【アニメ・ゲームの“中の人”】第10回:アニメーター・小松原聖 ロングインタビュー!

アキバ総研 | 2017年02月21日 17:00
【アニメ・ゲームの“中の人”】第10回:アニメーター・小松原聖 ロングインタビュー!

アニメ・ゲーム業界で活躍するクリエイターに貴重なお話をうかがう本連載。第10回はアニメーターの小松原聖さん。小松原さんは「灼眼のシャナIII -FINAL-」や「とある科学の超電磁砲S」などの作画監督として知られ、「落第騎士の英雄譚」ではキャラクターデザインと総作画監督、「田中くんはいつもけだるげ」では総作画監督を務め、脚光を浴びた。当インタビューでは影響を受けた作品、経歴、仕事に対するこだわり、原画や作監に求められる資質能力、今後の目標などについて詳しく語っていただいた。


「しあわせのかたち」や藤島作品に影響を受ける


─最初に、小松原さんが影響を受けた作品を教えていただけますか?


小松原聖(以下、小松原) 子供のころは「ドラゴンボール」の絵を描いたりしていましたが、一番初めに強い影響を受けたのは、桜玉吉先生の「しあわせのかたち」です。兄の友達に遊んでもらうことが多くて、その人たちと一緒に楽しんでました。そして、OVA化もされていて、当時は知りもしなかったんですが、黄瀬和哉さんや後藤隆幸さんなどすごいメンバーが作っていたりします。知った時は驚きました。


高校になるとダメなほうの友人ができたこともあって、「サクラ大戦」というゲームに出会い、衝撃を受けました。それに合わせて「ああっ女神さまっ」とか、藤島康介先生の作品を読み始め、絵柄を真似するようになったんです。「テイルズ」も高校時代からやっていて、大体のシリーズ作品はプレイしています。


ちなみに、「テイルズオブシンフォニア」がユーフォーテーブルさんでアニメ化された時(2007~12)には、知り合いづてでちょっと関わらせていただきました。ファンだった作品に関わったのは、「シンフォニア」が初めてだったと思います。ゲームのOVAとしては珍しく長いスパンで11本作られたんですが、ほとんど参加させてもらって、貴重な経験になりました。


担当したのはアクションよりも、日常芝居のほうが多かったですね。キャラクターデザインと作画監督の松島晃さんや監督、演出の外崎春雄さんに見てもらって、いろいろと勉強させていただきました。原画を始めてまだ3、4年くらいで未熟な時期だったので、すごくご迷惑をおかけしたと思うんですけど(笑)。


─「Fate/Grand Order」関連のツイートも多いみたいですね。


小松原 ユーフォーさんで「空の境界」の3章と5章(2008)に関わらせてもらったのがきっかけで、「Fate/Zero」(2011~12)と「Fate/stay night [Unlimited Blade Works]」(2014~15)にも少しだけ参加しました。思い入れができ、ゲームのほうもハマっていった感じですね。


─師匠的な方はいらっしゃいますか?


小松原 原画に上がるタイミングでフリーになってしまったので、どこかの会社に所属してというのがなかったんです。4~5年は家に引きこもって作業していたので、とりあえずわからないことも全部描いて提出していました。そういう意味では、関わった演出さんや作監さんが師匠的な存在なのかもしれませんね。でも、やっぱり直接のやり取りとは違うと思うので、会社に所属していて、聞ける方がすぐそばにいる環境はうらやましかったですね。


―では、目標とする方は?


小松原 お仕事でご一緒した人たちはすごい人ばかりなので尊敬していますが、特定の誰かを目標とするというのはないですね。「この人の絵好きだな」というのはたくさんありますが、「この人みたいに描きたいな」という方向にはあんまり行かないんです。一緒に仕事をしてみたい人はいっぱいいますけどね、機会があればいいんですが。

 

 

作画は「自分のやったところがバレないくらいがちょうどいい」


―得意な作画やこだわりはございますか?


小松原 「これなら負けません」みたいなものはなくて、「どれもまぁまぁ、平均点はいけてる」、「無難なものは描けますよ」といった感じですね(笑)。自分はアニメーターとして目立つのがあんまり好きじゃなくて、自分のやったところがバレないくらいがちょうどいいと思っているんです。もちろん、観てすぐに誰がやったかわかるシーンやカットというのも、作品に沿っていればまったく問題ないと思います。まあ個人的な好みですけども。


―キャリアについてお聞きしたいのですが、業界に入る前は専門学校に通っておられたのですか?


小松原 日本工学院に通いました。蒲田のほうが有名ですが、自分は八王子のほうに通い、第1期生だったんです。そのころ「フリクリ」(2000)が結構メジャーになっていて、ガイナックスさんくらいは聞いたことがあったんですが、ほかの会社は全然知りませんでした。そこで、業界出身の先生に紹介していただいたのが、「HAPPY★LESSON」のOVA(編注:第1~3巻まで)やアダルトゲーム原作のアニメを作っていた、ヴェネットさんでした。


―もともとアニメーター志望だったのですか?


小松原 最初はフリーターでもいいと思っていました。でも、周りの友人たちが普通に大学なり専門学校なり進学しようとしているのを見て、「まずいのかな」と思い、自分にやれることを考えるようになりました。


そんな時に毎週深夜にやっていた「新世紀エヴァンゲリオン」(1995~96)の再放送を観て、アニメの仕事に興味を持ったんです。昔から好きで絵を描いていて、自信もそれなりにあったので、「なんとかなるんじゃね?」との甘い考えで進学を決めました。しかし、日本工学院に入ってみると、みんなすごい達者なわけで、「俺、すごいへたくそだな」と実感しましたね(笑)。


―最初のお仕事は?


小松原 ヴェネットさんで1年くらい動画をやって、お試しで「爆闘宣言ダイガンダー」(2002)の原画もやらせてもらいました。本当にお試しでしかなかったので、履歴に入れてもいいのかわからないですが(笑)。しかし、韓国の提携会社に修行に行くよう言われたのをきっかけに辞めました。


それからは同社の動検さんが個人でも動画を取っておられたので、その方のご自宅で動画を1年ほどお手伝いして、別の制作会社さんでも動画を1年ほどやっていました。その後はフリーになって、原画の仕事を始めました。


―23歳でフリーになられたのですね。


小松原 専門学校の先輩からTriple Aや動画工房の制作さんを紹介していただきました。フリーで最初にやった原画は、「鋼の錬金術師」(2003~04)の26話(編注:水島精二監督作品、動画工房グロス回)です。


―参加作品はどのように決められましたか?


小松原 初めはぜいたく言ってられる状況ではなかったので、「やらせてもらえるなら、やります」という感じでした。幸運なことに、自分の趣味から外れる作品もなかったので、スケジュールがつまってるなどの事情がなければ、大体は引き受けていました。


―「エルフェンリート」(2004~05)にも原画で参加(第7、10、12話)されていますが、いわゆる過激な暴力描写というのもご抵抗ありませんか?


小松原 自分はグロ描写を担当していません。そんなに好きではないので、やらないに越したことはないですね(笑)。

 

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