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腕は「肩アーマーから生えている」のではなく、「胴体から生えている」んですよね?
初期のガンプラというか80年代初期のロボットプラモでたまに見かけるのは、「腕が肩アーマーから生えている」状態。たとえば、1980年発売の初代「1/144 ガンダム」は腕を左右に開くことができたんだけど、四角い肩アーマーの内側に可動軸があって、その軸に腕が接続されているに過ぎない。だから、脇の下から見ると隙間が合って、腕は胴体と離れているわけです。たとえば1983年スタートのMSVシリーズでも、「腕が肩アーマーから生えている」キットはちらほら見かけたものです。
ところが1982年発売のこのディラノス、ちゃんと「胴体から腕が生えてます」。具体的に見ていくと……
▲ まず、上腕パーツの内側にT字形の可動軸を組みこむ。これで水平方向への可動は確保される。いま見ると当たり前のようだが、上腕から胴体へ繋がる軸が飛び出している点が重要なんですね
▲ 先端のハサミパーツが造形・可動ともやけによくできているのですが、これと上腕を前腕パーツで左右から挟みます。こうして見ると、上腕からまっすぐに軸が突き出ていることがわかります
▲ そして、組み上がった腕を肩アーマーに組み込む。上腕から突き出ていた可動軸を、肩アーマーの内側パーツへはめ込む……つまり、肩アーマーが「アーマー」として機能していて、腕はしっかり胴体から生えている
何がどうすごいのかはなかなかわかってもらえないだろうが、人間の腕って、胴体から生えてますよね。でも、ロボットの外見だけとらえて、腕が水平方向へ開く機構だけ考えれば肩アーマーの裏で腕を固定すれば、それでも成立はする。このディラノスだって、大きな肩アーマーがあるんだから、その内側に軸を設ければ可動はするわけですよ。
だけど、ちゃんと肩アーマーを貫いて、腕と胴体が直結している。言葉にすると難しいけど、これはなかなか「わかっている」というか、センスいいと思うのです。
▲ おっと、脚の組み立てを完全に忘れておりました。脚、3本あるんだよね。箱状のフトモモを組んだ上からスネを左右から挟むオーソドックスな構造。わかりづらいけど、写真左に映っているのが胴体中央につく3本目の脚のパーツです
▲ 左右の脚は、軸パーツにはめ込んで胴体の内側に固定します。脚を水平方向へ広げたりひねったりする機構はなく、素朴な前後可動のみ。しかし、堅実な構造だと思う
▲ そして、両脚を胴体ではさんだら終わりではなくて、この左側に映っているもう1本の脚。これを、股間のど真ん中へ接着する指示があります。いや、脚は2本だけで直立できるでしょう? つい、腕と胴体の関係に注目しすぎてしまったが、ディラノスの最大の特徴は三脚メカであること。まだ接着してないけど、両脚と同じデザインの第三の脚が、包み隠さず堂々と股間から生えている。しかも、股間に空いているのは、ただの丸い穴。この穴に第三の脚をポコッと接着する! この構造、大胆なのか投げやりなのか。三脚メカって「伝説巨神イデオン」で見慣れているはずなんだけど、とんでもないデザインに思えて仕方がない。では、股間の穴にもう1本の脚を接着して、完成を急ごう!