【アニメコラム】ときめき☆タイムトリップ第6回「BLEACH」よりどりみどり! 護廷十三隊の死神たちが魅力的

2016年09月17日 12:000
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「今見ても、やっぱりいいわー!」

「なんでそんなに女性に受けたの?」

おもしろいものには理由(ワケ)がある! 女性アニメファンの心をつかんでヒットした懐かしの作品を、女性アニメライターが振り返ります。

 

第6回は、原作コミックが最終回を迎えて話題になっている「BLEACH」(2004年)です。

 

2016年8月22日発売の「週刊少年ジャンプ38号」で、コミック「BLEACH」(久保帯人)が最終回を迎え、15年の連載に幕を下ろしました。今回の原作完結のニュースを聞いて、アニメが懐かしくなった方もいるのではないでしょうか。

 

同コミックを原作とするアニメ「BLEACH」は、2004年10月から2012年3月まで、7年半に渡り全366話が放送されました。また、劇場版も4本制作されています。

 

原作のテイストを意識して、OP・EDからサブタイトルの出し方まで、クールでスタイリッシュに仕上がったアニメ「BLEACH」は、男性ファンにはもちろん、女性ファンに圧倒的な支持を受けました。なんといっても尸魂界(ソウルソサエティ)の護廷十三隊の死神たちがカッコいい!

 

パッと見で、どんな女性も必ず好みのタイプのキャラがいるという登場人物の幅の広さにくわえ、それぞれの過去が判明してくると、誰もが心切なくなる愛と陰影を内に秘めていることがわかって、キュンとせずにはいられませんでした。

 

思い出したらあれもこれも懐かしい! 人気を集めた死神たちを、特に人気の高い「尸魂界篇」を中心に振り返ります。


熱くて不器用な似た者同士、黒崎一護と阿散井恋次


熱い男、というならまず主人公の黒崎一護(くろさきいちご)でしょう。

 

オレンジ色の髪とぶっきらぼうな態度から、学校では不良扱いされることも多いけれど、本当は義理堅く、家族思いのやさしい高校生。高い霊力を持つことから、死神代行を引き受けたことが、物語の発端でした。斬魄刀は「斬月(ざんげつ)」。

 

名前のとおり、大切な人々を「護る」ために戦う男。死神代行篇では、罪のない人間や魂を護り、尸魂界篇では処刑されようとする朽木ルキアを護り、破面(アランカル)篇では連れ去られた井上織姫を護るためにひたすら戦います。弱い者の心に寄り添うやさしさが、一護の行動には常にあります。

 

ある意味似た者同士の熱い男が、護廷十三隊の六番隊副隊長、阿散井恋次(あばらいれんじ)。言動はやや乱暴ですが、頼り甲斐のある落ち着いた性格で、周囲からの信頼厚い男です。斬魄刀は「蛇尾丸(ざびまる)」。

 

ルキアとは、貧しい流魂街で身を寄せ合って育った幼なじみ。名家・朽木家の養女にと望まれたルキアを、彼女の幸せを思って送りだした過去があります。

 

思う幼なじみはいまや名家の令嬢、自分も強くなって見合う男になろうとしていたら、その幼なじみが処刑の危機に。しかし立場上、自分はそれに異をとなえられない。

 

ルキアを救うために尸魂界に乗り込んできた一護と、全力で力をぶつけ合った恋次。血のような夕日の中で思いを吐き出し、一護に「ルキアを助けてくれ……!」と絞り出すように叫びます。アニメの演出が映えた名場面です。



クールとプライドを体現する男、朽木白哉


一護のクラスメイトで滅却師(クインシー)の石田雨竜も、熱い一護に比べれば頭脳派で冷静なタイプ。戦いではしばしば、一護をたしなめたり怒ったりという役どころでした。

 

しかしこの作品でクールキャラ筆頭といえば、護廷十三隊の六番隊隊長、朽木白哉(くちきびゃくや)をおいてほかにいないでしょう。斬魄刀は「千本桜(せんぼんざくら)」。

 

四大貴族「朽木家」当主としてのプライドが高く、滅多に感情を表に出さないため、最初は掟とあれば義妹のルキアの処刑も辞さない冷徹な男に見えました。

 

しかしその裏に潜んでいたのは、亡くなった妻(ルキアの姉)への愛、そしてルキアを大切に思う気持ちでした。無愛想に見えても、実際は妹に甘いお兄さん。そうわかってみると、感情を見せない冷たい表情も、その不器用さが魅力的。どこかかわいく見えてくるから不思議です。

 

ルキアや一護の危難に際してこのお方が登場すると、「キターーー!」という気分になりますね。


小さくて強い男の子は好きですか? 日番谷冬獅郎


この作品で、女性ファンに絶大な人気を誇ったのが、護廷十三隊の十番隊隊長、日番谷冬獅郎(ひつがやとうしろう)です。斬魄刀は、背中に背負った「氷輪丸(ひょうりんまる)」。劇場版第2作「The DiamondDust Rebellion もう一つの氷輪丸」は、日番谷をメインとしたエピソードになっています。

 

