ツクダホビー製のプラモデル「1/20メーヴェ」を組み立ててナウシカを乗せれば、風の谷の未来テクノロジーを理解できる!【80年代B級アニメプラモ博物誌】第17回

2021年12月29日 11:000

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ナウシカのフィギュアが、メーヴェに対して「重たい」ことの意味


最初にランナー状態で見たように、ナウシカは中空ではなくて、プラの塊なんですよね。すると、組み上げると重たくなって、メーヴェにちゃんと乗らないような気がする。普通、こういうプラの塊になってしまうパーツはヒケ(樹脂が固まって冷えるときに凹んだり縮んだりすること)を防止するため、発泡剤を混ぜたりするそうですね。それか、軟質樹脂で成型するとか。……そんな無駄話をして逃げてないで、さっさとナウシカを組み立てないと。

▲ 説明書では頭も手足も一度に組むようになっているが、念のため足から腰にかけて組んでいく。ヒザの接着面が斜めになっているのは、体を少し倒したポーズで乗る都合でそうなっているらしい

▲ 足はかなりの重量なので、接着剤を乾かしている間に、テトを組み立てよう。右半身と尻尾、左半身と頭を分けることにより、足が交差した動きのあるポーズを最低限のパーツで表現している

▲ とりあえず、ナウシカの頭と手、上半身と下半身を接着した。やはり各パーツが重たすぎて、いまにもバラバラになりそう……。でも、やわらかみのある造形がかわいいし、宮崎ヒロインっぽいプロポーションではないだろうか

しかし、「後はメーヴェに乗せさえすれば完成」などという甘いものではなく、いろいろと細かい装備品が付くんです。面倒なんだけど、頭や腰回りに装備を接着していくと、「なるほど、ミリタリーモデルの兵士の人形と同じだな」と得心がいったりもします。最前線で働く人間をフィギュア化すると仕事専用の道具を身につけることになり、必然的にミリタリックになっていくのかもしれない。

▲ まずは、頭に付ける額当て(説明書にはヘルメットと書いてある)と額当てを止めるベルト、瘴気マスク。ことごとく左右不対称な造形がそれっぽいが、後頭部に接着するベルトが、額当てまで届かない……! こういう不具合も、昔のガレージキットみたい

▲ 作業中に右腕がもげてしまったが、テトや額当て、瘴気マスクを接着すると、かなり臨場感が出てきた!

まだ、ポーチとセラミック刀、飾り台などが残ってます。面倒だけど、組み立てますか。

▲ ポーチの裏側に凹みがあって、そこにセラミック刀を接着するのだが、ダボがないので、なんとなくいい感じの位置と角度を自分で探さないといけない

▲ 小さくて頼りない飾り台だけど、メーヴェ本体には接着せず、突起部分をエンジンの内部に入れて固定する構造が知的で、ストイック

▲ メーヴェを飾り台にセットして、ナウシカを取っ手の部分で接着すると、奇跡的にバランスよく立った!

▲ 横から見ると、まるでナウシカが生きているようだ。後ろから見ると、微妙に体を左に傾けているらしい。風を感じさせる演出

こうしてナウシカを乗せてみると、メーヴェという軽い乗り物にとって「人間は重すぎる」ように思えてきて、模型でないと感じられないリアリティに気がつきます。これは組み立ててみて、指先で感じるしかない独特の感覚ですね。

▲ エンジンを前から見ると、内部に向けて入り組んだ密度感がよい。人間を乗せて飛ぶには、やっぱりエンジンがないと無理なんだ、という感じがよく伝わってくる。あと、体重移動も操縦に使うんだろうとか、あれこれ妄想がはかどる

▲ 忘れるところだったけど、フラップ! 下に向けると、劇中で着陸・離陸するシーンの雰囲気が出る

いかにも手で描いた質感の、素晴らしいプラモデルなんだけど、CADで設計された今のプラモデルからすると日陰者というか、「なんかドロドロしたプラスチックの塊」でしかないのかもしれません。左右不対称でガタガタなんだけど、だからこそ人間の生理になじむ。
さて、この後、ツクダホビーはメタルフィギュアでナウシカとトルメキア装甲兵が対決する原作の名シーン、やはり原作にしか出てこない装甲トリウマに乗ったクシャナ殿下(これはレジン製)などを発売するのですが、このキットの説明書に書かれた妄想(バカガラス、コルベット、トルメキアの自走砲など)を【プラモデルで】実現してほしかった。たとえ破れても、夢というのは美しいもんです。では、来月はロボに戻ります。3本足のアイツです。

(文/廣田恵介)

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風の谷のナウシカ

風の谷のナウシカ

上映開始日: 1984年3月11日   制作会社: スタジオジブリ/トップクラフト
キャスト: 島本須美、納谷悟朗、松田洋治、永井一郎、榊原良子、家弓家正、辻村真人、京田尚子
(C) 1984 二馬力・GH

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