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10年の間に演じてきたキャラクターへの思いを綴った「Act 10 ~Dear My Characters~」
── カップリング曲は、声優デビュー10周年記念ソングの「Act 10 ~Dear My Characters~」です。この曲は安野さんの作詞ですね。 安野 最終的にそういう曲になりました。私が作詞するときは、プロデューサーさんからテーマを指定されることは一切ないんですね。今回は川崎智哉さんが作ってくださった楽曲の華やかさに、10周年感謝御礼パーティ会場みたいなイメージが浮かんで(笑)。この曲だったら、今まで演じてきたキャラクターたちへの感謝の気持ちを書けるんじゃないかと思ったんです。
── つまり、キャラクターに向けて書いた詞なんですね。 安野 そこが今まで自分で作詞してきた曲との一番の違いで、聴いてくださる「あなた」に向けての歌詞ではないんです。詞を書いていく中で、全体像が見えたくらいで一度筆を置いて、私が演じてきたキャラクター名を書き出してから、この部分はこのキャラクターへの思いというように、具体的なキーワードを入れていきました。なるべく多くのキャラクターを連想させる歌にしたいなと思いました。
── ここは誰のことですと種明かしをしていただくのは無粋な気がするので、そこはリスナーの想像に任せて、全部で何人のキャラクターが入っているんですか? 安野 (歌詞を見ながら数えて)7人です。ひとつだけ誰でもわかりそうなところを挙げると、2番の「スキもキライも」というところは(『マクロスΔ』の)カナメさんの「AXIA~ダイスキでダイキライ~」から取りました。
── 今まで演じてきたキャラクターのことを思い浮かべながら、楽しんで作詞できたのではないですか? 安野 いえ、時間もかかりましたし、生みの苦しみを味わいました(笑)。メロディラインやリズムに合わせて、具体的なキャラクターへの思いを書いていくという作業で、フィーリングで書いていい部分はひとつもありませんでしたから。思いを寄せながら、頭をひねって書いていきました。その分、完成したときはうれしかったですね。歌ってみて、音感として気持ちいい部分もたくさん作ることができました。もうひとつ、今回の詞で自分を誉めたいポイントがあるんですけど、聞いてくれますか?(笑)
── もちろんです。教えてください。 安野 1番のサビに「世界でひとりの」という言葉があるんですけど、それが2番になると「正反対で愛しの」になっているんです。これは10音の母音の並びが一致していて、深く考えずにフィーリングでその並びに至っていたんですけど、最近読んだ和製ラップの本で、10音一致は中々ハイレベルだということが書かれていて、ニヤリとしてしまいました(笑)。
── おお、そんな努力の跡が(笑)。テクニック的にも魅せどころがある歌詞になっているんですね。そして、初回限定盤のBlu-rayには、最初に話題が出た「安野希世乃Acoustic Live 2021~恋するWater Colors~」の東京公演(4月4日・人見記念講堂)のほうの映像が約75分収録されています。僕も拝見したのですが、落ち着きがあって大人っぽいライブでした。 安野 人見記念講堂という由緒あるホールで、白のロングドレスを着て歌わせていただきました。アコースティックバーションにリアレンジされた私の楽曲を染みこむように自然に受け取れましたし、ソロアーティスト安野希世乃らしさがステージ上で体現できたライブだったんじゃないかなと思います。
── 当日、外は小雨が降っていたんですよね。そんな空気感にもアコースティックバージョンは合っていて、しっとりとした雰囲気の中、歌と演奏を聴くことができました。映像にも、その雰囲気がそのまま収められているなと。 安野 アコースティックセットは1つひとつの音の存在感が違うなと思いましたね。音の複雑さはフルバンドのほうが勝るんですけど、アコースティックセットは素材のよさを味わっていただく茄子の煮浸しのような、長芋の素焼きのような感じがあって。いかにうまく調理し、いかに美味しいタイミングで食べていただくかというのが、アコースティックライブというか。どの楽器の音も粒だって聞こえてくるので、ピアノならピアノ、アコースティックギターならアコースティックギターと、聴きたい楽器の音がほかと混ざらずに聴けるんですよね。そういう洗練された素材のよさを差しだすことができたライブでした。
── もちろん安野さんのボーカルも味わいたい素材のひとつで、こうやって映像化されることで家で何度も観賞できるのはうれしいですよね。 安野 あの空間で、あのミュージシャンの方々とともに作り上げたならではの美味しい音楽を、ぜひ味わっていただきたいです。
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安野希世乃プロフィール
やすのきよの/7月9日、宮城県出身。 2011年に声優としてデビュー。2016 年、TVアニメ『マクロスΔ』のカナメ・バッカニア役に選ばれ、戦術音楽ユニット・ワルキューレのリーダーとして、アニメを飛び出し現実世界でも活躍する。2017年7月には、TV アニメ『異世界食堂』エンディングテーマ「ちいさなひとつぶ」を含む1stミニアルバム「涙。」をリリース。歌手としてソロデビューを果たす。
CDデータ
■TVアニメ「異世界食堂2」オープニングテーマ「おんなじキモチ。」
初回限定盤(CD+Blu-ray)4,400円(税込)
FlyingDog/2021年10月20日発売
通常盤(CD)1,320円(税込)
FlyingDog/2021年10月20日発売
※通常盤のみ、「異世界食堂2」描きおろしイラストアナザージャケット付き ※オリジナル特典が当たるキャンペーン応募券封入(初回限定盤/通常盤とも初回生産分のみ)
〈収録曲〉 01. おんなじキモチ。 02. Act 10 ~Dear My Characters~ 03. おんなじキモチ。-TVサイズ- 04. Act 10 ~Dear My Characters~ -Instrumental- 05. おんなじキモチ。-Instrumental-
〈初回限定盤Blu-ray収録内容〉 安野希世乃Acoustic Live 2021~恋するWater Colors~ at 人見記念講堂 01. Overture 02. ちいさなひとつぶ 03. 夏色花火 04. MC1 05. 生きる 06. 晴れ模様 07. Kiss! Kiss! Kiss! 08. MC2 09. フェリチータ 10.ロケットビート 11. Destino~恋は一秒の永遠~ 12. 嘆きの空 13. MC3 14. echoes 15. 恋する私カラー 16. Ending ※2021年4月4日(日) 東京・人見記念講堂にて収録 ※バンドメンバー:石成正人(Ac.G&Band Master)、松本圭司(Ac.P)、福長雅夫(Per.)、笠原あやの(Vc) (取材・文/鈴木隆詩)