令和最初の夏を盛り上げる激アツなアニソン10選! 出口博之の「いいから黙ってアニソン聴け! in 2019夏」

2019年08月13日 14:150
令和最初の夏を盛り上げる激アツなアニソン10選! 出口博之の「いいから黙ってアニソン聴け! in 2019夏」

全国1千万人のアニメソングファンの皆様こんにちは。流浪のベーシスト、及びDJの出口博之です。新クールに始まるアニメの主題歌を全部聴き、完全な私の主観で10曲選んでレコメンドする荒行こと「いいから黙ってアニソン聴け!」、お待たせしました2019年夏号でございます。

当コラム始まって今年で3度目の夏。3度目ともなるといよいよ資料性が高まってきた感がありますね。現にDJの現場などで「あの時期のアニメ何やってたっけ」みたいな時にこのコラムが自分の中で意外と役に立っています。三年くらい時間が経つと記憶も淘汰されて「覚えてること」と「覚えてないこと」がはっきりわかれますが、一、二年とあまり時間が経っていないと、ぼんやり全体を覚えているため記憶の混濁が生じる。そんな時、こういったコラムがあるととっても便利だね!ということを実感しました。自分で。

過去記事はこちらから!
 

過去二年で選出した夏のアニメソングからみえる傾向は、わかりやすい夏らしい曲が必ずあることでした。2017年の「アホガール」OP「全力☆Summer!」、2018年の「ぐらんぶる」OP「Grand Blue」といったあたりは、完全に夏の曲ですし、他にも夏だなー、と思う楽曲、作品がありました。中でもこの2曲は特に夏の陽気らしいテンション高めの楽曲なので、印象に残っている方方も多いのではないでしょうか。

他の季節に比べて夏という季節にテーマ性が伴いやすいのは、地域によって季節の印象が変わらないからです。夏は暑い、これは全国共通ですが、冬の寒さや過酷さについては豪雪地帯と沖縄ではどうしても差が生じます。そういった理由もあって夏には特に夏をテーマにした作品、楽曲が多くなるのです。

季節感が強い、そういった観点だと今期は季節感、「夏」が先行した楽曲が少ない印象を受けました。あるにはあるのですが、「ほら! 夏だよ夏! ヒャッハー!」みたいな積極性はほとんど感じられません。もっと自然に、そこに普通にある夏、そんなさり気なさが今期の夏らしさだと思いました。

 

そんな2019年夏アニメソング、選出した10曲はこちら!

 

ありふれた職業で世界最強

【OP】FLARE/Void_Chords feat.LIO

 

うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。

【ED】This is 勇者, but 残念!?/デイル(CV.岡本信彦)

 

かつて神だった獣たちへ

【ED】HHOOWWLL/Gero×ARAKI

 

コップクラフト

【OP】楽園都市/オーイシマサヨシ

 

女子高生の無駄づかい

【OP】輪!Moon!dass!cry!/田中望(CV.赤﨑千夏)菊池茜(CV.戸松遥)鷺宮しおり(CV.豊崎愛生)

 

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかII

【ED】ささやかな祝祭/sora tob sakana

 

通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?

【OP】イヤヨイヤヨモスキノウチ!/スピラスピカ

 

とある科学の一方通行

【ED】Parole/sajou no hana

 

Dr.STONE

【ED】LIFE/Rude-α

 

闇芝居(第7期)

【ED】決壊/betcover!!

 

今回は直感が冴えわたっていたのでほとんど迷うことなく10曲を選出しました。が、冷静にみるとこれでなかなか面白い並びというか、とてもいい選曲になったと自画自賛したところでそれぞれの選曲理由の解説いきましょう。

 

 

まずは「うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。」のED「This is 勇者, but 残念!?」。

 

 

ここ数年、季節を限定せず多くのアニメソングのモチーフとなっている最強の曲といえばジャクソン5の「I Want You Back」なんですが、この曲も広い意味ではジャクソン家の系譜。しかし、ここで面白いのがジャクソン家(いわゆるオールドスクールなファンク)直系ではなく、90年代渋谷系を源流としてジャクソン家にたどり着くのがとても今っぽい。渋谷系という括り方ももはや抽象的で要領を得ない言葉になっているので超限定的にいえば、フリッパーズ・ギターじゃなくて小沢健二的な遊び方、というか。楽曲自体がかなり高度なポップスなのに対し、絶妙なギリギリのラインで「うまく歌わない」を意図的に入れていて、その隙がうまく楽曲の肝として機能しているあたりが小沢健二的と感じる部分。

