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新曲「STORIES」は、今までとこれから、両方の物語を感じさせる曲です
── その時々の最新の音楽シーンを意識していることもあれば、80年代とか90年代とか懐かしいサウンド感を打ち出していることもありますよね。 佐藤 たとえば「青空のラプソディ」を作っているとき、Jポップの世界では星野源さんの流れで、フィリーソウルっぽい、ディスコっぽいサウンドが来ていたんですけど、アニソンでそういうことをやっている人はまだいなかったので、fhánaが最初にやってやろうと。僕は昔から小沢健二が好きだったのでブラック・ミュージックに傾倒したポップスは自分のルーツでもあるし、このタイミングで一石を投じてみたら面白いかもなと思ってましたね。
── 「青空のラプソディ」は、ミュージックビデオ(MV)を見たときにfhánaの新境地を感じました。 佐藤 ダンスしちゃってますからね(笑)。僕は「涼宮ハルヒの憂鬱」が好きで、「晴レハレユカイ」のハレハレダンスがあって、「青空のラプソディ」は京都アニメーションの「小林さんちのメイドラゴン」のオープニングだったし、曲調もソウルっぽい多幸感のあるものができたので、踊るなら今かなと。「青空のラプソディ」は、ルーツでもあり、新境地でもあり、という曲でしたね。
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── 「ハルチカ~ハルタとチカは青春する~」オープニングの「虹を編めたら」は、いかがでしたか? 佐藤 「虹を編めたら」と「Hello! My World!!」の2曲は作っておいてよかったなと、後から思った曲でした。作っているときは特にすごく手応えがあったわけではないんですけど、リスナーからの反応もよくて。「虹を編めたら」はハルタとチカの男女が主人公なので、曲もデュエット色を出そうと。それでtowanaと僕で歌ってみたんですね。AメロBメロからサビへの転調も気持ちよくて、うまくいったなと(笑)。「Hello! My World!!」は、作っているときから、「なんなんだ、この曲は!?」と思っていたんですけど、ライブでやったら評判がよくて、「これはかっこいい曲になったかも」と後から気づいた感じですね。
── 「calling」は、収録曲の中で唯一のバラードです。 佐藤 「calling」みたいな曲はもともと好きで、たとえば1stアルバムには「white light」という曲があるし、fhána結成以前のFLEETにも壮大でギターがワーッと入ってくる壮大なミディアムバラードがあるんです。それがタイアップ曲としてうまくマッチさせることができたのが、「テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス」のエンディング「calling」でした。
── 「ムーンリバー」は、yuxuki wagaさんの作曲で、シングルの表題曲で佐藤さん以外のメンバーが作曲を担当したのは、これが初ですね。 佐藤 とてもエモーショナルな曲で、ライブでの評判がいいですし、僕も好きです。yuxukiくんが作ったということもあって、ギターソロがかっこよくて。サビはギターロックサウンドなんですけど、AメロBメロはエレクトロになっているのも特徴です。編曲のクレジットはどの曲もfhánaになっているんですけど、実質的には作曲した人が編曲をやっているんですよね。だけど、「ムーンリバー」だけは、編曲を僕が担当しました。
── 「コメットルシファー ~The Seed and the Sower~」は、いかがでしょう? 佐藤 一番ギターロックっぽく、バンドっぽいのがこの曲です。ちょうど「血界戦線」がTVでやっていた時期だったんですけど、BUMP OF CHICKENみたいですよね(笑)。オープニングの「Hello, world!」がすごく良かったので、影響されたというか。
── お気に入りの音楽を聴いて、楽しみながら作ってる感がありますね。 佐藤 そうですね。遊びの要素は大事だと、常に思っています。
── そして新曲の「STORIES」が最後に収録されています。どのような思いで作っていったのでしょうか? 佐藤 5周年ソングを作りたいというのは早くから考えていたんですけど、ベスト盤のタイトルを「STORIES」にして、同じ名前で新曲を作ろうというのは、かなりギリギリになって思いついたことでした。fhánaの曲は1曲1曲が物語で、それが集まったのが今回のベスト盤なんです。そのラストに入る新曲ということで、未来を描いた曲にしたいなと。今までのfhánaの物語とこれからの物語が詰まっているのが、このアルバムですよということを表す曲になったと思います。
── 作詞はtowanaさんです。 佐藤 最初から彼女に書いてもらおうと考えていました。その布石として、3rdアルバム「World Atlas」の「ユーレカ」という曲で詞を書いてもらって、その感触がとてもよかったので、今回も安心して任せて、結果、いい歌詞が上がってきたなと。fhánaの歴史を総ざらいしつつも、大団円みたいな大げさな感じじゃなくサラッとしていて、その感触がいいなと思いました。
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── 楽曲自体もサラッとした感があります。 佐藤 ほかの収録曲はアニメ主題歌ということもあって情報量が多いので、コントラストを付ける意味でも、新曲はシンプルにしようと思っていました。シンプルだけどメロディアスでポップでキャッチーで、fhánaのストーリー全体を表現できるような曲を目指しました。歌詞もメロディも全部必然で繋がっている、研ぎ澄まされた刀のような曲が作れたかなと思います。
── 明るい未来を感じさせる曲ですよね。 佐藤 そうですね。まだまだ、この先も面白そうだなと思わせてくれる曲です。