【アニメコラム】ときめき☆タイムトリップ第7回「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE1000%」は男性アイドルアニメのパイオニア!

2016年10月23日 12:000
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「今見ても、やっぱりいいわー!」
「なんでそんなに女性に受けたの?」
おもしろいものには理由(ワケ)がある! 女性アニメファンの心をつかんでヒットした懐かしの作品を、女性アニメライターが振り返ります。

第7回は、第4期の放送が秋からスタートした、シリーズの第1作、「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE1000%」(2011年)です。

待ちかねた第4期「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVEレジェンドスター」が始まり、「そうそう、うた☆プリってこうだったよ!」と本編を見つつ、第1話の七海春歌のセリフではありませんが、「思えば遠くまできたなあ……」としみじみしているファンも多いのではないでしょうか?

乙女ゲームが原作の純然たる女性向け作品ですが、第1期が話題になったのは、クチコミで男性にも注目されるパワーがあったからでした。今に続く流れを作った、シリーズ第1期を振り返ります。


「マジLOVE1000%」の中毒性とインパクトはすごかった!


「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE1000%」は、第1話の放送後、エンディング主題歌である「マジLOVE1000%」が大きな話題になりました。

モーションキャプチャーを使わず、2Dの作画で歌い踊る「ST☆RISH(スターリッシュ)」6人のステージは、作品もキャラも知らない人の目をくぎづけにするインパクトを持っていました。

一度見た人はリプレイせずにいられない、また当分の間は歌が脳内でループせずにはいられない中毒性をもっていて、直後から公式サイトがオープニングとエンディングを無料配信し始めたこともあり、話題は爆発的に広がりました。

「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE1000%」放送までは、「アイドルアニメ」というと、頑張る女の子を主人公にした芸能ものや、女性ユニットを描くものがほとんどでした。

男性アイドルや芸能活動を描いた作品というと、主人公たちがアイドルもやっていたと「超者ライディーン」(1996年)、ビジュアル系バンドが主人公の「KAIKANフレーズ」(1999年)ぐらいでしょうか。しかし「超者ライディーン」はそもそも変身ヒーローものですし、「KAIKANフレーズ」はバンドアニメ。今でいうアイドルものとは異なります。

そのほか、設定の華として「男性アイドル」が登場するアニメもありますが、音楽に乗せて歌い踊るステージシーンが、がっつり描かれることはなかなかありませんでした。


「男性アイドル」のステージのキラキラ感をアニメで表現


そもそも、歌い踊る姿をアニメにするのは、かなり大変です。そこをクリアする方法として、3DCGのキャラクターにモーションキャプチャーで踊らせるという方法が、アニメでは広くとられてきました。

でも、同時に難しいのが「アニメのキャラとして魅力的か」ということです。アニメのキャラクターは、現実にありえないほどキラキラしていて、現実ばなれしてカッコいいことが求められます。具体的にいうと、漫画的な容姿や、動き・カメラワークのメリハリですですが、3DCGだとどこかのっぺりしがちなのです。

そこを突き抜けたのが、「マジLOVE1000%」でした。

一度聴いたら耳に残って離れない、女子をわくわくさせるキラッキラとノリのよさを詰め込んだ楽曲。

自身もアーティストとして活動している人を中心に、歌唱力のある声優をそろえたキャスト。

リアルな男性アイドルが大好きな作画スタッフが、結集して作り上げたダンスシーン、そしてステージ映像。

放送された映像の熱量は、本来のターゲットである女性ファンのみならず、興味本位でのぞいてみた男性ファンまで「なんだこりゃ!」と喫驚させ、話題を広げてその後の人気の起爆剤になりました。


増殖するプリンスたち、第4期では三つ巴に


主役アイドルユニットは「ST☆RISH(スターリッシュ)」。メンバー7人の頭文字をとったネーミングになっています。

「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE1000%」でのST☆RISHのメンバーは、一十木音也(いっときおとや)、聖川真斗(ひじりかわまさと)、四ノ宮那月(しのみやなつき)、一ノ瀬トキヤ(いちのせトキヤ)、神宮寺レン(じんぐうじレン)、来栖翔(くるすしょう)の6人。

原作ゲームでは独立した攻略対象キャラクターだった6人を、ひとつのユニットとして名前をつけ、デビューさせたのはテレビシリーズです。☆は「A」の意味で、第2期でメンバーに加わる愛島セシル(あいじまセシル)を表します。

