【アニメコラム】アニメライターが選ぶ、2016年夏アニメ総括レビュー! 「アクティヴレイド -機動強襲室第八係-2nd」「腐男子高校生活」など、注目の5作品を紹介!!

2016年10月01日 12:000
(C) 創通・フィールズ・フライングドッグ/ACTIVERAID PARTNERS

※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。

2016年夏アニメも大団円を迎え、今年も残りはすでに3か月。今回は9月末に最終話がオンエアされた注目作を総括レビュー。近未来警察アニメ「アクティヴレイド -機動強襲室第八係-2nd」、8年ぶりのテレビシリーズ「マクロスΔ」、WEBコミック誌「裏サンデー」連載の「モブサイコ100」、大ヒットアイドルアニメの続編「ラブライブ!サンシャイン!!」、ボーイミーツボーイ「腐男子高校生活」の5作品をラインアップ!


アクティヴレイド -機動強襲室第八係-2nd


総監督の谷口悟朗さんが初めて体制側をテーマにしたことで注目を集めたオリジナルロボットアニメ。これまではテロリストや流れ者といったアウトローばかりをメインに描いていたからなのか、エピソードが進むごとに警察ものというよりは愚連隊の様相を呈してくる。セカンドシーズンでは権限が拡大したこともあって暴走はよりエスカレート。「私が正義よ!」と叫んではばからないヒロインは盗撮犯の射殺を目論み、メカニックは国に内緒で特殊機能を仕込み、武装の使用に法的手続きが必要という建前は、総理の生返事を許諾と解釈することで黙殺される。

第3話「天使と破壊神」では警察と犯人がボイスチェンジャーを使い、全員が小澤亜李の声になることによって、両者の差は限りなくゼロに近付く。警察とヤクザを同類として描いた名作「県警対組織暴力」さえ彷彿とさせる攻めた作品でありながら、エンドカードにピーポくんが現われることで我々の驚きは頂点に達する。そう、本作は警視庁とコラボしていたのだ。さらにメカの最終形態には拳以外の武装が見当たらず、パンチ一発で東京を救うという劇的なクライマックスを迎える。すべてのしがらみから解放されたラストは痛快エンタテイメントにふさわしい爽快感を引き出している。



マクロスΔ(デルタ)

 

アニメの主人公は女の子の気持ちがわからない鈍感男だらけなので、意中の彼を射止めるためには好意をストレートに伝えることが重要になる。そう考えると「マクロスΔ」の三角関係を司る2人のヒロイン、フレイアとミラージュのどちらが勝利をつかむのかは一目瞭然。フレイアの頭には、感情に応じて光を放つ感覚器官・ルンが付いているからだ。好感度がアップすると輝きが増して音が鳴り、そのうえ見た目はハートマークというルンの親切設計は、どこか往年の恋愛ゲームを思い起こさせる。ミラージュに胸を押しつけられたときも無反応だった主人公・ハヤテであろうとも、フレイアのルンはさすがに無視できず、彼女を意識せざるをえなくなってしまう。恋の勝敗は胸の大小ではなくルンの有無が握っていたのである。

そんな感情ダダ漏れ娘のフレイアだが、彼女の告白シーンは最終回まで持ち越される。端から見れば相思相愛なのは明らかなのだが、

ルンを持たない=本当の気持ちがわからない相手に想いを告げることに恐怖心があったのかも知れない。「好き」という言葉をようやく口にして、自分の気持ちを歌うことで戦争を終結に導くフィナーレは、これぞ「マクロス」という幕切れだ。



モブサイコ100

 

「ワンパンマン」の原作者・ONEが手がけるサイキックアクションをアニメ化。圧倒的な力を持つ主人公・影山茂夫(モブ)をはじめ、火、重力、悪霊、幻覚など多彩な力を操る超能力者たちによってサイキックバトルが繰り広げられていく。シンプルだが存在感のあるキャラクターデザインと、ときには鉛筆画や油絵といった手法も織り込まれたアニメーションが抜群にマッチしている。

だが本編最大の盛り上がりは、何の力も持たない自称霊能力者の詐欺師・霊幻新隆が口八丁手八丁で超能力者をなぎ倒していく場面だ。超能力者を大人になれなかった子供だと喝破し、説教で妄想から現実に引き戻すシーンには、不思議な説得力が備わっている。原作のキャラデザをそのまま再現したエピローグは妙な脱力感にあふれていて、こちらも必見の仕上がり。



ラブライブ!サンシャイン!!

