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私たち、歌っている間にテレパシーが使えるんです(笑)
── コンサートホールによる特徴の違いというのも、歌に関係してくるのではないでしょうか? Keiko はい、ホールによって声の響き方は本当に違いますから。室内の造りや反響板の数、天井の高さ、上に広いのか横に広いのかで、響き方が変わってくるので、毎回、音響さんと話し合いながら、その場にあったボーカルを作っていきます。たとえば、兵庫公演の和田山ジュピターホールと、岡山公演の倉敷市民会館は2日連続だったんですけど、あまりにもホールのタイプが違い過ぎて、リハーサルで歌い始めた瞬間に、3人で思わず顔を見合わせてしまったほどでした。リハーサルでは、まずホールに慣れるということが大事なんです。そのホールの響き方を体になじませて、そこから、今日はどう歌おうかと考えていきます。
── ホールに合わせて、ボーカルを能動的に変えるんですね。 Keiko そのためにリハーサルではあえて、いつも同じ曲を歌うようにしているんです。特に、今回のツアーのリハーサルは、徹底して同じにしています。
Wakana 歌の響きを細かく調整するためには、同じ曲を歌うほうが確実なので。今までアコースティックライブで披露したことがなかった曲を、私たちの中では「新曲」と呼んでいるんですけど、それを必ず歌っています。
── ということは、リハーサルは全曲通しでやるわけでないということですか? Keiko 毎回、全曲はやらないです。通しで歌うのは、ツアーの最初の公演のゲネプロだけです。
── それで、毎回のライブであれだけの曲数を間違いなく歌うのだから、すごいです。 Wakana いろいろな方にそう言われるんですけど、自分たちでは、すごいとは思っていなくて、覚えられちゃうんです。なぜ覚えられるのか、どうやって覚えているのかと尋ねられても、私たち自身、よくわかってなくて(笑)。
Keiko 普通のこと過ぎて、考えたこともなかったです(笑)。ものすごく練習して、本番シンプルに、練習して本番ステージに立つだけです。むしろ、その日のセトリや、私たちがMCで何を言ったかを細かく覚えて、ファンレターやメールで感想を送ってくださるお客様の記憶力のほうがすごいと思います。
Wakana たまにメモを取りながら聴いている方がいらっしゃって。ライブはその日だけのものなので、ずっと覚えておきたいと考えてくださっているんだろうなと思うと、うれしくなります。
Keiko お客様が集中して聴いているエネルギーは、ステージにもビシビシと届いてくるんです。ライブの中盤以降は、自分たちも熱量が上がっていきますが、会場全体がすごく熱くなっているんですよね。しかも、アッパーじゃない曲を歌っているのに関わらず。この静かな熱量の高さも、アコースティックライブならではですね。Kalafinaとお客様との真剣勝負の場になっているように感じて、私たちも命を賭けて歌ってます。
Wakana 歌声によって会場の熱を高めていくというのは、私たちにとってもすごく刺激的です。「ここで盛り上げよう」、「ここはビブラートを響かせよう」という、KeikoとHikaruの心の声が聞こえてきて、それに応えながら3人で、どんどん高まっていけるんです。
Keiko わかるよね、こう歌いたいという、ほかの2人の意思が。
Wakana 私たち、歌っている間はテレパシーが使えるので(笑)。お客様にここで感動してほしいと、それぞれが考えているポイントがわかり合えるのが、アコースティックライブをやっていて楽しいところです。
── 目線を合わせるまでもなく、歌声だけでわかるということですか? Wakana はい。もちろんお互いの顔を見たほうが、より明確なんですけど、声だけでわかります。
Keiko ミュージシャンの方にも不思議がられたことがあります。アイコンタクトもしないのに歌がばっちり合うのは、いったいどいうことなの? と(笑)。
Hikaru 3人だけに通じている何かです(笑)。
Keiko 職人の方の長年の勘と同じようなものですね。私たちも10年やってきて、そういう感覚をつかんだんだと思います。それは、歌をもっとよくしたい、曲の魅力を伝えたいと、3人で求め続けてきたからで、ひとりで歌っていたら得られないものだったかもしれません。でも、すごく繊細な感覚を求められることなので、その日のメンタルが大きく影響するんです。メンタルを整えてライブに臨むことは、とても大事です。