アニメーター・田中紀衣 ロングインタビュー!(アニメ・ゲームの“中の人”第12回)

2017年04月21日 18:300

西村博之さんの補佐を経て、総作画監督に

 

―「ダンボール戦機ウォーズ」で総作監デビューをされますが、20代で総作監を?


田中 25歳のころ、C2Cのプロデューサーさんに声をかけていただきました。


―きっかけは?


田中 前作「ダンボール戦機W」(2012~13)は、西村さんと大橋俊昭さんが総作監をされていたんですけど、最初は西村さんの補佐としてゲーム版「WARS」のお手伝いをしたんです。その流れで「テレビシリーズの続編のアニメも始まるので、総作監お願いできませんか」とお話をいただきました。


―最初の総作監のご感想は?


田中 子供向け作品は初めてで緊張しましたが、とても楽しく作業させていただきました。「ウォーズ」は総作監だけじゃなく、生徒キャラの設定も、ちょっとだけ描かせてもらったり、とても思い出深い作品です。

 

「アブソリュート・デュオ」は大好きな作品

 

―総作監作業では、各話数をお1人で直されるのでしょうか?


田中 「アブソリュート・デュオ」はスケジュールが大変だったので、AパートとBパートで担当が変わったりしましたが、それ以外の作品に関しては、割り当てられた話数を全部1人でやっています。


―「アブソリュート・デュオ」は佐野恵一さんと共同で総作監をされ、全話数担当されていますね。


田中 どの話数にもいるというのは初めての経験でした。


―ご感想は?


田中 時間はありませんでしたが、佐野さんのキャラクターデザインがとてもかわいいので、大好きな作品のひとつです。美少女ものは楽しいんですが、線量が多いので、作画的な負担は大きかったですね。佐野さんがうまいこと処理されていたので、これでも大分減ってるんですよ。


―月見璃兎は裏表ある性格ですが、描き分けが大変だったのでは?


田中 うさ先生はぶりっこ顔よりかっこいい顔のほうが多くて、後半は戦闘シーンも増えてくるので、描いていて楽しかったですね。


―お気に入りのキャラは?


田中 みやびちゃんです。

 

「ハンドレッド」で初めてのキャラクターデザイン

 

―「ハンドレッド」ではキャラクターデザインと総作監をされています。各話数のエンディング・クレジットに総作監表記がありませんでしたね。


田中 この作品は全話数から100~150カットを抜粋して見る、という形を取っていました。私が見切れない部分は、メインアニメーターの小関雅さんにお願いしました。諸事情で放送が1クールほど延びて、わりと時間もあったので、見たいカットは大体見ることができました。


―キャラクターデザインのポイントは?


田中 原作は巻数によって服の感じが違うので、アニメーターの皆さんが構造的に描きやすいよう工夫しました。アニメは360°回転しても違和感なく、正しいものにしなければいけないので、大熊猫介先生のデザインをくみ取りつつ、アニメにしてもおかしくないようなデザインにしようと思いました。


あと、わりと肉感を出しています。どのキャラも細いんですけど、肉がないわけでもないんですよね。大熊先生の絵は、セクシー寄りなので、その魅力が失われないようにしました。


―大熊さんからはどのようなお話があったのでしょうか?


田中 「アニメはアニメのデザインで自由にしてもらってかまわないです」とありがたいご協力のもと、わりと自由に描かせてもらいました。


―原作にイラストのないキャラは、田中さんがデザインされたのでしょうか?


田中 ちょっとしか出てこないんですけど、海外のスレイヤーを2キャラほど描かせてもらいました。原作者の箕崎准先生から「アサシンみたいなキャラ」と「魔法使いみたいなキャラ」といったメモをいただき、それをもとに作りました。


―エンディングが4種類ありましたが、そこでもイラストを描かれていますね。


田中 1番目(エミリア&サクラ)と3番目(レイティア&フリッツ)は、小関さんがイラストを描いて、私がちょっとだけ修正をしました。2番目(クレア&リディ&エリカ)と4番目(サクラ&カレン)は私が描いています。衣装はすべてオリジナルで、小林智樹監督が描かれた原案をふくらませて、デザインしました。すごく楽しかったですね。


―6話や11話のライブシーンについては、視聴者の方から賛否ございました。


田中 作画をライブに割くのか戦闘に割くのか、監督も悩まれたと思いますが、ライブは本筋ではないので、難しかったんじゃないでしょうか。私的には動かしてほしかったという気持ちもありますが、サクラとカレンのライブ衣装は、あまり動かすデザインじゃないんですよ。


ただ、ライブシーンは動かせなかった分、撮影さんが頑張ってきれいに撮っていただいて嬉しかったです。


―アイドル作品もお得意そうですね。


田中 そうですね、向いていると思います(笑)。


―田中さんは最終話の原画も描かれています。どこを担当されたのでしょうか?


田中 屋上のラストシーンです。キスまでは小関さんが描かれ、そこから最後まで私がやりました。

 

関連作品

ダンボール戦機WARS

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放送日: 2013年4月3日~   制作会社: OLM
キャスト: 逢坂良太、石塚さより、前野智昭、岩瀬周平
(C) LEVEL-5/プロジェクト ダンボール戦機・テレビ東京

アブソリュート・デュオ

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放送日: 2015年1月4日~2015年3月22日   制作会社: エイトビット
キャスト: 松岡禎丞、山本希望、山崎はるか、今村彩夏、諏訪彩花、戸松遥、田村ゆかり、堀江由衣、花江夏樹、川原慶久
(C) 柊★たくみ・株式会社KADOKAWA メディアファクトリー刊/アブソリュート・デュオ製作委員会

ハンドレッド

ハンドレッド

放送日: 2016年4月4日~2016年6月20日   制作会社: プロダクションアイムズ
キャスト: 長谷川芳明、大久保瑠美、吉岡茉祐、奥野香耶、M・A・O、羽多野渉、大坪由佳、衣川里佳、牧野由依、堀江由衣、佐藤利奈、今村彩夏
(C) 箕崎准・SBクリエイティブ/ハンドレッド製作委員会

この素晴らしい世界に祝福を!2

この素晴らしい世界に祝福を!2

放送日: 2017年1月11日~2017年3月15日   制作会社: スタジオディーン
キャスト: 福島潤、雨宮天、高橋李依、茅野愛衣、原紗友里、稲田徹、堀江由衣、豊崎愛生、諏訪彩花、江口拓也、生天目仁美、西田雅一
(C) 2017 暁なつめ・三嶋くろね/KADOKAWA/このすば2製作委員会

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