 

「ラブライブ!」の主人公・高坂穂乃果は一見思いつきだけで行動しているかのように見えたが、実際は学校を廃校から救う使命に燃える策略家であった。μ'sを結成するときもメンバーに相応しい人材だけを的確にスカウトし、協力を申し出てきた友人3人組に対してはμ'sに誘うそぶりすら見せなかった。確かに友人たちもキュートではあるのだが、サンライズ制作のアニメらしく、μ'sのメンバーとは主役機と量産機の関係に似た壁が立ちはだかっていた。μ'sは9人のスクールアイドルグループなのだ。

だが「サンシャイン!!」の高海千歌は、Aqoursの活動を見て憧れた友人3人組のお願いを聞いて、彼女たちもステージに上げようとしてしまう。μ'sの輝く姿を見てスクールアイドルを目指した千歌にとって、その願いを断ることは過去の自分を否定してしまうように思えたのかもしれない。ステージへの扉を開ける前に「9人だけじゃない」とつぶやく千歌の言葉から彼女のやさしさが感じられた。



腐男子高校生活

 

一迅社のWEBコミック配信サイト「ゼロサムオンライン」で連載中の人気コメディが原作。性癖はノーマルだがBLをこよなく愛する腐男子高校生・坂口亮と、そんな彼に振り回される一般男子・中村俊明をメインに、愉快なメンバーたちの学園ライフを描く。仲良くなった婦女子と同人誌即売会に出かけたり、仲間の腐男子とBL本の売り子をして周囲の腐女子を興奮させたりと、一風変わっているものの、何だかうらやましくもある青春の日々を過ごしていく。

ショートアニメは30分枠のアニメよりも主題歌が印象に残りやすいが、本作のエンディングテーマ「SEKAIはボーイミーツボーイ♂」はその中でも出色の出来映え。BLへの愛を高らかに歌い上げる魂の叫びを聴くと、こちらも「ボーイミーツボーイ♂」と合いの手を入れたくなってしまう。一迅社のCMではお便りコーナーも盛り込まれ、放送枠を目いっぱい満喫できる。



(文/高橋克則)

画像一覧

  • (C) 創通・フィールズ・フライングドッグ/ACTIVERAID PARTNERS

  • (C) 2015 ビックウエスト/マクロスデルタ製作委員会

  • (C) 2016 ONE・小学館/「モブサイコ100」製作委員会

  • (C) プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!

  • (C) みちのくアタミ/一迅社・腐男子委員会2016

関連作品

アクティヴレイド -機動強襲室第八係-2nd

アクティヴレイド -機動強襲室第八係-2nd

放送日: 2016年7月10日~2016年9月25日   制作会社: プロダクションアイムズ
キャスト: 島﨑信長、櫻井孝宏、小澤亜李、石上静香、倉田雅世、大川透、鳥海浩輔、大西沙織、花江夏樹、緑川光、大原さやか、相坂優歌、黒沢ともよ、田村ゆかり、田中あいみ、新井里美、速水奨
(C) 創通・フィールズ・フライングドッグ/ACTIVERAID PARTNERS

マクロスΔ(デルタ)

マクロスΔ(デルタ)

放送日: 2016年4月3日~2016年9月25日   制作会社: サテライト
(C) 2015 ビックウエスト/マクロスデルタ製作委員会

モブサイコ100

モブサイコ100

放送日: 2016年7月11日~2016年9月26日   制作会社: ボンズ
キャスト: 伊藤節生、櫻井孝宏、大塚明夫、入野自由、松岡禎丞、細谷佳正、藤村歩、種﨑敦美、佐武宇綺
(C) 2016 ONE・小学館/「モブサイコ100」製作委員会

ラブライブ!サンシャイン!!

ラブライブ!サンシャイン!!

放送日: 2016年7月2日~2016年9月24日   制作会社: サンライズ
キャスト: 伊波杏樹、逢田梨香子、諏訪ななか、小宮有紗、斉藤朱夏、小林愛香、高槻かなこ、鈴木愛奈、降幡愛
(C) 2016 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!

腐男子高校生活

腐男子高校生活

放送日: 2016年7月5日~2016年9月20日   制作会社: EMTスクエアード
キャスト: 羽多野渉、野島健児、洲崎綾、鈴木達央、増田俊樹、西山宏太朗
(C) みちのくアタミ/一迅社・腐男子委員会2016

ログイン/会員登録をしてこのニュースにコメントしよう!

※記事中に記載の税込価格については記事掲載時のものとなります。税率の変更にともない、変更される場合がありますのでご注意ください。

関連記事