史上最年少で隊長となった天才児で、少年のような小柄な姿が目を引きます。性格は真面目で苦労性、ツッコミ役が多い常識人。さばさばしたセクシーな女性副隊長の松本乱菊とは、性格が真逆ながらいいコンビネーションを見せてくれます。

 

「BLEACH」では多くの登場人物が、親密な相手への愛とやさしさと心の痛みを秘めていますが、日番谷もそのひとりです。五番隊副隊長の雛森桃とは、貧しい暮らしのときから姉と弟のようにして育った幼なじみの間柄。そのため、雛森を気づかい、彼女の心身を深く傷つけた藍染惣右介のことを憎んで、心を揺らす一面もあります。

 

小さくて天才、子どもなのに苦労人、そして氷の属性の必殺技は本当に美しい。「シロちゃん、カッコいい……!」と思う小・中学生から、「小さくてかわいい♪」と見る大きいお姉さんたちまで、惹きつけてやまない。それが、日番谷なのです。


鬼気迫るおやじ好きなら更木剣八、飄々としたおやじ好きなら京楽春水


「おやじキャラこそいい」という女性は一定数います。若い男にはない渋さ、余裕、危険な魅力がいいのです。そこのところもぬかりなし。というか、護廷十三隊は基本おやじだらけです。

 

狂気を感じる怖いおやじなら、護廷十三隊の十一番隊隊長、更木剣八(ざらきけんぱち)。強い相手と戦うことを何よりも楽しむ戦闘狂で、シンプルだからこそ強い、だからこそ隙がないという凄みがあります。斬魄刀の名前を自分でも知らないというのは、彼のみです。

 

副隊長の草鹿(くさじし)やちるが、これまたむちゃくちゃ強い無邪気な少女というのも、謎であり、魅力のひとつです。戦いしか知らぬ狂気の男と天真爛漫な少女(しかし強い)が隊長・副隊長コンビというのも、なんともいえないおかしみがありました。

 

まったく対照的に、粋で洒脱、常に飄々とふるまうゆるく明るいおやじが、護廷十三隊の八番隊隊長、京楽春水(きょうらくしゅんすい)です。斬魄刀は「花天狂骨(かてんきょうこつ)」。

 

生真面目な女性副隊長の伊勢七緒に、いいかげんなところをぴしぴしと怒られますが、どこ吹く風。隊長として気が抜けすぎに見えますが、実は広い視野で真実を見通し、的確な判断を下す人物です。

 

ルキアが所属する十三番隊隊長の浮竹十四郎(うきたけじゅうしろう)とは親友。尸魂界篇ではルキア処刑の裏に陰謀があることに感づき、浮竹とともに処刑台の「双極」を破壊して処刑を阻止しました。おやじの友情、いいですよね!


悪の魅力、藍染惣右介。そして悪の哀しみ、市丸ギン


悪人とは、他者を振り回して我が道をいく王者のようなもの。そして考えはゆがんでいますが、おのれの欲望に正直で、突き抜けた行動力と人を惹きつけるカリスマ性を持っている存在です。

 

そんな悪の輝きを放つのが、尸魂界篇から破面篇にわたるラスボス、護廷十三隊の五番隊隊長、藍染惣右介です。斬魄刀は「鏡花水月(きょうかすいげつ)」。

 

穏やかな人格者と思わせておいて、自分の野望のためにルキアを殺そうとした悪党。自分の部下も目的のための捨て駒と考えていて、自分を敬愛していた副隊長の雛森桃を利用し、混乱させ、刺し貫いて捨てています。また破面篇では井上織姫を、能力を利用するために拉致させます。

 

諸悪の根源ですが、やることなすこと迷いのない悪人ぶりが、かえってすがすがしく思えるから不思議です。

 

いっぽう、ひょうひょうとしてつかみどころがなく、それでいてどこか乾いた哀しみを感じさせるのが、護廷十三隊の三番隊隊長、市丸ギンです。斬魄刀は「神槍(しんそう)」。

 

藍染に見込まれて腹心になり、ともに尸魂界を抜けて一護たちと敵対しますが、ギンの心の隅を占めていたのは、幼なじみの松本乱菊の存在でした。敵味方に別れ、会えば戦わねばならないと思いつつ、互いを気にかけるギンと乱菊。ギンは誰にも本心を明かさず、あることを心に思いさだめていたことが、のちにわかります。


「BLEACH」の魅力は護廷十三隊の魅力


アニメの本編ではシリアスな戦いが多めの死神たちですが、単発のオリジナルエピソードやミニコーナーの「死神図鑑」「死神図鑑ゴールデン」ではコミカルな描写も多く、個性的なキャラクターたちの日常の素顔を垣間見られる楽しさがありました。

 

虚無を漂わせるウルキオラ・シファーや、激情のライバル・グリムジョー・ジャガージャックなど、破面篇にも女性ファンを惹きつける魅力的なキャラクターが登場しました。

 

しかし振り返れば、「『BLEACH』の魅力は護廷十三隊の隊長・副隊長たちの魅力」といってもいいほど、死神たちの魅力は多彩で豊かだったと思います。

 

アニメ「BLEACH」を見ていた人も見ていない人も、改めて頭から、あるいは好きなキャラの気になるエピソードだけでも、プレイバックしてみるといいかもしれませんね。

 

 

(文・やまゆー)
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