最近の王道アニメソングの体をしながら、実は心に引っかかるニュアンスが隠されている鋭い名曲です。

  

一聴すると普通なのに、よくよく聴くと謎の引っかかりがあるのは、「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかII」のED「ささやかな祝祭」

 


普通のかわいらしい曲と思いきや、ちょっと変な感じしませんか? 曲の端々でおさまりが悪いというか、気持ち悪さというか。全体としては非常にポップなアイドルソングとしてまとまっている。のに、そこかしこに少しずつ様子のおかしい音が見え隠れしている。そういった部分に、この曲の中毒性の高さの秘密が隠されています。いわゆる不協和音が入っているんです。チャイムなどのウワモノと呼ばれる装飾音を担当する楽器の音階が意図的にハズれた調子になっている。作曲者がどこまで意図的にハズしているかはわかりませんが、かなり緻密な計算のもと音が構築されているのがアンサンブルからうかがい知ることができます。表面のキュートさの裏にある狂気、これこそが「sora tob sakana」の面白さの本質であり、この曲の聴き方だと思います。

  

「ありふれた職業で世界最強」のOP「FLARE」の楽曲世界観は、今期で一番濃密なものだと思います。

 


Void_Chordsは2017年に放送された「プリンセス・プリンシパル」の楽曲をはじめ、エッジの効いた楽曲を多く手がけるクリエイターとしてご存知の方も多いと思います。エレクトロ、ドラムンベースを下敷きにして高度な音楽理論で構築された楽曲に英歌詞、昨今のアニメソングのフォーマットから逸脱した個性の塊のようなアレンジ。一般的な盛り上がる曲とは明らかに違うマナーがあるので最初は戸惑うかもしれませんが、耳が慣れて聴きどころがわかると深いです。エレクトロミュージックにゴシックな弦楽器が重なる面白さ。ある意味でアニメのオープニング映像が別世界に感じるほど、楽曲の世界観が突出しています。

  

「かつて神だった獣たちへ」のED「HHOOWWLL」は、ある意味で耽美な世界観に強く引き込まれます。

 

 

すべてを赦すような優しさと荘厳さが同居したレクイエム的な曲です。アニメ作品の世界観とも同調しているので、世界観がより深く感じられます。面白いのが全体的にはゴシックな、西洋的なアレンジなのに、主メロディや装飾音の音階が和メロなので、オーケストラの中から急に日本の童謡が聞こえるような感覚を覚えます。無国籍感といいますか、白昼夢感というか。素晴らしく綺麗で儚い曲です。

  

続いては「コップクラフト」のOP「楽園都市」、この曲の特異性に注目したいところです。

 

 

今やアニメソング界の最先端、牽引者といっても過言ではないオーイシマサヨシさんによる楽曲です。しかし、この曲ではいわゆる「オーイシマサヨシらしさ」がありません。昨今、氏が手がける楽曲の特徴に半音階でコードが下降するパターンがありますが、それがまったくない。

ストレンジなポップスとは真逆のアダルティな雰囲気。ルパン三世の楽曲を手がけた大野雄二へのリスペクトも垣間見えつつサビでは昭和歌謡的な、「俗な」メロディというのも、これがなかなかに面白いです。作家オーイシマサヨシの幅の広さ、引き出しの奥深さを知らしめるに十分なインパクトを持った楽曲です。

 

今期一番面白いと思った曲は「女子高生の無駄づかい」のOP「輪!Moon!dass!cry!」です。

 

 

最近はキッズ向けから深夜アニメ問わずラップの曲は実に多くなりました。しかし、この曲はそういった「一般化した恩恵から生まれた曲」ではなく、90年代ラップの系譜と読み取ることができます。

この曲の面白さは、いわゆる「キャラソン特有の過剰なノリ」にあります。ノリ一発といったら身も蓋もありませんが、メッセージや思想、信念を乗せるに適したラップを用いながら、意味や思想なんかまるで無い。意味がない、という意味がある。「無いが在る」。禅問答みたいですが、これは、EAST END×YURIやスチャダラパーのような「面白いラップ」の特徴でもあります。オープニングのアニメからも90年代サブカルチャーの匂いが漂っているので、かなり意図的に90年代の意味なんかないラップ、ノリ一発のラップ的な何か、を曲として表現している、と評したら言い過ぎか。

