ツクダホビー製のプラモデル「1/20メーヴェ」を組み立ててナウシカを乗せれば、風の谷の未来テクノロジーを理解できる!【80年代B級アニメプラモ博物誌】第17回

2021年12月29日 11:000

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今月は超メジャーキャラクター、「風の谷のナウシカ」のプラモデルを棚から出してきました。バンダイスピリッツから、ほぼ同じサイズとポーズの色分け済みスナップフィットキットが発売されているのですが、何しろ「80年代B級アニメプラモ」という連載タイトルなので、1984年に発売されたツクダホビー製「1/20メーヴェ」です。これがまた怪しげなキット内容で、ひと筋縄ではいかないムードが漂ってます。

▲ 組み立て説明書。箱には一切表記のない「1/20 SCALE●風使い(メーヴェに乗るナウシカ)」という商品名が書かれている。版権表記は二馬力、徳間書店、博報堂。箱絵には原作コミックを使っているけど、アニメ版のプラモデルであることがわかる

▲ ところが、説明書の裏を見ると「○ドルク兵」、つまり原作コミックにしか登場しない土鬼(ドルク)の兵士もラインアップされている。ほかに「○ユパ」、その下の段は「○」だけ。とりあえず欲しいものを全部、思いつくままに書いた感があって、微笑ましい

このラインアップを見ると、「アニメ化を好機ととらえた原作ファンが暴走しながら企画開発していたのでは?」と想像せずにいられません。私が巻頭特集を担当している「ホビージャパン ヴィンテージ」で海洋堂の宮脇修一さんにインタビューした折、このツクダホビー製の「ナウシカ」シリーズにも、海洋堂さんが協力していると聞きました。それで、こんなにガレージキットっぽい手作り感満点のプラモデルなのでしょうか。

▲ 気になるだろうから、先にナウシカの顔をどうぞ。1/20といえば、アムロやセイラさんを模型化した「機動戦士ガンダム」のキャラコレと同スケール。こうして見るとウネウネした印象だが、帽子から前髪が出ていたり、チャームポイントは押さえてある

▲ 2パーツに分割されたキツネリスのテトも、すごく温かみのある造形。ナウシカの胴体パーツも見えるけど、ちゃんと肩幅が広くてウエストの締まった宮崎駿ヒロインの特徴を押さえている

ナウシカの太ももが左右で長さが違うのは、おそらくポーズづけのためでしょう。ちなみに、このシリーズは「ガンシップ」のみ1/72で、ほかの「カイに乗るナウシカ」、「王蟲とナウシカ」、そしてこの「メーヴェ」の3種類が1/20スケール。では、付属するナウシカが同じ顔をしているかというと、3種類とも違う。ポーズも固定だから、昨今の頭や手足を取り換えてカスタマイズするフル可動美少女プラモとはまったく別次元へ爆走している、と言えましょう。
そうそう、メカ部分のパーツも見ておかないと。

▲ 主翼は、薄いグレーで成型されている。そして、パーツ裏面には縦方向にモールドが走っている。これは、「主翼を畳んだ状態にしたい人はこの線から、自力で切断するように」という目印なのです……ユーザーによる改造前提の仕様が熱い!

▲ 内部エンジンは、ナウシカ同様、手作り感の濃厚なモールド。このエンジンを外から見えるようにするには、自分で機体をくり抜かないとダメ(笑)。でも、80年代のプラモ少年たちは改造や塗装は当たり前だったし、これでいいんだよ……多分

もしバンダイスピリッツが最新技術でリメイクした「メーヴェとナウシカ」が手元にあったら、このツクダホビー製と比較してみてほしい。大きさはほとんど同じなのに、ツクダ製はモールドがドロドロとしていて、縄文式土器みたいなんです。こんな発掘されたばかりの遺跡みたいなプラモデル、本当に組み立てられるだろうか?
発売当時にツクダ製「王蟲とナウシカ」を組んだときは、エポキシパテで隙間を埋めたぐらい大変で、ほとんどガレージキットだったよなあ……。なので、ちゃんと形になるか大変怖いのですが、この年末は1/20「メーヴェ」を素組みしてみましょう。

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関連作品

風の谷のナウシカ

風の谷のナウシカ

上映開始日: 1984年3月11日   制作会社: スタジオジブリ/トップクラフト
キャスト: 島本須美、納谷悟朗、松田洋治、永井一郎、榊原良子、家弓家正、辻村真人、京田尚子
(C) 1984 二馬力・GH

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