※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。
たとえ三本脚でも、「神輿」のような安定感……そして、動力パイプの意味とは?
さて、第三の脚を股間に接着してみた。下の写真の左側に転がっているのは、胸の左右のブロック。第三の脚は、それこそ1/144 ガンダムと同じ構造で、アーマーの裏側の可動軸でぶら下がっているだけ……なのだが、この話題は長すぎるので、胴体と頭部を見ていこう。
▲ 左側の肩ブロックの内側には、なぜか穴が少しズレて2つ開いている。胴体に取り付けるための穴と、腕から伸びた可動軸を受けるための穴。この時代のキットを組んでいると、どうでもいいことに深い意味があるような気がしてきてしまう
▲ さて、左右の肩ブロックを胴体に接着。頭部パーツを貼り合わせて、耳にあたる部分に細いアンテナを接着する。頭と胴体は、三角形の小さな板で接続する構造
▲ その後が問題なんだけど、肩の後ろにダクトを取り付けて、そこから伸びる動力パイプが頭へと繋がる。そんなことをすれば頭が左右にも上下にも動かないのでは? と心配になってしまうが、そもそも頭は接着指示があって可動しない
胴体と頭を動力パイプで接続するから、最初から頭は動かさない……本末転倒な気もするが、合理的判断なのかも知れません。
動力パイプってザクの発明ではなくて、70年代のロボットアニメの敵メカの中には散見される意匠だよね。でも、アオシマは70年代の意匠を80年代ロボプラモの様式に落とし込もうとした。結果、首は動かない。別に、動かなくていいんじゃないか。動力パイプをプラモ化したら、動かないのが必然なんじゃないか? なあ、アンタどう思う!? と、なぜだか叫び出したい衝動にかられる。そんなわけで、完成です!
▲ いざでき上がってみると、肩幅が広いため三本脚がそれほど目立たない。背面から見ると股間から生えた脚が見えないせいか、ごく普通の敵ロボットという感じだ。余談だが、何というきれいな成型色なんだろうか
▲ アップにしてみたが、「確かに脚の数が多い」、しかし「安定感がある」という印象で、それほどビックリするフォルムでもない。そういえば、ヒザの突起がフトモモに少しかぶさっているデザインは「ガンダム」以降という印象もある では、ポーズをとらせてみれば三本脚の特殊性が出るのか? というと、腕の可動範囲の広さ、上半身のボリューム感が際立つ。
▲ 肩は丸軸を差し込むだけなので、360°動く。ハサミは内側と外側がぴったりと重なって、工業製品のように精密に開閉する。この繊細な設計センスが全身にわたっていれば、別次元のロボプラモになっていたのではないか……? 俄然、1/100スケールのディラノスにも興味が出てきてしまったわけですが、1982年11月というと、ガンプラでは1/100で「アッグ」や「ゾゴック」など、怪獣のようなモビルスーツが発売されていた時期です。プラモ市場の中でディラノスが場違いだったのかというと、異形の敵メカとして、そんなに違和感なかったんではないか、という気もします。
アニメ作品としての「アクロバンチ」は合体バンクが線画だったり、飛行ポーズに派手なパースがついていたり、洗練されたビジュアルセンスが見どころです。第5話なんてキャラクターデザインのいのまたむつみさんが作画監督も兼ねていて、書くのもはばかられるほど衝撃的なエッチシーン(作画センスも抜群)がありますよね。……アオシマさんも、「アクロバンチ」の女性キャラのプラモデルを出せば売れたんじゃないか。出ていたら、こっそり友だちに黙って買ってしまうよねえ。親に隠れて改造してしまうよな、絶対に……。いかんいかん、この話はいつまでも延々と続いてしまうので、また来月! 80年代ロボ、どんどん組むよ!
(文/廣田恵介)