ともあれ、女子高生の無敵感はいつの時代もストレンジでファニーなんだと思う曲です。

 

今期は例年とは違ったタイプの曲が多くありますが、スタンダードなアニメソングとして安心して聴けるのは「通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?」のOP「イヤヨイヤヨモスキノウチ!」です。

 

 

スタンダードで安心して聴ける、といっても面白みがないわけではありません。キュートなメロディとタイトなリズムの相性は抜群だし、エッジが立ったシンセのリフも耳に残るし、さりげないギミックが多く聴き飽きません。なにより、サビの破壊力が強い。ストレートな進行と思いきや大胆なところで転調が入る意外性がクセになります。それをギミックとして聴かせずあくまでさりげなく曲に落とし込む、この巧さが昨今のアニメソングの全体的な特長といえるでしょう。

サビでかわいいのかヘンテコなのかわからない振り付けがあるのも、大変よろしいです。こういうの、実は好きです。

  

最近のトレンドという意味では、「とある科学の一方通行」のED「Parole」は最近のアニメソングがバンドサウンドを取り入れた時のお手本のような聴き味です。

 

 

全体的に中音域が抜けたドンシャリの音作りで、抜けた中音域あたりにベースが美味しい部分をマーク。エレクトロ要素は全体の味つけ程度のさりげなさですが、その効果は抜群の一言。緩急のつけ方の計算も高く、サビで極限まで疾走できるようにブレイクの位置、長さなどが間延びしないギリギリでまとまっています。最近の、という一言で括ってしまうと乱暴すぎますが、誤解のないようにいうと「昨今みんなたくさん入れたがるのに一つくらいしか入れられない」アレンジのネタを全部入れちゃったのがこの曲。普通こんなに入れたら破綻するはずなのに、なぜかまったく破綻していない。これはとんでもないことです。異次元レベルのアレンジ力の高さに震えましょう。

 

新作が放送されると当コラムでは必ず選出するのが「闇芝居」です。今期のEDは「決壊」、今期も素晴らしい曲です。

 

 

闇芝居、よくぞまあ毎回異能の才能を起用するなと感嘆しきりです。掴めそうで掴めなくて、本質を言い当ててるようではぐらかされているような、不思議で奇妙な陶酔感があります。これはちょっと衝撃です。ポストロックというよりはダブの方が正しいのかもしれません。フィッシュマンズ、ゆらゆら帝国に感じた「静かな狂気」みたいなものが、ふつふつと沸き立っているのがわかります。まだ世の中のほとんどの人が気付いていないのか、公式のYoutubeもまったく回っていません。今後、日本の音楽業界のある意味で「目」になりそうな存在だと思うので注目するなら今からです、音楽フリークの皆様。

 

 

最後は今期イチオシの曲は「Dr.STONE」のED「LIFE」です。

 

 

いやー、かっこいい! めちゃくちゃにかっこいい! 全部かっこいい!

あまりのことに語彙力バグってしまいましたが、本当にかっこいいです(何回言うんだ)。

ポピュラリティの高さ、ラップの精度の高さ、声の強さ、全部すごいし、何よりすごいのはサウンドです。全部の楽器がちゃんと聞こえる。当たり前のように思えて、これはとても難しいんです。アニメソングの場合、一番の主役はやはり歌です。極論、歌のために周りの楽器の音を抑えて歌を届ける手法も、時にはアレンジの手法として成立します。そういった手法は邦楽に多く、私達の耳もそのバランスに慣れていて聴き馴染みがある分無意識に耳が歌を聞こうとしているのです。

だから、この曲のように「全部の楽器が全部聞こえる」というのは、情報量の密度で言えば他のアニメソングや邦楽(最近は全部聞こえるバランスの曲も多くあります)を凌駕しています。

だからかっこいいんです! ほんと、すごくかっこいい!

できればCDを買って大きいスピーカーか、ちょっといいヘッドホン、イヤホンで聴くのをおすすめします。

 

以上、今期の10曲選出でした!

お気に入りの作品、お気に入りの曲は入っていましたか?

今年の春に続き、夏もアニメソング全体のトレンドが少しづつ変わってきている印象がありました。次は秋、どんな変化が起こるのか今から楽しみです。

それでは、次回お会いしましょう!

 

(文/出口博之)

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