三本脚メカはイデオンだけじゃない! アオシマ製1/144ディラノスは「魔境伝説アクロバンチ」におけるシャア専用ザクである!?【80年代B級アニメプラモ博物誌第18回】

2022年01月30日 11:000

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たとえ三本脚でも、「神輿」のような安定感……そして、動力パイプの意味とは?


さて、第三の脚を股間に接着してみた。下の写真の左側に転がっているのは、胸の左右のブロック。第三の脚は、それこそ1/144 ガンダムと同じ構造で、アーマーの裏側の可動軸でぶら下がっているだけ……なのだが、この話題は長すぎるので、胴体と頭部を見ていこう。

▲ 左側の肩ブロックの内側には、なぜか穴が少しズレて2つ開いている。胴体に取り付けるための穴と、腕から伸びた可動軸を受けるための穴。この時代のキットを組んでいると、どうでもいいことに深い意味があるような気がしてきてしまう

▲ さて、左右の肩ブロックを胴体に接着。頭部パーツを貼り合わせて、耳にあたる部分に細いアンテナを接着する。頭と胴体は、三角形の小さな板で接続する構造

▲ その後が問題なんだけど、肩の後ろにダクトを取り付けて、そこから伸びる動力パイプが頭へと繋がる。そんなことをすれば頭が左右にも上下にも動かないのでは? と心配になってしまうが、そもそも頭は接着指示があって可動しない

胴体と頭を動力パイプで接続するから、最初から頭は動かさない……本末転倒な気もするが、合理的判断なのかも知れません。
動力パイプってザクの発明ではなくて、70年代のロボットアニメの敵メカの中には散見される意匠だよね。でも、アオシマは70年代の意匠を80年代ロボプラモの様式に落とし込もうとした。結果、首は動かない。別に、動かなくていいんじゃないか。動力パイプをプラモ化したら、動かないのが必然なんじゃないか? なあ、アンタどう思う!? と、なぜだか叫び出したい衝動にかられる。そんなわけで、完成です!

▲ いざでき上がってみると、肩幅が広いため三本脚がそれほど目立たない。背面から見ると股間から生えた脚が見えないせいか、ごく普通の敵ロボットという感じだ。余談だが、何というきれいな成型色なんだろうか

▲ アップにしてみたが、「確かに脚の数が多い」、しかし「安定感がある」という印象で、それほどビックリするフォルムでもない。そういえば、ヒザの突起がフトモモに少しかぶさっているデザインは「ガンダム」以降という印象もある

では、ポーズをとらせてみれば三本脚の特殊性が出るのか? というと、腕の可動範囲の広さ、上半身のボリューム感が際立つ。

▲ 肩は丸軸を差し込むだけなので、360°動く。ハサミは内側と外側がぴったりと重なって、工業製品のように精密に開閉する。この繊細な設計センスが全身にわたっていれば、別次元のロボプラモになっていたのではないか……?

俄然、1/100スケールのディラノスにも興味が出てきてしまったわけですが、1982年11月というと、ガンプラでは1/100で「アッグ」や「ゾゴック」など、怪獣のようなモビルスーツが発売されていた時期です。プラモ市場の中でディラノスが場違いだったのかというと、異形の敵メカとして、そんなに違和感なかったんではないか、という気もします。

アニメ作品としての「アクロバンチ」は合体バンクが線画だったり、飛行ポーズに派手なパースがついていたり、洗練されたビジュアルセンスが見どころです。第5話なんてキャラクターデザインのいのまたむつみさんが作画監督も兼ねていて、書くのもはばかられるほど衝撃的なエッチシーン(作画センスも抜群)がありますよね。……アオシマさんも、「アクロバンチ」の女性キャラのプラモデルを出せば売れたんじゃないか。出ていたら、こっそり友だちに黙って買ってしまうよねえ。親に隠れて改造してしまうよな、絶対に……。いかんいかん、この話はいつまでも延々と続いてしまうので、また来月! 80年代ロボ、どんどん組むよ!

(文/廣田恵介)

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魔境伝説アクロバンチ

魔境伝説アクロバンチ

放送日: 1982年5月5日~1982年12月24日   制作会社: 国際映画社
キャスト: 柴田秀勝、若本規夫、野島昭生、三輪勝恵、杉山佳寿子、中原茂、倉川きよみ、加藤精三、大木民夫、麦人、大林隆介、弥永和子、玄田哲章、戸谷公次、塩沢兼人、森功至、広瀬正志、加藤正之、石森達幸、窪田等
(C) 国際映画社・つぼたしげお

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