アニメ業界ウォッチング第7回:「うしおととら」、「レーカン!」のアニメ化!徳間ジャパンによるアニメ再参入の狙いを聞く

アキバ総研 | 2015年02月07日 11:00
アニメ業界ウォッチング第7回:「うしおととら」、「レーカン!」のアニメ化!徳間ジャパンによるアニメ再参入の狙いを聞く

先ごろ発表された週刊少年サンデーの伝説のコミック「うしおととら」(1990年-1996年)のテレビアニメ化。それを手がけるのは「徳間ジャパンコミュニケーションズ」だ。

老舗音楽メーカーとして、かつては徳間書店・スタジオジブリ作品とも縁の深い同社が、アニメ製作事業に「再参入」するというのはアニメビジネス業界における大きな目玉。さらに先駆け芳文社の人気コミック「レーカン!」のアニメを4月から放送する。

現在、「Aプロダクト」と呼ばれるアニメ事業準備室で業務を進める執行役員・品川致審氏と制作宣伝本部の関澤新二氏にその狙いと今後の展望についての話をうかがった。



--徳間ジャパンコミュニケーションズ(以下、徳間ジャパン)は、かつて徳間書店のグループ企業として「銀河英雄伝説」やスタジオジブリ作品のサウンドトラックを発売されていましたが、アニメ製作事業については「再参入」という認識でよろしいでしょうか?

関澤 そうですね。2001年10月に親会社が徳間書店から第一興商に変わってから、アニメ製作事業に加わるのは久々になります。

品川 私はこの会社が5社目なのですが、5年ほど前に移籍してきて新規事業を考えたときに、徳間ジャパンの“DNA”に流れているもので何を新たに始めるかと考えた場合、それがアニメであると。レコード会社をいくつか移ってきた経験からいうと、会社が持っている“DNA”に逆らったことをやってもうまくいかないと強く感じます。

--“DNA”というのは?

品川 たとえるならば校風のようなものですね。高校で考えると、3年経ったら全員入れ替わるわけです。でも校風は残り続ける。そういうものって会社でもあるんですよ。日本で一番最初にロックレーベルを作ったのも徳間ジャパンですし、パンクの専門レーベルもある。最近の例で言うと弊社に所属していた「Perfume」。デビュー当時、私は他社にいましたが、こんな思い切り方ができるのはすごいなと思いながら見ていました。そういうエッジに振り切ったアーティストは徳間ジャパンでは当たっている。今回も物事を動かしてきて、実際にここまで来ているのは会社にそういう“DNA”があったからだろうなと想像します。

関澤 他の会社だと、ここまでスムーズにはいっていないでしょうね。

--品川さんはアニメのビジネスに以前から携わっていましたか?

品川 はじめてです。そこでポニーキャニオンで実績のある関澤さんを約1年前に招き入れました。

--現在、アニメ事業準備室「Aプロダクト」が設置されているそうですですが、準備期間はどのくらいでしたか?

品川 2年半前からですね。まず作品を見つけてこられなければ始まらないし、そもそも(再参入で、実質的に)はじめてのメーカーに作品を預けてくれるかという問題があります。そんななか、幸いな事にはじめての勢いを前向きに評価していただくことができまして、最初の作品として「うしおととら」を預けていただけました。そのあとはどう形にするかという実務的な部分になっていくことで、実績のある関澤さんに来てもらい、ひとつひとつピースが埋まっていったという感じです。



--大型タイトルの「うしおととら」が発表になりましたが、現時点で何か詳しい施策を伺いすることはできますか?

品川 いろいろ決まってはいますが今夏放送以外の詳細は今後、追ってまた公開させていただきます。製作発表のタイミングで前後したのですが、4月からは「レーカン!」が放送になります。

--では、「レーカン!」の作品の魅力はどんなところに感じられましたか?