第2期から登場したもうひとつのユニットが、「QUARTET NIGHT(カルテットナイト)」。ST☆RISHと同じシャイニング事務所に所属する先輩ユニットで、大人っぽい魅力がウリです。

メンバーは、寿嶺二(ことぶきれいじ)、黒崎蘭丸(くろさきらんまる)、美風藍(みかぜあい)、カミュの4人。個性が強くて同じグループ内でもなれ合うことなく、ST☆RISHのメンバーに、さまざまな刺激や助言を与える存在として描かれます。

さらに、第2期のラストでは、ST☆RISHのライバルとして、「HE★VENS(ヘブンズ)」というアニメオリジナルのユニットが登場。新人賞争いでST☆RISHにやぶれたあと、行方不明になっていましたが、第3期のラストで7人が勢ぞろいして登場しました。

第4期では、この3つのユニットの勝負が、最終的に描かれるはずです。


アニメ、ゲーム、楽曲、ライブ、四位一体の魅力


2010年にPSPゲームソフトとしてスタートした「うたの☆プリンスさまっ♪」の人気は、アニメ化でわっと盛り上がりました。アニメからゲームに入ったファンもかなりいたでしょう。そしてファンの多くがCDを買う、曲にハマる、カラオケで歌う……という流れになります。

そして2012年1月に、ST☆RISHのキャストが勢ぞろいした最初のライブ「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE LIVE」を開催。これが、新たな熱狂を呼びました。2016年までに5回を数えたこのライブは、年々チケットの争奪戦が熾烈を極めることでも話題になっています。

アニメ、ゲーム、楽曲(CD)、ライブ。この4つが相乗効果を生み、どこから入っても楽しみが広がる四位一体の魅力が、「うたの☆プリンスさまっ♪」の人気を不動のものにしてきました。

特に、楽曲の魅力は大きかったといえるでしょう。すべての楽曲を担当する「Elements Garden」は、原作ゲームの立ち上げから関わっている音楽クリエイター集団です。

この作品においては、曲もキャラクターの個性の一部。曲をストーリーに絡めて登場させることで、楽曲ひとつひとつにドラマ性があり、聴きついでいけばキャラクターの成長や変化も楽しめます。

耳に残る覚えやすさ、歌いやすさや、デュエットソングをパートを分けて歌える楽しさはカラオケ向き。ノリのよさや、コール&レスポンスなどの仕掛けは、ライブの魅力につながります。なにより、「次は誰のどんな曲が聴けるのか」も、待つ楽しみのひとつとなりました。


キャラクターとともに過ごしてきた時間が何よりの財産


最初のシリーズからファンだった人にとっては、もう5年の時が流れていることになります。この、プリンスたち(この作品のアイドルをそう呼びます)とともに過ごしてきた時間こそが、ファンにとっては何よりの財産といえるのではないでしょうか。

彼らの成長を見守り、楽しみ、仲間と話題を共有した。この感覚は、リアルなアイドルに近いものがあります(ファンに継続した出費が求められるところも、かなり近いですね……)。

第4期の「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVEレジェンドスター」は、第1話から、なにやらこれまでの総まとめ的な雰囲気をかもしだし、ファンをざわざわさせています。

オープニングでは、七海春歌とST☆RISHがともに過ごした学園時代を回想するイメージが多用されていますし、これまで恒例だった「第1話で、ST☆RISHが歌うエンディング曲のステージをまず見せちゃう」が、今回はありません。

第4期のストーリーの最後には、スポーツの祭典のオープニングアーティストの座をめぐって、ST☆RISH、QUARTET NIGHT、HE★VENSがぶつかりあうはず。これまでと違い、第1話で見ることのできなかった「マジLOVEレジェンドスター」のステージシーンは、最終話にとっておかれたと考えてもいいのではないでしょうか。

これだけ作品が長く続いてきた今、アニメで歌って踊るシーンを見ることは、アイドルものに限らず珍しくなくなり、見る側の期待するレベルも高くなっています。それでも、「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE1000%」が画期的で魅力にあふれていたことに変わりはありません。

また、今ではすっかりユニットとしてまとまったST☆RISHにくらべると、第1期の6人は、まだ学生っぽく初々しく、それぞれの悩みを抱えて関係性もゴツゴツしていて、1人ひとりのドラマがていねいに描かれています。春歌も未熟な頑張りやで、いろいろ懐かしく胸にくるものがあります。

第4期を見つつ、最初のシリーズが成し遂げた偉業を思うと、「うた☆プリ」ってすでに「レジェンドスター」になっちゃってるのかもなあ、と思わずにはいられません。



(文・やまゆー)
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