【アニメコラム】ときめき☆タイムトリップ第15回「夏目友人帳」人気キャラクターで見る! おすすめエピソード

2017年06月17日 10:450
(C) 緑川ゆき・白泉社/「夏目友人帳」製作委員会

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「今見ても、やっぱりいいわー!」
「なんでそんなに女性に受けたの?」
おもしろいものには理由(ワケ)がある! 女性アニメファンの心をつかんでヒットした懐かしの作品を、女性アニメライターが振り返ります。

今回は、現在第6期が放送中の「夏目友人帳」(2008年)シリーズをとりあげます。

少女漫画誌月刊「LaLa」(白泉社)で連載された原作は、とても繊細な感情を描いた作品。その持ち味を大切に、アニメも1話1話がていねいに作られています。

男女を問わず惹きつける癒しのシリーズの中、夏目と関わりの深いあのキャラクターでエピソードを選ぶとしたら? これまでのシリーズをふりかえります。


人と妖怪、異種・同種のコミュニケーションがテーマ


「夏目友人帳」は、高校生の夏目貴志と妖怪のニャンコ先生を中心とした、人と妖怪の、ほのぼの異種交流ストーリーアニメです。

第1期放送当時から「切ない」「泣ける」と人気が盛り上がり、その後のシリーズ化につながりました。

夏目は、祖母の「夏目レイコ」ゆずりの妖怪を見る能力があります。そのことで周囲に気持ち悪がられ、早くに両親を亡くして親戚の中でたらい回しにされ、苦労を重ねました。

そんな中で夏目が、とある結界を破って解放したのが、上級妖怪の「斑(まだら)」ことニャンコ先生です。ニャンコ先生は招き猫の姿をしていて〝自称〟用心棒、だから「ニャンコ先生」。ニャンコ先生と出会ったことで夏目は、祖母・夏目レイコのことと、祖母の遺品の「友人帳」の由来を知ります。

夏目と同じように妖怪が見えたレイコは、孤独で人間嫌いの乱暴者。レイコがケンカで負かした妖怪の名を記した「友人帳」は、名を書かれた妖怪を支配し、命を握るものでした。

事情を理解した夏目は、友人帳に名のある妖怪たちに、名前を返すことを決意します。それができるのは、レイコの血を継いだ自分だけだと知ったからでした。


ニャンコ先生との出会いから始まる、夏目の癒しと成長


相手が人でも、妖怪でも、関わっていくことには常に「勇気」と「怖れ」がともないます。その根源である「寂しさ」や「人恋しさ」は、人も妖怪も変わりません。関わりを持った相手にほだされる「情」も、通じ合えたときの「喜び」も。

日常の中にも普通にあるような、それでいて大人になる過程で多くの人が封印していくような、やわらかくあたたかい感情が、この作品では肯定され、みずみずしく描かれます。見る人はそこに感情をゆさぶられ、心をつかまれるのです。

第6期までの70話を越えるストーリーで、夏目は少しずつ変わってきました。妖怪たちとの交流を経て、人に対する心の壁を少しずつ崩し、大切に思う人が増えてきました。また、大切な人ができたことで、妖怪たちに自分ができることをしたいという強い気持ちも育っていきます。

舞台が現代の日本(スマホやパソコンはあまり登場しない、地方の古きよき日本)で、基本設定がシンプルなため、いつ誰がどこから見はじめても、笑って泣けて楽しめる。しばらく見ていなかったからといって、話がわからなくなるということがほとんどない。何回見ても1話1話を味わって飽きることがない。エピソードを重ねて掘りさげていくほどキャラクターが愛しくなる。それが息の長い人気の秘密でもあるといえます。

もちろん、夏目の相棒であるブサかわいいニャンコ先生は大人気のキャラクターです。「夏目友人帳」を見たことはなくても、ニャンコ先生のグッズをどこかで見たことのある人は多いのではないでしょうか。

普段は招き猫の姿をとっていて、「ブタネコ」「大福ネコ」とさんざんないわれようですが、「ふさふか」な本体と、「つるふか」な招き猫姿のギャップ、そしてアニメならではの弾力性のある謎な動きは愛嬌たっぷり、たまりません。


夏目が心を許せる同学年の友人、田沼


さて、女子ファンの好物といえば「関係性のドラマ」。

夏目に関係の深い人気のレギュラーキャラを3名と、彼らの外せないエピソードをご紹介しましょう。どのエピソードから見ても楽しめる「夏目友人帳」ですが、彼らが登場するエピソードだけは、順を追って見たほうが楽しめます。

まずは、同じ学年の友人、田沼要(たぬまかなめ)。第1期の3話「八ツ原の怪人」でこの作品に初めて登場した、妖怪に関する思いを分かち合える人間です。

第1期・第2期の初期は、人に心を閉ざし、どちらかというと妖怪と通じ合うことの多い夏目が、「妖怪が見える・感じる人間」とどう出会い、どう変化していくのかがひとつのテーマでした。

田沼は寺の息子で霊感があり、妖気にあてられると具合が悪くなりますが、実際に見たり対処したりすることはできません。それでも、夏目が知覚する世界のことを理解してくれる貴重な相手です。

