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アニメのヒロイン像について
―――皆さん、アニメを実際の仕事にしてみて、アニメに対して印象が変わったことなどありますか?
清水さん:
ストーリーに入り辛くなりました(笑)。アニメを見ていると、「あー、脇役の隅っこの人までよく動いてる。凄い!」という感じで。逆に「静止画になっちゃってるー」とか。
佐藤さん:
私は美術ばかり見ちゃいますね。やっぱり担当している箇所に目がいきます。
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清水さん: 宮崎駿監督の「風立ちぬ」、は、モブが凄いんですよ!
水崎氏: あのようなモブ、今後出てくるのかどうかだよね。(劇中で)地震が起こる前あたりで、「ウォーリーをさがせ!」が全部動いてる感じ(笑)。
(C) 2013 二馬力・GNDHDDTK |
―――そんなに大変なことなんですか?
(一同うなずく)
―――「風立ちぬ」はアニメのプロから見て、どのあたりが特に凄いのでしょうか?
先名さん:
大変なことばかりやられていましたね!そして全て素晴らしかったです! (主人公の)堀越二郎の描きかたも素晴らしかった。新聞紙にくるまれた部品が工場に届くシーンで、新聞には戦争の記事が書いてあるんですが、二郎は何も見ずに捨ててしまう。そこに宮崎さんの言葉がある気がしました。全てのものに物語のヒントがあるんです。素晴らしい!
水崎氏:
全然覚えてない(笑)。
先名さん:
壊れた飛行機の残骸とか。一瞬しか映らないのが……素晴らしい!
佐藤さん:
私、所々しか見てない……。
清水さん:
劇場混んでましたもんね。私は最前列の一番端っこで見ました。
水崎氏:
端っこだからモブだけ見てたんじゃ(笑)? キャラの演技ばかり見てません?
清水さん:
ヒロイン菜穂子のいい女ぶりに。
先名さん:
いい女…。
清水さん:
理想的な古き良き日本人。今はもう生息していない種類の人種。ちゃんと部屋を片付けていくシーンとかグッときました。女性ばかり見てしまいますね。女の子が生き生きしてる作品は好きです。
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―――これまでのジブリヒロインとはちょっと雰囲気違いましたよね。「風の谷のナウシカ」のナウシカや「もののけ姫」のサンとかって、もっと力強くてハキハキとしてる感じ。凛としているという共通点はありますが。
(C) 1984 二馬力・GH (C) 1997 二馬力・GND |
先名さん:
リアルですよね。
清水さん:
そうそう、一歩引いてる感じ。でも心の中には強いものをもってるんですよ。本当に強い女性だからこそ一歩下がれるんです。彼女みたいになりたいけど、たぶん今の時代の女の子たちは難しいですよね。厳しい時代を生きてきていないから。再現できない理想像だと思います。二郎ではなく菜穂子ばかり見てました。
佐藤さん:
私は実はあまりアニメ見ていないんですよ。ホラーが好きで、稲川淳二さんとか聞いてます(笑)。「カクレンボ」はホラーアニメだったからハマりました。子ども向けではないアニメは、もっとあってもいいんじゃないかと思います。あれを超えるものはまだないですね。
水崎氏:
菜穂子はちゃんとリアルに描かれた女性だよね。ディスるつもりはないけど、最近のTVアニメとかの女の子キャラは、男性の妄想が作りあげたものが多くないですか?
佐藤さん:
「こんな女がいいんだろ?」みたいな、か弱い女性像。
―――(アニオタや大きなお友達は)男性が多いので仕方ないのでしょうかね。
水崎氏:
まあ商売ですから。先ほどの倖田來未さんのダンスもそうですが、おっさんが作るよりダンスをわかってる女の子が作ったほうがいいですよね。「本来の売れ筋のマーケットはすでにあるので、僕らはそこじゃないところに行きたい」。ここスカスカだなというところに、自分たちの小屋を建てていくみたいなのが好きですね。ほかの人が押さえていないところを押さえたい。もちろんクリエイターも楽しく仕事をする。みんなのジブリ発言で、「あ、一緒でよかった」って思いましたよ。こういうスタッフでよかったなって、しみじみ思いました。