制約の中で生まれるものではないのか?

▲ ゴーディアンとクリントの対比は、こんな感じ。正確にはクリントが大きすぎるんだけど、「2体のロボがセットなのだ」「こういう製品なのだ」と割り切ると、かぎりなく正しいサイズに見えてくるのだ

昔の合金玩具を集めている人からすれば、手足が一方向にしか動かないロボなんて当たり前だろうけど、「バンダイの300円キット=リアルなロボ模型」「関節が180°フルに動く=性能が高い」などの固定観念にとらわれた民にとって、この工芸品のようなキットはなかなか強烈でした。でも、次回はまたガンプラ・ブーム以降の「リアルな」ロボット模型に戻りたい気も……さて、どうなるだろうね!?

(文/廣田恵介)

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関連作品

闘士ゴーディアン

闘士ゴーディアン

放送日: 1979年10月7日~1981年2月22日
キャスト: 安原義人、井上瑤、納谷六朗、鈴木清信、増岡弘、高島雅羅、吉田理保子、鈴木れい子、村松康雄、北村弘一
(C) タツノコプロ

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