類は友を呼ぶといいますが、夏目と田沼は、気質も似たもの同士です。派手な言動はせず、寡黙で、どこか遠慮がち。田沼が「夏目の力になりたい」と思い、その分、自分の力不足をもどかしく思うシーンも多々あります。その分、互いが相手のために勇気を出すシーンは、心があたたかくなります。

田沼と一緒にいると、夏目が救われているのが伝わるため、雰囲気がやわらかくなります。夏目と田沼が並んで歩いたり、会話しているだけで見ている方もほんわかなごむ友人コンビです。

■おすすめエピソード
第1期第三話「八ツ原の怪人」
第3期第5話「蔵にひそむもの」
第4期第6話「硝子のむこう」
第4期第7話「人と妖の間で」
第4期第11話「一枚の写真」
第5期第7話「遠い祭り火」
第6期第1話「つきひぐい」


やさぐれた兄のような年長の友人、名取


夏目の前に次に登場する「見える人」が、「祓い屋稼業」を営む名取周一(なとりしゅういち)です。第1期の9話「あやかし祓い」で初登場しました。

イケメンというなら、名取こそこの作品イチです。なんといっても表の顔は、キラキラ感をふりまいて衆目を集める人気俳優ですから! やりすぎるとギャグアニメになるためか、アニメでは多少その演出が間引かれていますが、その分、キャスト(声/石田彰)の演技でうさんくささがしっかり増している面もあります。

同じ妖怪が見える人間といっても、名取は妖怪を憎んでいて、妖怪にも情を示す夏目とは相容れず、それが当初は夏目に新たな悩みをもたらしました。

名家の生まれで妖怪を憎んでいる名取、身寄りがなく妖怪にも情を示す夏目。考え方は相容れないものの、小さいころから妖怪に悩まされ、人に黄味悪がられてきたのは、夏目も名取も一緒です。そのせいか、この2人はなんだか兄弟のようにも見えるんですね。

名取は夏目を甘いと思いつつ、それが夏目のよさだと認めています。夏目は、名取と行動を共にすることで、自分以外の能力者が妖怪相手にどう振る舞うかや、祓い屋業界での自分の立ち位置を知っていきます。互いの違いを認めたうえで成立しているふたりの距離は少しずつ近くなり、互いの力になっていきます。

このふたりの関係が大きく動くのが、現在放送中の第6部。名取に隠してきた友人帳の秘密が、ついに彼に気づかれることになって……。名取の師匠タクマが登場する第4・5話、そして友人帳の秘密に名取が触れる第10・11話は、大きな見どころです。

■おすすめエピソード
第1期第9話「あやかし祓い」
第4期第9話「月分祭」
第4期第10話「祀られた神様」
第5期第8話「歪み無き世界」
第6期第4話「違える瞳」
第6期第5話「縛られしもの」
第6期第10話「閉ざされた部屋」
第6期第11話「大切なモノ」


第3期から登場した危険なクセモノ、的場


第3期の第6話から登場した、もうひとり忘れてはいけないキーパーソンが、的場静司(まとばせいじ)です。

妖怪の祓い屋・的場一門の若き頭首で、年齡は名取のひとつ年下。強い妖力を持つ夏目に、興味を持っています。

この人がアヤしいのなんの! この癒し系の「夏目友人帳」において、「とらえろ」とか「牢に放りこんでおけ」というセリフを聞くことになろうとは。加えてキャストの演技で、セリフの1つひとつがやたらと意味深でつかみどころがなく(声/諏訪部順一)、危険きわまりない。

的場が登場すると話が一気にシリアスになり、物語に緊張感をもたらされます。派手なアクションも多いので、緊迫感あるストーリーをお好みの方には、彼が出るエピソードがおすすめです。

この人が登場したおかげで、名取はすっかり夏目の理解者ポジションに落ち着きました。第5期第8話「歪み無き世界」で、高校生だったころの名取と的場の過去話が登場して、彼らの背景も明らかになりました。これを踏まえると、彼らの登場するエピソードが2度おいしくなります。

今後も、的場が夏目にどうからんでくるかは気になるところです。

■おすすめエピソード
第3期第6話「人ならぬもの」
第3期第7話「祓い屋」
第4期第1話「とらわれた夏目」
第4期第2話「東方の森」
第5期第3話「祓い屋からの手紙」
第5期第4話「連鎖の陰」
第5期第8話「歪み無き世界」


夏目の成長と関わりのドラマを今一度


第6期まで来た現在、改めて見ると、第1期のころの夏目の周囲に対する反応は、かなり頑なで遠慮がち。何をするにしても、心の中で迷ったり、不安を抱いたりしています。

それに比べると、第6期の夏目は、よく笑い、よく話す。悩みの質も変化して、周りをはばかって自分を抑えるのではなく、自分がしたいことをやっていくためにどうするべきか、自分は何を選んでいくのかを、積極的に考えるようになりました。

シリーズを通して見ていると、「夏目、よかったね」と、しみじみ感じます。第6部の第1話「つきひぐい」のように、小さかった昔の夏目が登場するエピソードでも、その違いはとくに強調されます。

シリーズがここまできた今、改めて、第1部から見直してみるのもいいですね。そのときには、好きなキャラクターや話のムードなど、テーマを決めてまとめて見返してみても楽しいですよ。


(文・やまゆー)
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