【インタビュー】東山奈央と安野希世乃のユニット「ぽかぽかイオン」、結成5年を経て、リリースされる1stシングル「やじるし→」は、聴くだけで癒やされる1枚に！

「手紙の塔」は私が、「まわりみち」は希世乃さんが、歌詞のアイデア出しをしました（東山）

── 3曲目は盤によって曲が違います。まずは、ぽかぽか盤に収録されている「手紙の塔」（作詞 : 児玉雨子／作編曲 : 西脇辰弥）について、お2人の印象をお聞かせください。

東山　作曲・編曲の西脇さんは、ワルキューレのライブでいつもキーボードを担当してくださっている方なので、私たちのために曲を書いてくださったというのがエモいですよね。

安野　どんな気持ちで書いてくださったのか、聞いてみたいよね。

東山　歌詞については、ぽかぽか盤収録の「手紙の塔」は私が、イオン盤収録の「まわりみち」は希世乃さんが、こういう歌詞にしてみたいというイメージをプロデューサーさんに伝えさせていただきました。私は、「僕の宝物」と「やじるし→」はパートナーとの絆の歌だったから、次の曲はテイストを変えて、誰に向かって歌っているのか聴き手のみなさんが自由に解釈できる歌詞がいいなと思って。それをプロデューサーさんに話したら、「手紙をテーマにした歌詞がいいかもしれないね」と。それで西脇さんのやさしいメロディに乗せた、この歌詞ができ上がってきました。聴くタイミングによって意味合いが変わる、感情の余白がある曲になったと思います。

安野　「余白のある楽曲」というのは、その通りだね（笑）。児玉さんの歌詞はすばらしくて、大人ならではの視点で書かれているなと思いました。さらに演奏では西脇さんのハーモニカがいい味を出していて、「歌ってるなあ」と思いました。

東山　めっちゃ歌ってましたね！

── イオン盤収録の「まわりみち」（作詞：西直紀／作編曲：鈴木智文）はいかがですか？

安野　「寄り道」をテーマに一曲書いたらどうかというのは、プロデューサーさんと私の自然な話の流れから生まれたアイデアでした。それに鈴木さんが書いてくださったのはミディアムテンポの心地いい楽曲でした。そこに晴れた日のお散歩やピクニックにぴったりの歌詞ができ上がってきて、。私と奈央ちゃんの軽快なやり取りが続いていくんですけど、それが意外に難易度が高くて。レコーディングでは、いっときも気が抜けない感じがありました。

東山　ぽかぽかイオンはデュオなので、どの曲も2人でキャッチボールをしている感があるんですけど、「まわりみち」だけはバレーボールなんです（笑）。ボールを手に持つ余裕はなく、ずっとトスし合っているんですね。

安野　わかる！　バレーボールか、もしくは卓球です（笑）。

東山　でも、歌詞は本当にかわいらしくて、聴いているとほのぼのしちゃいますよね。

安野　かけ合いの部分は、特に短いフレーズが多くてかわいいんです。歌うというよりもセリフのような感覚で気持ちを乗せることを意識しました。

東山　プロデューサーさんからも「メロディから外れてもいいから、楽しげに」という指示があって。しかも歌詞の言葉のチョイスが独特で、「のたりのたり」とか「ひねもす」とか、初めて口にしたかもって思いました（笑）。

── 与謝蕪村の「春の海　終日（ひねもす）のたり　のたりかな」ですね。

安野　そんなふうに遊び心だらけで、耳に心地よい言葉をたくさん選んでくださいました。私が好きなのは「イオンでもかけ合おうよ」というところで、イオンってかけ合うことができるんだと思って（笑）。それから、みちくさも食べちゃうし（笑）。

東山　そうそう、「みちくさ食べておいしいな」って歌詞があって、ここもかわいいんです。

安野　そして曲の最後には2人のおしゃべりが入っているんですけど、ここは奈央ちゃんが台本を書いてくれたものに、私もちょこっと手を入れました。

東山　レコーディングがひと通り終わった後に、プロデューサーさんから「つかぬことを聞きますが、この曲の終わりに2人でちょっと会話をしてもらうことはできますか……」と言われまして（笑）。プロデューサーさんがほかの作業をしている合間にササササッと書いた台本をひとり芝居して、チェックしてもらいました。「こんな感じのユルさでどうですか」と聞いたら「ばっちりです」と。

安野　奈央ちゃん、プロデューサーさんの声マネがうまくて（笑）。そういう言い方を本当にするんです。