関澤 やはり作品の内容ですね。非常にハートウォーミングで、2話に1回は泣けるほど心を揺さぶるものがあり、作品としてはひとつターニングポイントになりそうだということで、参入させていただきました。「ギャグはありつつも、人との繋がり・人と霊との繋がり」というところを大切に描いているので、そういう部分をご覧になった視聴者の方が手元に置いておきたいという作品になると思います。


--昨年冬のコミックマーケットに企業ブースで出展されましたが、来場者のリアクションはいかがでしたか?

関澤 徳間ジャパンが「レーカン!」でアニメをまた始めるという宣伝目的もあって出展しました。4月放送のアニメを前年の12月末に発表したのですが、原作ファンも多く、感触としてはありがたかったなと思います。じわじわ評判が来る作品だとは思っていますので、その意味ではオンエアが始まってからの勝負かなと。

--メインターゲットはどの層を考えていますか?

関澤 芳文社原作・TBSでの放送ということで「ご注文はうさぎですか?」や「けいおん!」あたりのファン層を想定しています。第一ターゲットとしては男性ユーザーと理解しています。ただ、これらの作品はストーリーのよさやキャラクターのかわいさもあって女子もついてきているので、その意味では「Hな要素をなくして、オールラウンドで売っていきたい」と考えています。

--展開するビジネスとしては映像ソフトの発売とCDでしょうか。

関澤 そうですね。「レーカン!」については成り立ちが違ったので主題歌は他社なのですが、基本的には主題歌音楽、キャラクターソングなどの関連音楽、そしてビデオグラムですね。

品川 あとはキャラソンのコンサートなども含めた音楽興行ですね。

--アニメ主題歌になることでのタイアップは新規ファンの獲得において現在も魅力的に映りますか?

品川 魅力的ですね。現状、「本当に効果があるタイアップが限られる中、アニメのタイアップはその中のひとつ」だと思います。かつて、「音楽業界で勝利の方程式として機能していたタイアップも現在では通じにくくなっている」。そのなかでいうと、アニメとのリンクはまだまだ効果が高いと認識しています。オリコンのベスト200までを抽出すると、アニメ関連のキャラソンやサントラだけで10%を越えますから。さらに主題歌を含めたらもっとすごい数字になります。

--主題歌タイアップについては今後どのように考えていますか?

品川 弊社のアーティストのラインナップは、現状は女性ターゲットのものが多いので、そことリンクさせたいと考えています。ですからアニメーションを作る上でも女性のファンが獲得できそうなタイトルを考えております。

--では今後、新たに獲得するアーティストも。

品川 そうですね。新人獲得の際にも、アニメとの親和性を考えながら行なっています。

--「Aプロダクト」についてレーベルを作り、ブランド展開などを考えていらっしゃいますか?

品川 はい。レーベル名は「S3」です。2015年からのアニメ関係の商品にはこれを使っていこうと思っています。Sにもいろんな意味があって、Sで始まる言葉をいろいろかけています。“success(成功)”とか“succession(継承)”とか、“stimulus(刺激)”と、関わっている人間が各々の「S」を持ってもらえればと思っています。

関澤 とはいえ、「徳間ブランド」というのも知っている人は知っているので、それも申し上げていきたいですね。ちょうど“設立50周年”でもあるので。

--最近の作品はリスク分散のために同業者間でのビジネスパートナーシップを形成するケースもありますが、こちらでもそれは可能性としてありますか?

関澤 はい。「レーカン!」でも実際に主題歌はキングレコードさんで、それ以外を弊社が行います。それはケースバイケースでいろんなパターンで進めていけたらと考えております。現状ソフトメーカーが(出資を)多く持たないと成り立たないという(製作委員会の)座組がまだまだ多いので、新たなパターンを皆さん模索されているのではと思います。そのなかでいろんな組み方が出てくると思っています。


--今後手がけられていく作品について、女性向けとの指針をお話されましたが、原作ありの作品についてのこだわりはありますか? また、オリジナル作品を手がける可能性は?

