声優・安野希世乃が、2ndミニアルバム「笑顔。」をリリースする。すでにミュージックビデオが公開されているリード曲「ぼくのヴィーナス」や、TVアニメ「カードキャプターさくら クリアカード編」オープニングテーマ「ロケットビート」を含む全7曲。タイトル通り、やわらかくてやさしい曲を多く含むアルバムとなった。曲によっては、ちょっぴり切ない笑顔もあり、今回も「きよのん」のさまざまな表情が見られる1枚に。12月には、自身初のライブツアーも決定。この冬は、温かいボーカルとサウンドとともに過ごしたい!
「ぼくのヴィーナス」の歌詞には、幸せだけを詰めこみました
── 2ndミニアルバム「笑顔。」は、穏やかな曲が並んでいる印象がありました。1stミニアルバム「涙。」もそうでしたが、コンパクトにまとまっているのがいいですよね。 安野 私はミニアルバムを柱にリリースを続けていこうとみんなで話しているんです。1回聴くのに30分ちょっとで、サイズ的にちょうどいいんですよね。アルバム1枚通してのストーリーも作りやすいですし、手のひらサイズという感じが、とても気に入っています。
── 手のひらサイズというのがかわいくて、安野さんらしいです。 安野 もっと聴きたい、あとひと口欲しいと感じていただきつつ、次のミニアルバムに繋げていきたいなと思っています。ただ、「笑顔。」の初回限定盤のBlu-rayはボリュームがあって、ミュージックビデオ(MV)が3曲も入っているんです。撮り下ろしの「ぼくのヴィーナス」や「ロケットビート」、今まではDVDだった「ちいさなひとつぶ」も、よりきれいな映像になりました。
── さらに、「ぼくのヴィーナス」のメイキング映像も入っているんですよね。 安野 はい。メイキングも見どころ満載です。たとえば、砂浜が熱すぎて、慌てている姿が映っていたりします。MVでは、笑顔で余裕で歩いているんですけど、それは一瞬だったんです。
── 笑顔で砂浜を歩く姿も、「熱い!」って言って笑っている姿も、どちらも安野さんらしいです。「ぼくのヴィーナス」は、とにかく夏の雰囲気たっぷりのMVですね。 安野 常夏です。撮影したのは8月末で、カンカン照りでした。スタッフのみなさんに日焼けを心配されました。
── MV撮影で、楽しかったことはありますか? 安野 自転車に乗れたことです。実は「ロケットビート」のMVの時に監督さんに、「自転車が好きなので、乗ってみるというのはどうでしょう?」と提案していたんですが、そのときは自転車に乗ることはなかったので、今回のMVでは乗ることができて、すごくうれしかったです。
── 海の近くのまっすぐな道を自転車で走っていて、気持ちよさそうでした。 安野 本当に気持ちよかったです。まるで南国のように見えますよね、実際は千葉なんですけど(笑)。ブール付きのハウススタジオも砂浜も自転車で走った道も、ロケーションに恵まれた撮影でした。砂浜で撮影していたときは、海水浴客やサーファーのみなさんが遠くから、「がんばって-!」と声をかけてくださったりして、楽しかったです。それから、馬を見ました!
── 馬ですか? 安野 私、撮影中によく馬に会うんです。7月29日のバースデーイベントで、食レポの映像を流したんですけど、そのときの撮影でも、恵比寿でポニーに会いました。母が馬好きなのが影響しているからなのか、私は、馬遭遇度が高いんです。
── でも、馬がMVに出てきたことはないですよね。 安野 はい。出ません。撮影の合間のこぼれ話です(笑)。
── むしろ、「ぼくのヴィーナス」の共演者は、ヴィーナスの石膏像でした。 安野 ミロのヴィーナスです。意味深な、遊び心がある使われ方をしているので、見ていて、「ウフフ」ってなると思います。
── 「ぼくのヴィーナス」は、MV通りのとても爽やかな曲で、ミニアルバムのトップを飾っています。安野さんご自身が作詞された曲でもありますね。 安野 コモリタミノルさんのメロディからインスピレーションを受けて、書きたいテーマがスッと決まりました。そこから、ほとんど悩まずに書き上げることができました。これしかない!という言葉のハマり方になったと思います。
── 自信作ということですね。サビの「きっと きっと きっと きっと」と「ずっと ずっと ずっと ずっと」が、シンプルで伝わりやすく、メロディにも見事に乗っていると思いました。リラックスした、風通しのよいラブソングですよね。 安野 誰かを想ううれしさやよろこび、大好き!という幸せな気持ちだけを詰め込みたいなと思って書きました。見返りを求めてないから楽な気持ちでいられて、ある意味、達観した恋の歌なんです。君が生きていてくれるだけで幸せというくらい、幸せのレンジが広くなっているんですね。
── サウンド感も幸せいっぱいというか、やさしくて、どこか懐かしいんですよね。安野さんのボーカルでこういう曲調を聴けたのはうれしかったです。 安野 ファッションみたいに、音楽も巡り巡ってブラッシュアップされながら生き残り続けるんだと思います。こういう曲を作っていただいたからには、私もがんばって、懐かしい時代の音楽のよさを受け継いでいきたいなと思いました。
── 歌詞の中に「SHOWは終わらないわ」という、つい空耳してしまう一節があるんですよね。 安野 待ってください、そこですか!(笑)。最初は「SHOWよ終わらないで」にしていたんです。そうしたら
福田(正夫)プロデューサーが、「賞与終わらないでにきこえるのですが…」って(笑)。それだと「ぼくのボーナス」になっちゃいますねってみんなで笑って。私としては絶対にSHOWという言葉を使いたかったので、「SHOWは終わらないわ」に直したんですけど、今度は「もう平成も終わるのに、昭和終わらないんだね(笑)」って。でも、「これでいきましょう」ということになりました。
── 福田さんとの、ほんわかしたやり取りが目に見えるようです(笑)。 安野 「涙。」のときと比べると、2作目ということでディスカッションが弾むようになりました。私が思ったことを素直にお伝えして、それに対してレスポンスをいただいて、一緒に作り上げていくという関係が、より築けてきたなと感じています。