旧キットの金型改修で爆誕した1/144ザク・マリナーを組み立てたら、「機動戦士ガンダムZZ」の混沌ワールドに溺れかけた!【80年代B級アニメプラモ博物誌第20回】

2022年03月26日 11:000

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ザク・マリナーの緑と青は、旧型ザクへのリスペクトである……と考えるのは妄想?


まずは、頭と腕のつく軸を、胴体内に固定する。腕が前後に動く機構は、1981年発売の「1/144旧型ザク」で初めて採用され、1982年発売の「1/100スケール 旧型ザク」で村松正敏さんが改めて採用し、そのまま1/144 06Rに継承したと……(この辺は、「ホビージャパン ヴィンテージ」Vol.06の村松さんへのインタビュー記事にも書いてあります)。

▲ 腕が胴体の真ん中の軸で前後に動く機構は、そのまま首を支える土台としても機能している。こういう合理性が、無印のガンプラの魅力だったと思うんだよね。口のダクト部分が激しくズレているけど、キットのダボ穴を尊重して、そのまま組み立てました

▲ そして、股間部は別パーツ。胴体の大まかな構成は、06Rのまま。股間に足を取り付けてみると、スネ側面のディテールに気がつく。このポツポツした小さな穴はセンスいい

「ガンダムZZ」に登場したモビルスーツが、「Zガンダム」で散らかってしまったコンセプトをシンプルに収束させようとした意図は何となくわかる。このザク・マリナーもむやみに大きなシールドとか長すぎるプロペラントタンクを付けることなく、手堅くまとめようとしていて好感がもてる。

▲ 新しく彫られた肩の装甲は「サブロック・ランチャー」だそうで、そんなに大きなミサイルが入るようには見えないけど、シンプルな立方体としてデザインしてあって、気持ちがいい。こういうのでいいんだよ、こういうので

▲ いかにも水中での抵抗を減らした感じのランドセルも、洗練された形状。このランドセルを既存のザクの動力パイプで本体と直結させる構造にも、誠意を感じる。何だかわからないコンセプトを割り込ませるよりは、元のデザインを尊重している

▲ ここまで組み進めると、ランナーにはもはや06R用のパーツしか残っていない。逆を言うとそれなりに無駄が生じたわけで、本当に06Rの金型を改良して効率がよかったのかどうかは、わからない

さて、組み上がったけど、結構かっこいいよ。元ガンプラ小中学生だったオヤジ世代にはガツンとくる、力強いシルエットをしている。

▲ ここのところ、この連載では真っ白なロボットが多かったから、旧ザクのような濃いめの配色が目に染みる。あと、銃をしっかり保持できる可動指もいいね! これなら、今後のバンダイのキットにも期待ができる……って、今年2022年だっけ?

▲ やっぱり可動範囲が狭いので、それほどポーズはつけられない。だけど、無目的に可動範囲を広げて180°開脚するとかよりは、重量感あるフォルムを大事にしてほしい。「重量感」っていい日本語だね!

▲ ランドセルは、スリットの隙間に金網のようなモールドが入っている。ロボット物の場合、こういうディテールはオーバースケール気味のほうが雰囲気が出るよね

このザク・マリナー、当時価格600円は高いのか安いのか微妙なところだけど(元になったMS-06R ザクIIは500円)、とにかく配色センスがいい。アンテナ、手首、スネ、ランドセルなど末端に近い部分に濃い青を配置すると、こんなにも重量感が出るのか……という勉強になるし、1986年時点の600円なら2色成形じゃないと値段相応のリッチ感が出なかったんじゃないかな、という推察もできる。
「ZZ」のモビルスーツでは、過去に「バウ」なんかを素組みしたことがあった(https://akiba-souken.com/article/51838/)。見たことのない変形合体を取り入れたキットもあれば、3年前の金型を改良した回春キットもあって、いろいろと総力戦だったんだな。がんばれ、「ZZ」のプラモデルたち。また素組みするからな! ではまた来月、ガンプラ以外で会いましょう!

(文/廣田恵介)

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機動戦士ガンダムZZ

機動戦士ガンダムZZ

放送日: 1986年3月1日~1987年1月31日   制作会社: サンライズ
キャスト: 矢尾一樹、岡本麻弥、森しん、塩屋浩三、原えりこ、菊池正美、松井菜桜子、鈴置洋孝、榊原良子、堀内賢雄、門間葉月、カシワクラツトム、本多知恵子
(C) 創通・サンライズ

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