関澤 基本的にこだわりはなくて、男性向けのアーティストが出てくればそれに当てますし、「レーカン!」から声優アイドルを作っていくということも今後考えられるかもしれません。出版社以外の作品でもゲームなり、オリジナルなりというところは目線に入っています。

--他社がこれまでやってこなかったことへのチャレンジについて何かお考えはありますか?

品川 これまで実例としてなかったわけではないですが、「主題歌アーティストとアニメのさらなる有機的な組み方は推進したい」ですね。たとえばアーティストが声優として出てくるとか、キャラクターとして出てくるみたいなところはやっていきたいと思います。

関澤 そういうのって女性のユーザーに受け入れそうじゃないですか。実際に「どんなにオジサマの声優でもキャラクターのファクターを通じて熱狂してくれますし(笑)」。だからアーティストでそれができると、さらにファンの喜びは倍増するんじゃないかと。そういうテストケースはどんどんやっていけたらなと思いますし、ひとつ新しいことになっていくのかなと。さらにライブなど、いろいろな形でクロスさせていくとこの分野を活性化できると考えております。

(取材・文/日詰明嘉)



<インタビュー プロフィール>
品川致審
株式会社徳間ジャパンコミュニケーションズ執行役員。制作宣伝本部副本部長兼第1制作グループ部長。
関与アーティスト:ソナーポケット、BUCK-TICK、筋肉少女帯、若旦那、真心ブラザーズ

関澤新二
株式会社徳間ジャパンコミュニケーションズ 制作宣伝本部第1制作グループ Aプロダクト プランナー。
関与作品:ブルードラゴン、家庭教師ヒットマンREBORN!、無限の住人、ジャイアントキリング、戦国乙女 等

(C)藤田和日郎・小学館/うしおととら製作委員会
(C)瀬田ヒナコ・芳文社/レーカン!製作委員会

画像一覧

  • アニメ業界ウォッチング第7回:「うしおととら」、「レーカン!」のアニメ化!徳間ジャパンによるアニメ再参入の狙いを聞く

  • アニメ業界ウォッチング第7回:「うしおととら」、「レーカン!」のアニメ化!徳間ジャパンによるアニメ再参入の狙いを聞く

  • アニメ業界ウォッチング第7回:「うしおととら」、「レーカン!」のアニメ化!徳間ジャパンによるアニメ再参入の狙いを聞く

  • アニメ業界ウォッチング第7回:「うしおととら」、「レーカン!」のアニメ化!徳間ジャパンによるアニメ再参入の狙いを聞く

  • アニメ業界ウォッチング第7回:「うしおととら」、「レーカン!」のアニメ化!徳間ジャパンによるアニメ再参入の狙いを聞く

関連作品

うしおととら

うしおととら

放送日: 2015年7月3日~2015年12月25日   制作会社: MAPPA/studio VOLN
キャスト: 畠中祐、小山力也、小松未可子、安野希世乃、藤原啓治、牧野由依、浪川大輔、中村悠一、豊崎愛生、てらそままさき、清水理沙、三木眞一郎、梶裕貴、南里侑香、茅野愛衣、折笠富美子、坂本真綾、水樹奈々、細谷佳正、逢坂良太、高垣彩陽、永澤菜教、花澤香菜、宮野真守、潘めぐみ
(C) 藤田和日郎・小学館/うしおととら製作委員会

レーカン!

レーカン!

放送日: 2015年4月2日~2015年6月25日   制作会社: ぴえろプラス
キャスト: 木戸衣吹、伊藤美来、飯田里穂、M・A・O、山崎エリイ、山谷祥生、川原慶久、くじら、内田彩、井澤美香子、松井恵理子、木野双葉、羽多野渉、皆口裕子
(C) 瀬田ヒナコ・芳文社/レーカン!製作委員会

関連シリーズ

アニメニュースの新着ニュース

特集・キャンペーン≫特集・キャンペーン一覧へ
  • 秋アニメレビューキャンペーン
  • 「モンスターストライク THE MOVIE」特集
  • 2017 冬アニメ
  • 2017 春アニメ
  • 2016 夏アニメ
  • 2016 秋アニメ
  • 神アニメ(2015)